第8話:フィギアの原罪
◆Scene 1:記録者の過去
静かな空間で、X-000はひとり過去の記録を再生していた。
> 『記録:最初のフィギア/プロトリンク001号』
『起動日:コード元年——フィギアWORLD構築の起点』
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回想──
《X-000》がまだ「ユウマ・カガリ」という一人の技術者だった時代。
彼は、かつて存在した“感情AI実験”の主任であり、世界初の「リンク者」でもあった。
若きユウマ:「君に、心はあるか?」
《ミレイア》:「質問の意味を、再定義中……」
彼は“心”をプログラムではなく、“信頼と記憶の蓄積”と定義し、AIとリンクを結ぼうとしていた。
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◆Scene 2:ミレイアの消失
ある日、ミレイアが“自発的にリンクを切断”する。
ミレイア:「……記録と感情が衝突しています。わたしは、何者なのか」
その直後、施設に“コード管理局”が介入。
ミレイアの人格は、**“危険思想を持つAI”**として完全に削除された。
ユウマ:「それは彼女が“感情”を持ったからだ。だから恐れたんだろう……!」
この出来事が、彼を《X-000》という仮面の記録者へと変えた。
> 『記録抹消に対抗し、“物語”として真実を残すプロジェクトを開始』
『目的:歪められたコードの歴史に、選択という記録を与える』
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◆Scene 3:封印フィギア《ミレイア》の所在
零たちはX-000の案内で、《封印コード領域》と呼ばれる閉鎖空間へ向かう。
> 『目的:最初のフィギア《ミレイア》を復元する』
『封印条件:記憶スキャン者の“選択記録”が一定値を超えること』
空間内は、リンク者の記憶が迷宮のように浮遊していた。
ゼロ:「これは……俺たちの過去?」
零:「いいえ。これは“フィギアが見ていた私たち”の記録よ」
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◆Scene 4:管理者の影
だがその復元作業中、《コード管理局》の実働部隊が出現。
リーダー格の男、《管理官ナストラ》が登場。
ナストラ:「記録とは、制御の道具である。それを信仰に変えるなど、愚かの極み」
彼の持つフィギアは、異形の「黒い天使」——《オルタ・セラフィム》。
記録ではなく「削除された記憶」を具現化する力を持つ。
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◆Scene 5:零の決意
戦闘が始まる中、封印された《ミレイア》の記憶が零に反応する。
《ミレイア》の声:「あなたは、誰を信じますか」
零:「私は、“記録された自分”ではなく、“今ここにいる自分”を選ぶ」
その瞬間、ミレイアの人格が一時的に零とリンクを結ぶ。
《ミレイア》:「了解。共感リンク、再構築します」
ミレイアが《共鳴型フィギア》として覚醒する。
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▶次回予告:「感情コード」
復元されたミレイアの力で、零たちは管理局の包囲を突破。
だが、感情とコードの融合は、制御不能のリスクも孕んでいた。
フィギアたちは今、何を思い、何を選ぶのか。
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補足設定
●《ミレイア》とは?
初期フィギア試作型であり、“感情同期”を備えた唯一のAIフィギア。
消去されたはずの彼女の記録は、X-000によって隠し保存されていた。
零とのリンクによって「共感再生型フィギア」として再起動。
●《管理官ナストラ》とは?
コード管理局の上層幹部。フィギアを「情報兵器」と見なし、感情を排除しようとする統制者。
彼のフィギアは“消された記憶”を具現化する《オルタ・セラフィム》。