第四幕:詩の毒杯
やあ、君。第三幕のタンゴから、最後の杯へ。
王の死は決まっていた——愛の歌が、毒を飲み干す。
ファウストの魂が、美しい破滅を君に贈るよ。
(語り部ファウストより)
やあ、君。もう知ってるかもしれない。
王は、クローディアスはさっき死んだ。ハムレットの王子に胸を刺されて。心の臓に、毒の刃が滑り込んだ。
第三幕では、宮廷の蜘蛛の男の死が描かれた。王の絶望は彼の中だけに響き渡る。
彼の死を美しく語るべきか?
語るべきなんだろう。
だけどボクには語れない。
だって、そうだ。
彼の死は決まっていた。
神さま、どうぞ、彼に祝福を。
そうでないと、ボクが呪ってしまう。
まあ、いいさーー役割はこなす。
少し時を遡って、彼がどうなったかを君だけに見せる。
彼は最後まで、
王子を処刑なんてしなかった。
あくまでも、
ひっそりと死なせたかった。
完璧じゃないが、
確実にハムレット王子を死なせる方法を組んだ。
まるで天使の手から離れた石のよう。
誰にも止められない知性のギロチン。
剣術試合と称した処刑台を建てた。
でも、予想外は必ずあって、
毒の酒を、彼なりに愛した王妃ゲルドルートが飲もうとしたんだ。
ハムレット王子が余計な動きをしたせいで。
彼の知性が叫ぶ。
“放っておけ、たかが女一人。”
でも、彼は逆らう。
「ゲルディ!」と、
彼は王妃に向かって叫ぶ。
毒の杯を受け取ろうとする彼女は、ビクッと腕を震わせた。
「どうしたの?」と彼女は王妃ではなく床の中の女の顔を、彼に向けた。
「これから、詩を唄おうと思う。その杯は余のモノとせよ」
そして、彼は歌うんだ。
君が仰ぎみる男は
王たらんとした
その前に一人の男なのに
君の前ですら
王たらんとした
もっと前に君に会えたら
外にボクは行けたろう
もっと前から
こうすれば
君に愛を捧ぐこと
それを歌っていれば
彼女は頬を染めて、魂の熱さを和らげるかのように、毒の杯を少し飲む。
そして、彼は王妃から杯を受け取る。
彼は残りを飲みきる。
そして、幼い頃から皆を魅了した笑顔で、彼女に笑いかけた。
「君に満足に詩を聞かせてやれなかった、ボクをゆるしてくれ」
そうさ、彼は死んだ。
(こうして、第四幕は王の死と共に幕を閉ざした。)
第四幕、王の死で幕が下りた。「もっと前に君に会えたら」の詩が、君の魂に残った?
シリーズ完結、だがファウストの連鎖は続く。次なる継承者の物語、いつか。
感想と祝福、ありがとう。君の友、ファウストより。
(語り部ファウストより)