序文
趣味で書いたオリジナルロボット戦記物です。
最初はどこかに投稿でも……と思っていたのですが、
「趣味を入れまくって好き勝手に書きすぎた」
のでボリュームが……
お蔵入りをするのももったいないので、この場を
借りて掲載させてもらう事にしましたm(__)m
なんだかよく分からないお話ですが、楽しんでいただければ
幸いです。
追記。4/6一部修正。
彼は空を見上げる。
眼前に青空が広がる事は無いと解っている。だが、それでも彼は頭上を仰ぐ。
どれだけ目を凝らしても何も映る事は無い。ただ全てを呑みこむ闇が広がるのみだ。
悠久に続くが如く深淵なる闇の底。そこが彼の居場所。自ら望んで落ちた罪と言う名の檻。
そう、自ら望んだのだ、常闇の世界に住まう事を。それが己の贖罪であると信じたから。
それがどれ程の苦痛を伴う事であるかは解っている。それでも彼はこの場に留まり罪を
償う事を選んだ。それが彼にとっては重要な意味を持っていたから。
苦痛と苦悩と後悔が久遠に続くと理解していて尚、この永劫の闇の中、いかに無様
と罵られようと生き抜く事を選んだ。見えぬ青空に希望を抱くと言う愚行こそが、
彼の生きる糧となる。
だが――結局、どんなに理由を付けても――
所詮は自己満足でしかない、と彼は理解していた。
どれ程の苦痛に耐えようと、どれ程後悔し懺悔しようとも、己の罪が消える事は無
い。自分が許されざる愚かな咎人であると言う事は、未来永劫変える事の出来ない
事実なのだから。
しかし――全てに耳を塞ぎ、過去から目を逸らせば、この様な苦痛を味わう事は無ない。
後悔する事も無い。犯した罪を過去の出来事と割り切りさえすれば済む話だ。
それでも彼は闇の中に居続ける。自らの意思で己の罪を見つめる事を選んだのだ。
ここは最も地獄に近い闇の世界。罪人が裁かれ、己の非を悔いる咎人の流刑地。
彼はこの常闇の世界で生きると決めた。永劫に等しい時の果てに己の贖罪が叶う事を願って。
だがどれだけ言葉を重ねようと――全てはただの自己満足。どれ程嘆こうと、懺悔しようと、
所詮は己の罪の意識を薄める為の、ただの自己憐憫。
どれ程望もうと、罪が消える日は永劫に訪れる事は無い。それは自分が一番良く解っている。
何故なら彼の罪を最も許せないのは何より――自分自身なのだから。
それでも、心のどこかで願ってしまう。
何時か、己の事を許せる日が来る事を。そして何時か――彼の居るべき場所へ帰る事を。
己の立つべき場所へ戻れる日が来る事を願う。
体に浸み込む程の闇の世界で、彼は心から願い――そして、やはり解ってしまう。
その日が訪れる事が決して無い事を。
そんな願いを持つ事すら、己の犯した罪は許してくれない事を。
だから彼は空を見上げる。決して眼に映らない青空を探す為に。
既に閉ざされた未来を願う愚行こそが己の償いであるかの様に。
光の届かぬ罪深き咎人の檻の中で――今日も空を見上げ続けている。
初回は序文だけなので、続けて投下します。