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プロローグ
兄弟たちから勧められたそれを口に含む。
シュワシュワ、パチパチ、心地よい刺激。
嫌いじゃない。
一口飲んで、もう一口。さらにもう一口。薄青のビンが透明になった。どうやら、半透明な青色はビンの色ではなく、中の薬の色だったようだ。
後に残るのは、サッパリとした甘さ。
でも、僕は知っている。
僕好みのこの甘さは、兄弟たちのたくさんの涙が隠し味となっていることを。
『約束』は大事。
『約束』のなかには「ウソをついてはいけない」とはあるけど、「黙っていてはいけない」なんてなかった。そう僕が作った。
だって、誰にだって秘密くらいあるでしょ? 誰にも知られたくない。そんな隠し事が。『約束』は僕の兄弟たちを守るものだ。僕の兄弟の内側と、外側を。僕はとても非力で何の役にも立てないからせめて『約束』の力で守りたい。
だから僕は黙っていよう。この小さな身体の、もう決して大きくなることが叶わないこの幼い心の奥底に。誰にも見せないように。
僕はここで。
死ぬまで。
ずっと子供のままでいるんだ。
みんなと一緒に。