霧の国の...
昔…小さな国同士の戦争があった。
秩序と規律で守られたエルフ達の住まう国。力と自由で華やいだ獣人達の国。そして力も獣人よりも劣り、エルフの様に自然との対話も出来ないが、発想と創造の力を持つ人間の国。
人間の国を治める女王は、戦争に勝利するべく数人の科学者を集め、圧倒的な武力を持ち得ようとしていた。
開戦から数十年後、長きに渡る争いに突如として終止符が落とされた。エルフと獣人の両軍は一夜にして滅び、時を同じくして両国の王は暗殺されてしまったのだ。
一説によると、人間の国が兵器の開発に成功し、圧倒的な武力を手にしたのではないかと、囁かれている。
同時期に多発して起きた誘拐事件、一夜にして滅んだエルフと獣人の軍勢。様々な謎を残したまま、戦争に勝利した人間の国は領土を拡大し、栄え続ける。
そして月日は流れ…。
人間、エルフ、獣人が互いに共存する一つの街となった市国で、様々な人物の過去と現在が交差する。
それはまるで、揺らめく霧の様な物語。
No. 1
人は何処から産まれ、どこに帰るのか。
最初の人間は何処から産まれ、そして死に行く者の魂は何処へ帰るのか。様々な神話があれど、真実を知る者は誰一人としていない。
もし居たとしたら、名乗り出て饒舌に語り、賢者を気取るに違いないからだ。
私は自分が誰から産まれて来たのかを知らない。それを知る者もいない。今産まれて何年目なのかも曖昧で思い出すことも出来ない。
一つ覚えている記憶は、今共に生活している「ユダ・タダイ」に拾われた時の記憶。
ユダは現在は神職に就ている男で、私の命の恩人である。後に聞かされた話だが、私を拾った当時は神職とは真逆の職業、所謂殺し屋だったのだ。ただ、何故殺し屋を引退し、神を信じ人を救う職に就いたのかは教えてはくれなかった。
時折、彼が夜な夜な現役時代に使用していた銃を保管している武器庫に篭り、只々座っている時がある。その時の表情はどこか寂しげで、とても聞く気にはなれない。
ユダに保護され、教会での暮らしが始まってから私は色々なことを教わった。この街のことや、身の回りの道具の名称や使い方。服の着方からナイフとフォークの使い方までも忘れていた様で、彼には随分と迷惑を掛けた。
数年後、私は残りの記憶を取り戻す為に活動を開始した。
どうにも教会での稼ぎは悪く、ユダから優秀な情報屋を通して、所謂何でも屋の副業を始めたのだ。
私の記憶の手掛かりは、ユダと出会った最初の場所、地下街。そのワードにはマフィアやら非合法な人間が引っかかる。なので身を守る術も覚える事にした。体術はユダから教わり、剣術は独学で覚えた。
今現在、私は自分の記憶を追っている最中だ。時刻は深夜。立ち込める霧の中を行き交う人々の中に紛れ、スラム街に向かい進んでいた。
今回の仕事はやはりマフィア関係。ユダの昔の雇い主でもあったボルジアファミリー。地下街を牛耳り、都心部のテルニエルファミリーと長い間抗争を続ける連中だ。
そのボルジアの下っ端が、スラム街で子供を誘拐し人身売買をしているらしい。軍警察は何故かこの手の事件には手出しをしない。その為、私の様な何でも屋が動き、情報屋がその手の情報を集め提供する。というシステムが出来上がったそうだ。
人身売買…。丁度戦時中にも似た様な事件が多発していたと聞く。果たして私の過去に関係があるのか、定かでは無い。しかし何か掴めるかもしれないし、これが人助けに繋がるのなら無駄足ではない。
タバコの箱に手を伸ばし、口に咥える。マッチで先端に火を灯せば、紫煙は霧と同化して消えていく。
