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三話目

長さがまちまちですみません




僕はこの胸に溢れかえる感情が、実は何か知っている。

確かに寂しさや苛立ちを感じているけど、原因はそんな単純なものじゃなくて、いろいろ絡み合って生まれた、ドロドロしたものなのだ。


だけど名前をつけて認識してしまえば、僕の存在が兄の中で転校生に負けてしまったような気がして、この感情に名前を付けることができないでいる。


名前をつけて認識するということは、受け入れるということ。


今の僕には、到底無理な話だと思う。

名前をつけて、認識して。それでも受け入れられない感情は、ただ周りに当たり散らす要因になるだけだ。


だから僕は必死で見ない振りをして、会長が甘やかしてくれるとわかっているから生徒会室へと足を運ぶ。


そうやって、この感情を受け入れる準備をする。

だって僕たちの関係は、きっともう元には戻らないから。



がり、と音を立てて唇に歯が食い込む。血の味がすることはわかったけど、傷の痛みはあんまり感じなかった。


馬鹿なことをしたと苦笑しながら、生徒会室から寮の自室へと帰る廊下を歩く。窓から見える景色は、夜の姿へとだいぶ色を変えていた。



夜は好きだ。

にぎやかな時間も好きだけど、静かな時間は兄との時間を何にも邪魔されないから。

二人きりで同じ空間にいて、何を話すでもなく過ごす時間は、本当にこの世界に僕と兄しかいないような気がして好きだった。



「あのさ、ちょっといいかな」



そんなお気に入りの時間帯さえ奪っていく君が、嫌いになってしまいそうだよ。





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