夢がリアルになったその時、僕は本当の恐怖を知る事になる
怖い夢って見たい時に見られるもんじゃないよね。
これだけはどうしようもならない。
僕はしがない作家の1人だ。
まだ駆け出しの為売り込んでいる真っ最中だ。
いろんなジャンルの作品を書いては出版社に投稿している。
まだ正式に決まったところは1つもない。
恋愛もの、冒険もの、SF物なんかも書いたりしている。ただ1つだけ書けないものはある。
それは恐怖ものだ。
ホラーは体験したことがない為書くに書けずにいた。それじゃあ他は体験したことがあるのかって聞かれたら恋愛だけはあると答えられる。もっとも数か月で振られてしまってハッピーエンドとはならなかったのだが…。
ホラーは遊園地とかに行けばお化け屋敷があるから体験できなくはないんだけど、それって作られたものだから本当のホラーじゃないよね。
僕は本当のホラーが書きたいのだ。
友達に聞いてみてもそんな体験したやつは1人もいない。
だから想像でいつも書いていた。
今回の投稿作品もそう。
想像だ。
話の内容はこうだ。
仲間数人で海に行った。時期外れの為人1人としてその砂浜にはいない。
けどね?足跡だけが残されていた。
その足跡は海に向かって続いている。
戻ってくる足跡がなかった為、仲間内では入水自殺じゃないかって話になっていた。
確かに履き物もカバンもある。
無造作に置かれているのだ。
ちょっとだけ席を離れる時のようだと仲間内の1人が言った。
けどさ、可笑しくね?
ここは夏場には物凄い観光客で賑わうデートスポットだよ?まっ、今は春だから海にくるやつはいないだろうが…。
…とまぁここまでは書くことができたのだが、続きが思いつかない。
さてどうしたものかと考えながらとこについた。
その日の夜も蒸し暑かった。
だから扇風機を回しながら寝ていた。
突然ガバッと起きた。
ひたいにびっしりと汗をかいて…。
自分でもよくわからなかった。
でもね?なんか良くない夢を見てた気がしたんだ。
それが何かは忘れてしまったのか思い出せない。
ただ言えるのは何かから逃げてたってことだけかな。
それが何か…までは…ね。
今日は朝からそんな夢のせいでゆうつになっていた。
投稿するために書き上げた原稿を手に出版社の元へ。
終わったのは午後9時少し過ぎたくらいかな。
ここから電車で自宅まで帰るのにかかる時間は約30分。
それほど遠くない場所にアパートを借りられたのはラッキーとしか言えなかった。
それでも帰り道、途中は住宅街だが真っ暗になる場所もあってちょっとだけ怖いかもと思う僕は相変わらずの小心者だ。
クネクネと回りながら自宅へと歩く足も早くなる。
僕の足音だけがコンクリに響き、1人だと分かる。分かるのだが、今日はちょっとだけ違う気がした。誰かに見られている気がしてならなかったのだ。
でも足音はない。
気のせいかとも思ったんだが、振り返った一瞬だけだけど、視界の中に何かを見た気がした。
真っ暗だったので男女の判別はできなかった。
だからか余計に怖くなる。
早足になってたのも汗をかいてたのも気づかないほど僕は焦っていた。
早く自宅へ…。
しかし後ろも気になる。
一瞬だけ振り返った時目の前に黒い物体が。
真っ黒だった。
ここは明るい場所なのに。
全身が真っ黒。
怖い。怖い。怖い。
震える手は鞄の中から防犯ブザーを取り出そうとするも、なかなか掴めなかった。それでもなんとか掴むことができ、紐を引っ張って音を出した。
大きな音が辺りに響く。
なんだなんだと住人が出てきた。
僕は周りを見るが住人以外の姿を見る事がなかったので安心し、謝罪をしてその場を後にした。
高架をくぐった時、また誰かに見られてる感じがしたのだが、気のせいと気にしないようにして足を早く動かした。
自宅につくとカバンをベットに放り投げ、楽な格好へと服を変える。
「ったくなんなんだよ。あれは…。」
僕は思い出してしまいガタガタと震えていた。
翌日には昨日のことなど忘れて友達と遊びに来ていた。そう、海だ。
この時期なら人はいないから…て言う理由で。
確かに人はほとんどいなかったのだが。
見ると靴と鞄が置かれている。
なんかこれ…見たことある気がしてならなかったのだが、それがなんなのかは思い出せずにいた。
友達の1人がその鞄のところまで近づくも近くに人はいない。
足跡が海に向かって続いているだけだ。
そうだ!
これとおんなじの…夢で見たんだ。
と言う事は…。どう言う事だ?
夢は途中までしか見てなかった気がする。
じゃあ、続きはどうなるの?
知りたいと言う思いと、知りたくないと言う思いがぶつかり合い、僕は考え込んでしまった。
その様子を見ていた仲間の1人が鞄の中見ちゃえ、なんて言いながら鞄の中を漁る。
いいのか?
持ち主が現れたら厄介になるぞ。
でもね、どれだけ待っても持ち主は現れなかった。
足跡も海辺に続いているだけで、他には何も見当たらない。
マジやばいかもと仲間が言い始め、皆で持ち主を探すことにした。
バラけ過ぎても見つかった時にわかりにくい為、ある程度の距離をもって捜索した。
1時間が過ぎ、2時間が過ぎた頃辺りは暗くなり始めていた。警察に通報しようとした時仲間の1人が叫んだ。
「あそこに誰かいる!」
指差す方は暗くて海に近かった為車から懐中電灯を持ってきて照らしたがそこには誰もいなかった。
辺りを見回して再度同じ場所を照らすと確かに黒い塊のようなものの姿が見えた気がした。
僕らはかたまってその場所へ向かって歩き出した。けどね、どれだけ歩いても目的の人には出会えず、黒い影も一向に近づかない。
不気味だ。
1人が言い始めた。
確かにおかしい。
もうそろそろ近づいてもいい頃だからだ。
懐中電灯の光を一旦他の場所に照らし再度さっきの場所に照らして見たらすぐ目の前に黒い塊が立っていた。皆慌てたよ。
恐怖で叫ぶ者もいた。
だってさ、全身真っ黒で目、鼻、口もないのだ。怖くない方がおかしい。
腰を抜かしそうになりながらも慌てて逃げ出した。
仲間の1人が「わぁ〜!?」と叫んだが、振り返った時にはその場に倒れていた。
白目を向けて。
そいつを抱えて車まで戻り、エンジンをかけようとしたが、かからない。
そしたら車の窓に無数の手の跡が…。
皆その場で叫んでかたまった。
それ以降その海には近づかないようにしている。