人混みが薄くなっていくにつれて、辺り漂う腐臭と路上に転がるゴミが増えていく。永遠に続いていた空間は、いつの間にかスラム街へと領域を変えていた。
このスラム街は、所謂マフィアに財産を奪われた人間や、起業しようとして失敗した者を始め、様々な理由によって財産や収入の無い人間が肩を寄せ合い生きる場所。この場所での犯罪は地下街よりも多いと言われており、ゴミ山の中から人骨が発見される事は些細な事になっている。
正直な所、一人でこのスラム街に立ち寄るのは気が進まない。ユダに拾われなければ、きっと私はここのゴミ山の一部にでもなっていただろう。更に言えば、女身一つでこの場所を彷徨くのは、例え仕事であっても気味が悪い。
あらゆる方向から集まる視線。その全てが私の全身を刺すように押し寄せる。
現地の人からしたら、深夜に、綺麗に洗濯された服を着た人間が踏み入って来る事自体が異常なのだ。そういった類の連中は、大概がマフィア、ゴロツキ、そして自殺志願者や誘拐された人間。
私は彼等の目にはどう映っているのだろうか。
舗装されていない道をひた進むに連れ、私を見ている者の目付きが変わった事に気付く。
先程までは、不信や不安、恐怖といった感情が主だったが、今は獲物を狙う獣の様な視線。間違いなく奴等の領域に入った。
足を止め、その場に立ち竦む。何人ぐらい見ているか、四人程度と推測し、持参してきた武装の確認を始める。太ももにナイフを三本ずつ、胸元に取り回しの良いサバイバルナイフを隠してきた。
この人数なら直ぐに済むだろう。タバコを一気に吸い上げ、紫煙を吐き、周囲に向け声を上げる。
「マルコ・ロブソンさんの家探してるんだけど、誰か知らない?」
ぞろぞろと、足を擦る音。数人の男達が姿を現し、ニヤついた表情で私の周りをゆっくりと回り始めた。
「お嬢さんよ。誰のお使いで来たんだ?」
「想像してみたら?」
「分かってるぜ。ピザの配達だ」
「バカかお前!この女はヤリに来たんだよ」
「違うよ。ピザだって、俺頼んだんだぜ?」
「よく見ろ。ピザはどこだ?何処にも持ってねえだろ!てめぇはバカか!」
どっちも馬鹿だよ。
言い争いを始めた彼等は、とうとう私から目線を外してしまった。どうぞ殺して下さいと言わんばかりに。
私は髪の毛をクシャッと掻き、ため息混じりに太もものナイフに手を伸ばすと、四人に向け素早く投擲した。勿論狙いは頭部。
汚い言葉で争い合っていたその場には一瞬にして静寂が訪れた。全て命中した証明だ。
「はい。オヤスミ」
下品な男は嫌い。品性の欠片もない、不潔で欲望のままにしか頭を働かせない連中には、情けをかける必要も無い。
あ…でも一つだけ失敗したかな。マルコの隠れ家を聞き出すのを忘れて殺してしまった。
取り敢えず、この男達の服を探ってみよう。間抜けな連中だから、何か手掛かりがあるかもしれない。
上着のポケットから出て来た物は、拳銃と白い粉、葉っぱにタバコ、そんな物ばかり。大して手掛かりになりそうな物は見つからなかった。因みに一人、私と同じ銘柄のタバコ(未開封)を持っている奴が居たので、中身だけ拝借した。
彼等が見張りだったとすると、隠れ家もそう遠くは無いだろう。寧ろ、異変に気付いて向こうから来てくれるかも知れない。私としては、そっちの方が手っ取り早い。
胸元からサバイバルナイフを取り出し、タバコを咥えて再び歩き出す。見つかればそれで良い。私にはどんな怖い男達が束になって襲って来ようと、負けない絶対的な自信があるから。
更に奥に進むと、これ見よがしに派手な建物が見えてきた。スラム街には不似合いな、ネオンが煌めく趣味の悪い建物。間違いなくあの建物が目標の場所だ。
