私と君の境界線
初投稿です。気軽に見てね。
青春ってなんだろう、そうふと疑問に思う時がある。部活に励むこと?恋に心動かされること?休み時間に無粋なことで盛り上がること?そう疑問に思っても、私たちはそんなことを気にするほど今を楽しんでいない。そう、振り出しに戻ってしまう――
でも、そんな青春には"境界線"がある。境界線は、ある一定の範囲でソレを、ソレたらしめるか決めるらしい。青春かぶれの大人共がよくこんなことを抜かすのだ。馬鹿馬鹿しい話だ。青春を決める事自体間違ってる。
じゃあ結局、青春ってなんだろう?
◆
「みちながーおーい起きろー」
聞き慣れた声が、俺の耳をくすぐる。あぁ、この声は担任の増井裕也先生だ。裕先、こういう時うるさいからなー、もうちょっとだけ眠らせてくれても―
ん?そういえば今って授業中…
「ミッチー起きろって!裕先まじでこのままだと…」
「!?…すいま――」
「道長!!お前、いつまで寝るつもりだ!もう、中学生じゃあないんだぞ!」
時すでに遅しだった。周りの笑い声が俺の眠気を覚ます。とんだ晒しプレイだ。
キーンコーンカーンコーン…
「まぁ、とにかくここまでの範囲はテスト範囲だからな…覚えておくように。号令」
生徒達はだるそうに席を立つ。号令をする委員長も、たった3日前に決めたばかりなのだ。誰がするのかも名前すらも大まかで。4月の下旬。俺達の高校生活は始まっていた。
◆
「田辺ー…ノート見せてくんね?」
「じゃあ、食堂のカレーパン奢りな?」
「お前、さっき弁当食ったばっかりだろ?」
「食べ盛りの高1舐めんなよ?」
「マジかよ…」
「へへっ、やりぃー」
昼休み、俺達は、教室の窓側で窓にもたれながら会話をしていた。ちなみに、この憎たらしいが陽気なやつは、田辺理仁。バレー部でエースをやってて、恋愛経験豊富。昔、彼女が5人もいたらしい。いわゆる陽キャだ。
「でも、お前が裕先に怒られたとこ、正直おもろかったなー」
「いや、何も面白くないが?」
「そういうとこがおもろいんだよ!意外とミッチー、最初真面目ちゃん演じてたのに、最近は眠介だから」
「眠介ってなんだ?」
「いつも寝てて、眠そうなやつのことだよ」
「俺、そんな寝てるイメージ?」
「もう、明らかじゃない?入学から2週間ちょっとで、居眠りで先生に怒られてんだからさ?」
最悪の第一印象になってしまった…。
今後の自分を想像していると――
「あ、てか、悪いけど俺もノート取ってなかったわ…」
「え、お前、授業ちゃんと聞いてたんだろ?」
「いやー…別に俺ってそういうキャラじゃないし?」
えぇ…やっぱり2週間ちょっとの弊害だ。俺が悪いのか、こいつと友達になろうと思った俺が悪いのか―
「だもんで、カレーパンの件はよろしくだけど、自分で探してちょ。一応、手助けはするから」
こいつ、ちゃっかりカレーパン奢らせてきたな…
「いや、それだと俺に得無くないか?」
「ミッチー、話聞いてたか?一応、"手助け"はするって」
手助け…?内心、不安がよぎる。
「あぁ、ありがとう?」
「おう、まかせろり〜」
まぁ、大丈夫か。後少ない休み時間に残った弁当をかきこみながら俺は思った。
◆
放課後の図書室、俺は、あいつの部活終わりを待っていた。もう6時をまわっていて、人は俺以外いないようだ。
「それにしてもあいつ、遅いな…」
どんどんと暗がりを見せる空。星空も見えてきて、まだ春を感じる。窓際の風に心落ち着かせていると―
「何してるの?」
突拍子もなく、その声は自分の耳を貫いた。何処か儚げで、飴細工のような美麗なその声に。
「!?いや、友達を待っていまして…?」
その声の出どころを見ると、そこにはお姫様が立っていた。それでしか言い表す言葉がこの世に無いようで。
「ふーん、優しいんだね?君」
「あ、ありがとうございます?」
急に褒められた。なんか嬉しい
「…君はさ、青春ってなんだと思う?」
名を知らない彼女が突然、問いかける。青春?
「えーと…部活で競い合うとか?」
「うーん、それもまた青春だね。でも、青春ってそれだけじゃあないよね?」
姫のお気には召さなかったようだ。下民の自分が必死に他のことを考えていると―
「じゃあ、青春の"境界線"って分かる?」
?境界線?青春ってそんな海みたいなものなのか?
「分からないです…」
「青春の境界線ってね、ある一定の範囲で"ソレ"を、"ソレ"たらしめるか決めることなの」
「ソレって、青春のことですか?」
「うん、まぁそうだね。でも、この話ってなんか酷い話だよね?」
酷い話…彼女の瞳には、虚ろ気な期待が見える。
「だって、青春を決めることなんてできないはずだよ?推し活だって青春、受験勉強だって青春、まして、君と今ここで話すことだって青春なんだよ?」
彼女の必死な意見に、自分の心は複雑だった。
青春を求めるような、そんな必死な叫びのようで。
「ねぇ、君はこの話、どう思う?」
俺は…
「俺は、この話は…よく分かりません。青春って、そんな取り繕うものじゃないし、かといって、何でもかんでも青春ってことも違う気がします」
そう言うと、彼女は笑った。
「そっか、君は面白いね」
また褒められた。やっぱり嬉しい。
「やっぱり、君みたいな人はいたんだね。名前は?」
そういえば俺の名前、言ってなかったけな。
「名前は、道長―今井道長です。1-3です。彼女は?」
「私?私は――」
その時、彼女の言葉を遮るかのように廊下からタッタッタッと足音が迫る。扉が勢いよく開いた。見慣れた顔を覗かせて…。
「わりぃ…はぁはぁ…待った?」
田辺だ。そういえばノートを写してもらう約束だったな…余計な情報すぎて忘れてた。
「待ったよ…本当に。今日は部活早かったんじゃあないのか?」
「いや、同学年の女子にノート貸してーって言ったら話盛り上がっちゃって…。いやー御門さん、マジ可愛かったぜ」
こいつ、一旦殺そうかな?そんな殺意を押し込んで―って、あ、彼女の名前を聞かないと
「私、そろそろ出るね。ここにいると邪魔だと思うし」
「え、でもまだ名前を―」
「また会えるよ、君ならね」
え、そう言うと彼女は、田辺の横を通り過ぎ、
そのまま出ていってしまった。
「うぇ?なんかいい感じの雰囲気だった?」
「別に、そういうわけじゃないけど…?」
彼女は結局なんだったんだろうか、今の自分には分からない。いや、これでいいんだと思う。なんとなく
「まぁ、そんな落ち込むなよ?ほら、ノート」
「あぁ、ありがとう」
「あ、そういえば俺も一緒に写していい?」
「アンパン奢りな?」
「なんでだよ!」
俺達は勢いよく笑っていた。窓際に映る夕日と夜空の境界線の際で。
続編待っててね。




