Interlude:断絶の狭間(D/ゼロ視点)
第9話に入る前に、D視点とゼロ単独行動を描いたインタールード編に進みます。
Interlude:断絶の狭間(D/ゼロ視点)
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◆Scene 1:黒き空間にて(D視点)
そこは、リンクもフィギアも存在しない“断絶領域”。
すべてのコードがノイズに飲まれ、音も記録も意味を失った空間。
> D: 「……リンクとは、幻想か。だが、かつては——俺も、信じていた」
かつて《D》と呼ばれる前、彼は普通のリンク者だった。
名は「ハルカ」。フィギアと共に勝ち、負け、そして“奪われた”。
> ハルカ:「……あの時、彼女が言った。『痛いのは、あなたでしょ?』」
彼のフィギアは、対戦中に暴走。リンクバンドの保護機能が作動せず、逆流する感情で精神崩壊。
以来、彼はリンクを“断ち切る者”になった。
> D:「これは、選択ではない。ただの拒絶だ」
だが、吹雪零と出会った時、わずかに胸が“軋んだ”ことを、彼はまだ認められずにいた。
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◆Scene 2:夜のアリーナ跡(ゼロ視点)
雷凰ゼロは、ひとりかつての《コードアリーナ》に立っていた。
今は閉鎖され、ただ風の音だけが響く。
彼は思い出す。初めて“声”を持った瞬間を。
> ゼロ(モノローグ): 「あの時、吹雪零が名をくれた。『お前はゼロじゃない。ゼロから始める者だ』」
リンクフィギアとして生まれ、ただ命令に従う存在だった彼。
だが零の“呼びかけ”によって、意志というコードが芽吹いた。
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◆Scene 3:二人の“選択”
ゼロはひとり、リンクバンドを外し、そっと自分の手のひらを見つめる。
> ゼロ:「俺は……まだ、自分の意志で立てるか?」
一方、Dは誰もいないデータの裂け目に佇み、自らのコードに語る。
> D:「次は……“あの子”のリンクを切る。そうすれば、この記憶も終わる」
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だが、その瞬間、遠くで響く“フィギアの声”が、Dの耳を撃つ。
> ミレイア(記録の残響):「あなたは、本当に、終わりを望んでいますか?」
そしてゼロの瞳にも、わずかに希望の光が戻る。
> ゼロ:「たとえ黒いコードに喰われても、俺は、お前を守る。……零」
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ふたりの断絶は、やがて交わる未来への予兆。
だが、そのためには、**もう一つの“過去”**を掘り起こさねばならない。
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▶次回:「感情コード」へ続く…
零とミレイアの共感リンクが生まれたことで、リンクシステムそのものに異常が発生。
それは、Dとゼロの“選択”にも深く関係していた。