タバコを吐き捨てて、靴で火を踏み消すと、ナイフを逆手に持ち地面を強く踏み込んだ。
脚のバネを使い、加速する。一気に建物に近付くと、取り敢えず見張りの一人を蹴り倒し停止する。
「な、何だオマエ!!バケモノかっ!?」
「傷付くなぁ。私はマルコちゃんに用があるの。どいてくんない?」
もう一人の見張りの首元にナイフを突き付けると、錯乱して手にしていたマシンガンの引き金を引こうとした。透かさず、突き付けたナイフの刃を滑らせ首元を搔き切る。
結局、ここを制圧してしまうしかなさそうだ。
仕事の時間制限は後15分といったところだろうか。10分を過ぎた頃には、後から気配を消して付いてきているユダが狙撃を始めるだろう。それまでにはマルコを見つけ出し捕えなければならない。
木造の無駄に大きな扉を蹴り飛ばし、私は建物の中に足を踏み入れた。
瞬間。けたたましい音と激しい痛みが身体中を貫く。視界に映るのは硝煙弾雨。複数人のマフィア達がマシンガンを構え綺麗に整列していた。
痛みに意識が遠のき、膝が地面に落ちる。
「正面から入ってくるなんて、オツムは大丈夫なのかしら〜?」
ネットリとしたオカマ口調の声。その声の正体が恐らくマルコだろう。
「でも殺すのは勿体無かったかも〜?女の子だったから色々使い様あっただろうし、ねぇ」
近付く足音、服の擦れる音、マルコが近づいて来た事を確認すると、むくりと体を起こし背伸びをする。
「あー…っ。痛かった。お気に入りの服がボロボロじゃない、どうしてくれんの?」
膠着するマルコとその手下達。当然の反応だろう。私の体は弾丸を雨のように受けても、それだけでは死なない。死ぬ程に痛いけれども死ねないのだ。既に身体中に空いた穴は塞がり、めり込んだ鉛玉も抜け出ている。
「ひぃぃぃぃっ!‼︎バケモノっ!お前ら片付けるまでここに居ろよ‼︎」
真っ先に動き出したのはマルコ。奇妙な悲鳴を上げ、一目散に奥の部屋の扉へ走り、未だ硬直する部下達に吐き捨てて扉の中に逃げ込む。そして鍵の閉まる音。
「…。で、どうする皆さん?ここでマフィアなんて辞めて、真っ当に生きる。なんて選択肢もあるんじゃない?」
静寂が支配する空間。私は返答を待つ。部下のマフィア達の顔はそれぞれ複雑な面持ちだった。しかし暫くすると、中央の一人が雄叫びを上げ銃を掲げる。それに釣られる様に周囲も銃を握りしめ、叫び始めた。説得できるとは考えてなかったが、自業自得だと思ってもらうしかないだろう。今度は撃たせない。
私は意識を集中させ、目の前にいる者全員を貫くイメージを浮かべる。銃口を一斉に此方に向ける彼等の足元、影から凄まじいスピードで黒槍が脳天まで突き抜ける。
辺り一面に吹き飛ぶ血しぶき。身体に掛からぬ様に身を引いてはいたが、流石にこの人数ともなると頬や穴だらけのブラウスに跳ねる。お気に入りの服のコーディネートなので、数着予備があるものの、捨てなければならない程になってしまった。
「悪い事しなけりゃ…死なないで済んだのにね。通らせて貰うよ」
罪悪感がない訳ではない。命を奪うのだから、多少は感じる。ただ、この市国自体そこまで治安が良い訳でもないので、自分の命は自分で守るか、守ってもらえる人の側にいる事が必要なのだ。
今の私は守る者、奪う者から奪い返す者。無くした記憶も、奪われたものもとり返すのだ。
マルコが逃げた扉の先へ進む。その先からは人が居る気配はなく、不気味な程に静まり返っていた。どうやら先程の部下達がここの総戦力だった様だ。
