休日
休日は土曜日、日曜日、国民の祝日とお盆と年末年始だ。
一般的な学校と、変わることはない。
とはいうものの、教師に休日は存在しない。
大概は回り持ち、部活の顧問とかになれば練習している日には毎日でも学校へくることになる。
俺は当番ではなかったが、少し用があったため、学校へと来ていた。
「あら先生。今日は非番では?」
「ええ、そうなんですが、ちょっと教材を取りに来ましてね」
職員室で物理・生物・化学担当の西藤寿々(さいとうすず)が俺に話しかけてきた。
「教材ですか」
俺は西藤先生に、持っていた数Ⅰの参考書を見せる。
「明日の授業用に、すこし刷ろうかと」
「人数分だけ刷るようにしといてくださいね。最近は資源だ、エコだとうるさいですから」
「あはは、そうですね。余ったらリサイクルに回すようにしますよ」
そして、西藤先生が俺と逆の方向に歩きだした。
「あ、そうだ。一つ聞いてもいいですか」
1歩と半分踏み込んだところで、俺の方へ向きなおす。
「なんでしょうか」
ニコリとして、俺へと聞き返す。
「なんで、1年経ったら初めから教え直さないといけないんでしょうか。普通なら、2年、3年と高度な物を教えるのに」
「さあ。ただ、ちょっと特殊ですからね」
「特殊?」
「詳しくは、私から話すことはできないので…」
逃げるように、俺が何を言っても今度は振りかえらずに、西藤先生は職員室を出た。
「…特殊って、何が特殊なんだ」
この学校は、普通科のどこにでもあるようなある意味、典型的な高校だ。
何か不自然なところは存在しないように見える。
俺はその疑問が解けることなく、学校を後にせざるを得なかった。