夏祭り
お盆の中日、15日に夏祭りがあると言うので、その日に、近くの公園へと出ていくことにした。
この日を含めて前後合わせて7日間は、学校は教職員含めて全員来ないようにというお達しがあった。
なぜ学校へ言ってはいけないのかは知らないが、校長から全員へ、職員会議で話されていたので、行くわけにはいかなかった。
それまでに、全ての用事は済ませていたし、校長が一人で常駐するということなので、緊急時の連絡は、支給されている携帯電話に校長から直々に来ることになっている。。
「こんばんは、先生」
生徒の声が後ろから聞こえた。
振り返ると、女子生徒2人が、男子生徒2人と一緒にお祭りを楽しんでいるようだ。
「おや、みんなそろってるね」
「はい、町内の夏祭りはこれだけですから。楽しまないと、です」
「そうか、じゃあ、楽しんできなさい」
若い時は一瞬だからと、思わず言ってしまいそうになる。
「先生も、ですよ」
そう言って、女子生徒が手を振って俺と別れた。
そういえば、今年はまだ墓参りに言っていないことに気付いた。
「……行かなきゃなあ」
独り言を言いながらも、俺は一人、夏祭りを今は楽しむことにした。