〜自由になりたいだけなのに公爵様が離してくれません〜
【第一章】憧れは国外追放!?
サクラがひらひらと舞い降りる時期にディティール魔法学園で1人の令嬢がたった一人の平民を蔑んでいた。
「あら、そこに居らしたのね!ボロボロな制服過ぎて分かりませんでしたわ〜!」
彼女の名前はサーシャ・レディール
縛られる環境に嫌気を差していたサーシャは幼き頃に見た本で憧れた誰にも縛られず自由気ままに生きてゆく女の子みたくなる為、国外追放を目指して極悪非道な悪役令嬢のフリをしているらしい。
「も、申し訳ございません……サーシャ様」
謝っているのはこのディティール魔法学園で唯一の平民
彼女はリンカ・ビビカール
大層珍しい三属性持ちということで特別に入学の許可を得ているらしい。
そんな彼女はサーシャにとって好都合の存在だった。
「全く、私の目が穢れますわ!なので私私のお古を着なさい!」
「え?」
「勿論先日買った新品を態々貴女の為に一回着てお古にしてあげましたわ!オーッホッホッホ!」
態とらしく高笑いをし、サーシャは何処かへ行ってしまった。
物陰にある人物が聞いていたとは知らずに。
サーシャは侍女であり姉みたいであるリサに自慢げに先程あったことを話していた。
「リサ!聞いて!」
「お嬢様早かったですね、どうされましたか?」
「今日は平民に悪役令嬢のフリしてやったのよ!」
「またやったんですか…」
「これも国外追放のためよ!!…もし、本当に国外追放になったらリサも付いて来てよね?」
「勿論、お嬢様は私が居ないと何も出来ないですからね」
そう言い、リサはニヤッと笑う。
「な、失礼だわ!」
「侍女流の冗談ですよ」
「全く、意地悪な侍女なこと!」
「意地悪で大丈夫ですよ。あ、私買い出し行かなくてはなので行ってきますね」
「え、…分かったわ。気をつけるのよ?」
「分かってますよ。お嬢様もお出かけするのであればお気をつけて」
「えぇ。ありがとう」
「では行ってきます」
バタンッとドアを閉める。サーシャはリサが居ない部屋が寂しく思え、散歩をすることにした。