各所の部屋も調べて回り、捕えられていた子供達を発見したので無事に救出した。子供達は男女比でいうと、やはり女の子の方が多かった。中でも、特殊な能力を持たない人間の子供が殆どを占めていた。後方で待機しているユダが、逃げた子供達をうまく誘導してくれるだろう。
突き当たる所に際立って目立つ扉が現れた。一呼吸した後、私はその扉を力の限り蹴破る。鍵が破損し、部屋の中に吹き飛んだ扉越しに人影が一人。いや、二人。
マルコの前に一人の少女。震える足元、頭部に突き付けられる銃口。少女は恐怖のあまり、涙を流し絶望に表情を歪ませていた。成る程、人質という事か。
マルコの目は血走り、銃を持つ手も震えている。この有様では脅しにもならないではないか。直ぐに決着を付けようと一歩前に出て、先程部下達にもした様に、マルコの足元の影に意識を集中させようとした。その時。
心臓の辺りが激しく痛みだし、冷や汗が吹き出してくる。痛みは立っていられない程で、ゆっくりと誰かに促される様に床に膝をつく。視界も朦朧とし、違う光景が見えてくる。
泣いている少女が一人。これは私だ。その少女の向かいには厚い耐久性のありそうなガラス。その向こうには白い服を着た何人もの大人達。
分厚いにも関わらずガラスを揺らす悲鳴が響き、私は目を瞑り耳を塞ぐ。足の裏から湧き上がって来る恐怖に全身が震えだす。その震えが頭の頂点まで達すると、私の意識はプツリと途切れた。
我に帰った時、私は椅子に座らされており手足を縛り付けられていた。汗が滴り、全身をぐっしょりと濡らしており、夢で見た恐怖心はまだ足の底に残っている。
目の前には銃を慣れた手つきでご機嫌に回すマルコ。
「おはよーお嬢ちゃん。身体中ぐちょぐちょに濡らしちゃってどーしたの?」
マルコは私の額に銃口を突き付け、次第に下へ下へと下ろしていく。抵抗したい気持ちはあれど、足の底にある恐怖心が行動を起こす気力を全て奪う。
「よく分からないけど、このまま大人しくしてたら部下達を殺しちゃった事を許してあげても良いわ。良い体してるみたいだし、高値で売れそうだわ」
服を裂かれ、辱めを受けようとも、私の身体を奪う恐怖は足の底からゆっくりと脳天目掛けて這い上がっていく。怖い、もしかすると私の過去は、思い出さない方が良い程残酷なものなのだろうか。
呼吸は整っている。手の震えもない。視界も澄み渡り、風も止んでいる。今の俺はあの事件の後で最もクリーンな状態にある。
ゴミの中から探した適当な布切れに、ちょうど良い形と大きさの石を包み、射角と距離、ターゲットの頭部、こめかみに的を絞る。助走をつけ、計算したライン、力、射角に正確に投擲する。
放たれた石はもはや弾丸だ。それは真っ直ぐとターゲットへ向かい、窓ガラスを貫通してこめかみに直撃する。やれば出来るものだ。銃の形状でないし、相手は殺してはいない。出来れば手は出したくなかったが、この状況なら仕方ない。
俺はもう失う事は許されないからだ。
ガシャンとけたたましい音を立て、目の前に居たマルコは横に吹き飛び、虹色の光が散らばる。恐怖は身体からスッと消え去り、意識が戻っていく。
ユダの狙撃。銃を持てない彼の必死の行動。些か遅い行動であったことは許すとしよう。彼は私の名を叫んでいる。彼が私にくれた名前。
感じていた恐怖はもう何処にも無い。体が軽くなった。縛られていた手足に力を入れ縄を引き千切ると、ゆっくりと立ち上がりのたうち床を這いずるマルコの前に足をカツンと突き立てる。
「さてと…。随分好き勝手やってくれたみたいね。お気に入りの服なのにこんなボロボロにして」
