夫は心から妻達を愛している
趣味の悪い夫だこと。
結婚して二ヶ月で私の部屋の隣に第二夫人を迎えた。
それからまた二ヶ月で第二夫人の隣の部屋へと第三夫人を迎えた。
妻達を並べおくものではないと何度夫に訴え出ても聞き入れてもらえなかった。
一定の距離があればまだ表面上仲良くすることも可能だったかもしれないが、あまりに近くに居すぎて、私達妻の仲はとても悪いものになった。
夫は妻達の不仲など気にかけず、一緒に食事をすること、社交に出るのも順番にと三人の妻を対等に扱った。
そうすると第三夫人は自分が一番愛されているから第一夫人と同じように扱われるのだと二人の妻を頭から抑えようとした。
それに腹を立てた第二夫人が第三夫人に襲いかかり、互いの髪を掴み殴り合っていた。第二夫人が第三夫人の上に馬乗りになり、首を絞めているのを夫は楽しそうに眺めていた。使用人達に止められ、夫が嬉しそうに軍隊を呼び、第二夫人は殺人未遂で牢に入れられ、夫に離婚された。
ますます優越感に浸る第三夫人の態度は許せるものではなくなってきた。
私は夫にこれ以上は我慢ができないからと言って、離婚を申し込んだが受け入れられないまま、新たな第二夫人が迎え入れられ、前の第二夫人が居た部屋へと迎えられた。
第三夫人は自分が第二夫人になるのだと信じていたのに、第三夫人のまま第二夫人が迎えられたことが許せず、ベッドの中で夫にナイフを振り下ろした。
残念なことに夫はかすり傷を負っただけで第三夫人を牢へと入れた。
第三夫人が離婚され、また新たな第三夫人が、前の第三夫人の部屋へ入れられる。
私は新たな妻達に今まで起きたことを伝え、妻同士が仲良くしなければ、前の第二夫人や第三夫人と同じことになると、新しく来た妻達へ伝えた。
新たな妻達は初めは私の言うことを聞いて、内心はどうであれ、表面上は仲良くしていられた。
けれど、夫がメイドに手を付け、それを隠そうとしなかったことで、均衡は脆くも崩れてしまった。
メイドに入れあげた夫は私達の部屋へ訪れることがなくなり、私は喜んだのだが、第二夫人と第三夫人は夫が手を付けたメイドを虐め始め、それは日に日に酷くなっていった。
初めは第二、第三夫人を注意していたけれど、矛先が私に向かってきたために私は無関心を装うことにした。
夫は妻達の行いを舞台を見る観客のような顔をして楽しそうに眺めていた。
注意をしない夫のせいでメイドは生傷がたえなくなり、それが行き過ぎたある日、メイドは階段から突き落とされあっけなく死んでしまった。
また夫は第二夫人と第三夫人を牢へ入れ、離婚した。
その日の夜、私の元へ来た夫は、私を抱いた後「君が一番つまらない妻だよ」と言った。
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第一夫人を屋敷に迎えて、妻を可愛がり、私を愛させるように振る舞った。
妻は私に対して愛と呼べるものはなかったが、日を追うごとに妻が私を愛し始めているのが、手に取るようにわかった。
妻が私を愛していると確信した時、妻の隣の部屋へと第二夫人を入れた。
第二夫人を迎えると伝えた日の第一夫人の表情は見ものだった。
醜く歪んだ顔が私の気分を高揚させた。
第二夫人がやって来た日のことは一生忘れられない私の大事な思い出になった。
別宅へ迎え入れると信じ込んでいた第一夫人は、隣の部屋に入れた第二夫人を今にも殺しそうな目で見ていた。
第二夫人を可愛がった翌日に第一夫人の下でただ眠った。
第一夫人は眠れないようで何度も寝返りをうち、泣き声が聞こえた。
他では感じることが出来ない優越感と満足感に、暫く第一夫人を抱かずにただ眠るだけにしようと思った。
