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第三話 破壊神vs時空神

 俺たちの戦いの火蓋は打って落とされた。

 

 少女は、先ほどとは様子を変えて、邪気のような物を発し始める。


 そして少女は俺から一瞬で距離を取り、戦闘体制に入る。俺も咄嗟に少女から距離を取り、戦闘の準備を始める。


「一割程度の力で戦うよ。安心してくれ、殺しはしないさ」

「いいぜ…受けて立つ」


 少女は一割で戦うと言ったが、既に魔力は俺の倍近くはあるように思えるほどの気迫だ。しかし俺は冷静に少女の能力と自分の能力相性を分析する。


 俺の能力の永久逆変は手を翳さないといけないから、近接戦しか力を発揮できない。そして少女は破壊神一族というだけあって、魔弾や光線などの遠距離魔法を飛ばしてくる可能性もある。つまり近接戦に持ち込む。それができれば勝機はある。


「いつまで立ち止まってる?戦わないなら僕から行かせてもらうよ」

「ふ、言っとくけど、俺に遠距離魔法は通用しない。俺の周りには飛び道具を消し去る結界があるんだ」


 もちろんこれはブラフ。遠距離の攻撃を封じて、近接戦を仕掛ける為の発言だ。


「手の内を明かすなんて、よほど余裕そうだね。その余裕がいつまで続くのか見ものだけど…」

「手の内を明かした理由は簡単さ。ホエール、お前が俺より弱いから、ハンデを与えてやったまでさ」


 俺は、少女が俺より格下だと思っているので、手の内を明かしたと舐めるように説明をする。


 それによって、なぜ能力を明かしたのか説明がつく。これで遠距離魔法を消し去る結界の信憑性が上がるのだ。


「その言葉、本当か確かめさせてもらうよ」


 すると少女は手から小さな魔弾を放出した。


 しかしこここまでは想定済みだ。俺は魔弾が自身の体に当たると同時に、爆風の中で、左手を翳して、永久逆変を発動させる!


「グハッ」


 俺は魔弾が左手に直撃し、大ダメージを負う。しかしその魔弾は永久逆変により、巻き戻されて、消え去る。

 

 そして俺は爆風の中、瞬時にダメージを受けていない右手を翳して、左手に永久逆変を適応させる。それにより受けたダメージを一瞬で回復させた。


 爆風が消えたと同時に、俺が無傷のまま姿を現す。


「まったく効かないさ。言っただろ?俺には結界が張ってあるって。無駄な魔力消費ご苦労様」

「その能力、本当みたいだね。それなら拳で叩きのめすまで!」


 俺は少女から遠距離攻撃という手段を無くすことに成功した。これが成功した理由は人の心理も働いている。


 それは格下だと思っている者の前では恥をかきたくないと心理だ。


 少女の場合、俺という格下相手に、再び遠距離攻撃をして、無駄な魔力消費をするという恥と損をしたくない。


 少女はこれらの心理が働き、遠距離攻撃をやめたのだ。


 するとその時、少女は俺に向かって突進してきた!


 俺はすかさず、急激に間合いを詰めて来た少女に対して拳を交える。


 少女の右拳と俺の左拳が衝突する。


 その瞬間、大地がひび割れるような衝撃が走る!


「中々やるじゃないか。時空神というのは伊達じゃなさそうだね」

「想像以上にやるな…だがこれでどうだ!」


 そして俺は右拳を少女に向けて、放つ。しかし俺はわざと分からないように、外して見せる。


「当たってないけど?最初の余裕の割には、弱いね、キング」

「ク、クソ…」


 俺はわざとそう言って、殴り合いを続ける。その間、俺が徐々に押されて劣勢になる。しかし俺はその中でも右拳は外し続けて、左拳のみを当て続ける。


「最初の威勢はどこへいったのかな?もう終わりにするよ」

「ふ、右の警戒が緩すぎるぞ」


 俺は今まで外し続けた右拳で、少女の脇腹あたりを狙って、手を翳す。そして永久逆変を発動させる!


「うっ、なんだこの能力は…」


 少女の体が消えて無くなる…はずだった。


「再生…」


 その刹那、なんと少女の体は一瞬で再生し、元通りになったのだ。俺は驚いたが、ここまでは想定している。なぜならこの攻撃は永久逆変がどのくらい通用するかを見極めるとともに、少女の急所を探る様子見の一撃だ。本命は次の永久逆変の一撃なのだ。


 今回の一撃は脇腹あたりに触れて、それより上に手応えがあると魔力で感じ取った。なので急所はおそらく心臓部分にあると推測する。


「再生するとは…驚いたが、次は仕留めるぜ」

「二度も同じ手にはやられないよ」


 そして俺は次の永久逆変が発動できるようになるまで、なんとか耐えながら、殴り合いを続ける。すると、少女が微笑して話し始める。


「キング、さっきの技…右手でしか発動できないでしょ?」

「はぁはぁ、さあ、どうだろうな…」

「さっきの技が発動するまで、右手の攻撃は一回も当たってなかったよ。逆に左手は何回も当てられてた。初めて右手の攻撃が当たった瞬間に技が発動した。つまり右手でしか発動できない。そうだよね?」


 少女は右手でしか永久逆変を発動できないと推測した。しかしこの時点で少女は俺の術中にハマっているのだ。


「だからどうした?何か変わるわけでもないだろ」

「簡単な話だよ。右手でしか発動できないなら、右手を警戒してれば技には当たらないでしょ?つまりキング、君はもう終わりなんだよ」


「そ、そんなはずは…」


 俺はあえて、焦るような演技をする。これによって本当に右手でしか発動できないのだと錯覚させる。


 そして次の刹那、少女は俺の右拳を避けて、強大な魔力を纏った左拳でクロスカウンターを決めようとする!