ただでさえ先程の銃撃で蜂の巣になっている服は、マルコの手によって無残にも引き裂かれ、下着が露わになっていた。運の良い事に、まだ淫らな行為は受けていない様で安心した。
持ってきたナイフはいつの間にか奪われており、手元に武器はない。ないなら出せば良いのだ。
私が使える特殊能力。影からイメージした刃物を物質化して具現化する。そしてもう一つ、どう説明したものか悩む所だが、光や熱量を持った閃光を体内から放出出来る様だ。それらが使える様になってから、この白い十字架の杖は私の任意に手元に召喚する事が出来る。コレクションしている刀剣の中のどれよりも手に馴染み、強固な材質を持つ愛用品。
杖の先をマルコの頭頂部に突き付けると、悶え苦しんでいた彼はぴたりと動きを止め、必死に声を凝らしていた。
「最後に聞くけど…私と似たような異質な能力を持った人物を知らない?」
マルコは沈黙を続けるので、軽く杖の先端で頭部を突き、「答えないなら殺すよ」と脅しを掛ける。マルコは露骨に同様を表し身を震わせる。
「もう何もかもおしまいよ…。秘密をバラすくらいならいっそのこと死んだ方がマシだわ」
「あらそう、綺麗に知ってる事全部吐いてくれれば、牢獄の中で一生安全にくらせるのに…」
「…アンタ、自分がどれだけヤバい山にいるか分かってない様ね…。この国の本当のルールも知らないで……。大人しくアタシの◯◯◯になってれば幸せに暮らせただろうに」
震えながらも悪態を吐く元気はある様で、その言葉に思わず顔を歪ませてしまう。
「私がカッとなって、アンタを殺すとでも思ってるの…?知ってる事は喋りなさい!」
マルコは以前震えながら身体を起こすと、壁に持たれて私を見据えた。その時マルコが震えていたのではなく笑っていたのが分かった。それも諦めの感情が滲み出た表情でだ。
「アンタ…名前は…?」
「……ソフィア。命の恩人がくれた名前よ」
「ソフィア…一度しか言わないから良く聞きなさい。そして聞いたら直ぐにアタシを殺すの、良いわね」
マルコの唇が小さく開く、そして閉じた瞬間、私は杖の角でマルコの頭部を強く打ち抜いた。
ユダが駆けつけたのはその直ぐ後だった。つんざく私に向かって一直線に近寄ると、自身の神父服を脱いで私の肩に掛けてくれた。顔にベッタリと付着した返り血をハンカチで拭いてくれながら「大丈夫か!?何もされて無いよな」と今にも泣き出しそうな顔で私の身体に目線をやる。
「ええ、平気。でも…もうちょっと早く助けてくれても良かったんじゃない?」
タバコを吸いながら、彼の目線が少し恥ずかしく思え、身体ごと外方を向く。そんな私に彼は素直に謝り、ため息を吐いた。後ろを流し見ると、膝を突き頭を垂れるユダ。
「でも、まぁ…。ありがと…」
人に感謝の気持ちを伝えるのはどうも苦手だ。それが本当に伝えきれない程恩を受けている相手には、特に。
ユダはそれから立ち上がり、微笑を浮かべ「そうか」とだけ言い、すぐに私の手を引き歩き出した。
「後処理は軍警察に上手く報告しとく、任務は完了だ。何か有益な情報情報は得られたか?」
「あぁ…。うん、まぁ。ハッキリはしないけど、ボルジアの内部が怪しいのは確かみたいね。後、何だか物凄く怖い夢を見た気がして…、何かの施設に子供ばかりが集められてて、実験してる風な景色が見えた」
「んー…、調べる価値はありそうだな。色々当たってみよう」
恐怖には屈しない。例え後悔したとしても、私は自分の記憶を取り戻してみせる。ユダの恩に報いる為にも、そして何より自分の為にも。
私の名前はソフィア。これは私の物語だ。