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火災
そして、各正時に俺は見回りをする。
ただ、それだけが任務だ。
それだけのはずだった。
午前2時、俺は見回りをしていた。
その時、火災報知機が鳴った。
「守衛さん、火災らしいんですけど、何か見えますか」
「いえ、見えませんね」
持ち歩いているトランシーバーを通して、連絡を取り合う。
「あっ、調理場から火が見えます」
守衛さんが教えてくれたので、すぐに調理場へ向かう。
そこは、家庭科室に隣接して設けられている学食用の建物だ。
「ったく、誰がこんなことを……」
グチっていると、聞こえてしまったようで、守衛さんが言ってきた。
「最近、連続放火が起きてますから、それじゃないですかね。ほら、ゴミ捨て場が近くにありますし」
そういえば、新聞に乗っていたのを、うっすらと思いだす。
だが、今はそれどころではない。
火災報知機が鳴り響き、守衛さんが消防へ連絡をしてくれるそうなので、俺は初期消火ができるかどうかを確認するために、急いで調理場へ向かった。