 しかし俺はこの時を待っていた…


「誰が右手でしか技を発動できないと言った?」


 俺は今まで少女に技を発動できないと思い込ませていた左手で奴の心臓部分に手を翳す。そして今ある全ての魔力をその一点に込めて永久逆変を発動させた!


「グハッ!なんだ、と…」

「トンネルビジョンってやつだ。お前は右手を警戒しすぎて、視野が狭くなっていたんだよ」


 俺は手を翳しながら、そう説明する。心理学でトンネルビジョンと呼ばれている心理で、人は一つのことに集中しすぎると、他の情報に意識がいかなくなるというものだ。


 少女は今まさしくその状態であり、今までの右手を外し続けた策略も、右手で技を発動させたのも、全てこの左手の一撃のためなのだ。少女はまんまとその術中にハマった袋の中のネズミというわけだ。


 そして少女の急所に命中したことで、少女は胴体が消え去り、戦闘不能になる。


 そう思っていた…


「まだだよ、キング…」

「な、なんでもう再生している…?」


 なんと少女は胴体が消え去ったすぐ後に、頭と脚から体が再生し始めたのだ…流石の再生力に俺も驚いた。これは完全に計算外だった。


「驚いた?僕は不死身なんだよ。粒子単位に分解されても再生するんだ。でもさっきの攻撃は僕も予想外だったよ。まさか右手の攻撃がブラフだなんて思わなかった」

「な、なんでだ…」


 俺は動揺する。今までの作戦も全く意味がなかった。俺はどうやってもこの少女に勝つことはできないと悟った。


「もう終わりか?時空神としての意地はどこにいったのかな?」


 俺はその言葉にハッとして、我に帰った。


(そうだ、俺は時空神キング、諦めるなんて、そんなことは絶対にしない!)


「なら…立てなくなるまで、全力で相手にしてやるよ!」


 俺はそう叫んだ。


 俺は絶望的な力の差を前にしても、勇猛果敢に少女に攻撃を仕掛ける。


「そうだ、その意気だよ、キング」


 俺は魔力を限界まで使い、拳を振り翳していく。俺はその間にも隙を見て、永久逆変をして、自身の負傷部位を回復させていく。


 少女も同じように拳を交える。大地がひび割れるような轟音が響き続けた。


 しかし突然、少女は俺から距離を取り、殴り合いをやめる。少女はそのまま立ち止まって、澄まし顔で話し始めた。


「遠距離魔法への結界はブラフだよね?」

「な、なんで…」


 なんと少女は結界のことをブラフだと見破ったのだ。


「あの巻き戻す技…あれを使って最初は爆風の中で、僕の攻撃を巻き戻して消し去る…もちろんダメージは喰らうわけだけど、また巻き戻す技で自分の体を再生させたんでしょ?これであたかも君は結界の力を使って、無傷で済んだように見せかけた。間違ってるかな?」

「教える義理はない…」

「それで近接戦への誘導に成功したんだからすごいよ、キング。君は間違いなくこれから強くなる。でもまだ力不足だ」


 そして少女はそのまま魔弾を複数個放つ。俺は避けようとしたが、間に合わなかった。


 さらに先ほど永久逆変を使い、魔力が消耗していたため、魔力を纏えず、魔弾に直撃してしまう。


「グハッ!」


 俺は体がボロボロになる。嗚咽を漏らし、吐血する。だがなんとか立ち上がり、永久逆変で体を回復させようとする。


 しかしそれより前に少女が攻撃を仕掛ける。


「キング、これで終わりにするよ。できれば、この破剣は使いたくなかったんだけど…諦めてくれないなら仕方ない」


 少女はそう言い放ち、懐にしまっていた剣を出した。その剣を構えて、片方の手で、俺ではなく地面に魔弾を放った。大地がひび割れて、峡谷を作る。砂埃が空を舞い、爆風で視界が遮られる。


 俺はそこで瞬時に思考した。少女の狙いは爆風の中、視界が遮られている状態のまま、俺の背中を狙うことだと。俺は後ろ側に振り向こうとしたが遅かった…


「キング、天晴れだったよ」


 なんと少女はその剣を爆風の中へと投げていたのだ。


 おそらく、少女は剣を投げなければ、俺が反応し、剣を避けると読んでいたのだろう。


 当然俺は投げられた剣の速度に体が追いつかず、後ろを振り向く前に、剣が嵐の起きるような轟音と共に背中に突き刺さった。


 俺はその場で倒れ込み、虚な瞳で空を見上げる。そして、少女が俺の顔を覗き込む。少女はそのまま剣を俺の体から抜き出し、言った。


「キング、約束通り僕と協力してくれ」

「…ない」

「なんだ?」

「協力…しない…」


 俺は瀕死になりながらも、なんとか言葉を紡ぎ、ホエールとの契約を拒否する。俺は、どうなるのかと一瞬思ったが、少女は呆れた顔で言った。


「協力しないか…まあ仕方ない」

「はぁはぁ、何をするつもりだ…殺したいなら殺せよ…」

「そんなことはしない。認めるよキング、君は頑張った。だから僕は君の頑張りを認める」

「なんのつもりだ…?」

「協力は諦めるってことだよ。まあ君がここから出て経験を積めば、また意見が変わるかもしれないしね」


 そして少女は別れを告げた。


「キング、いつかまた会おう」


 すると、少女は森の奥へと消え去っていった。俺は少女が去ったことを確認すると、その場で意識を失い、深い眠りについた…

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