第一夫人より第二夫人をほんの少し優遇し、第一夫人が傷つくのを見て私はとても心地よかった。
第一夫人より愛されていると勘違いした第二夫人が悦にいった時、第三夫人を迎えた。
この時の第二夫人は私に直接文句を言ってきたが、最後には泣き出し、第三夫人など迎えないでくれと私にすがりついて泣いていた。
私は第二夫人の態度により良い満足を感じた。
本来なら第三夫人への渡りを少し減らすものだが三人を均等に扱っていると、第二夫人が第三夫人を傷つけ、私はワクワクした。
直ぐに軍隊に報告し、第二夫人が私を罵り、第三夫人を呪う言葉を吐いているのを聞いて楽しくてならなかった。
第一夫人に迎えた妻は第二夫人を迎えた時に私をほんの少し喜ばせただけで、今はもう無表情になり、私に関心がないふりをしていた。
ちょっと想定外だったのが、第一夫人である妻が離婚を言い出したことだった。
勿論、妻からの離婚など受け入れる気はなかったので「愛している妻と別れるなんて出来ない」と、第一夫人を心から甘やかした。
この手間を掛けるだけで妻達の反応は良くなっていく。
惜しみない愛を与えるから、どうかもっと私を喜ばせておくれ。
直ぐに新たな第二夫人を迎えると第三夫人は私にナイフを突きつけた。
第三夫人の醜く歪んだ顔を見て、私はこの顔を見るために妻を迎えているのだと改めて認識した。
腕にかすり傷を負ったが、そんなことは些細なことだ。
第三夫人をまた軍隊に引き渡し、離婚した。
今回は軍の上層部からちょっとした小言を言われたが、それもまた一興と楽しんだ。
折角、新たな第三夫人を迎えたのに妻達は第一夫人を中心に、仲良くしてしまった。
つまらない。仲良くなんかせず、愛憎を私や妻たちに向けてもらいたいのだ。
ちょっとした思いつきで、妻達より若くて見目がいいメイドに手を付けた。
そのメイドは私が手を出すのを待っていたようで、あっさりと体を開き、私の寵愛を喜んだ。
第二、第三夫人に虐められ始め、メイドは私に何度も虐めを止めさせてくれと私に訴えてきた。
すまないな。と謝りながらメイドが虐められるのと、妻達の醜い顔と態度が私を喜ばせた。
第一夫人はいっさい関わらなかった。
第一夫人はつまらない女になってしまったが、夜に訪れると、嫌そうな顔をして心で私を拒んでいた。
そうなると、その顔と、私を受け入れたくないのに感じてしまう体を嫌悪しているのが、私を楽しませた。
メイドを可愛がり妻達の元へ行かなくなると、メイドへの虐めはどんどん酷くなっていった。
第二、第三夫人にメイドを虐めていることを注意しなかったことで、誰にもはばかること無くメイドを虐め、遂にはメイドを殺してしまった。
最高だ!!
こんな素敵な妻達を手放すのは残念だが、手元に残しておく訳にはいかない。
今回もこちらから軍隊へと妻達を突き出し、妻達が捕縛される姿を第一夫人を腕の中に抱き、見送った。
その第一夫人の顔は無表情だったが、感情を見せまいと必死で抑え込んでいるのが、小さく震える体に現れていた。
その日の夜、第一夫人をたっぷりと可愛がった後に「君が一番つまらない妻だよ」と言うと「離婚して下さい」と何度も泣きながら訴えてきた。
勿論、妻からの離婚など受け入れたりしない。
嫌がれば嫌がるほど愛してやり、壊れるまで私の手元に置く。
さぁ、新たな第二夫人と第三夫人候補を選ばなくてはならない。
嫌がる第一夫人に子を与えてみるのも一興かもしれない。
子が出来た時、この妻は何を呪い、何を恨むのだろうか?
その子を愛をもって育てられるのだろうか?
あぁ妻をもっと虐めて苦しめたい。
どうか私をもっと喜ばせておくれ。