モフモフ好きのキャラクタークリエイト
キャラクタークリエイトをするお話です。自分だったらこんなキャラを作りたいとかを想像しながらご覧いただけると嬉しいです。
「ただいまー」
私は高校から帰宅するとベッドに横になる。
早速ベッドに横になりゲームに意識を転送して遊ぶことのできる没入型のゲームデバイスに接続する。すると無機質な音声が流れる。
『デバイスに接続。Little Afterlife Onlineをインストールしました。パーソナル情報の取得を開始します。』
『Little Afterlife Online』というゲームタイトルでマニアなゲーム人だけじゃなく、普段ゲームをやらない人でもプレイするくらいの人気タイトルとなっている。
最近話題になっている作品で、ゲーム内で自由に生活できるという売り文句をしていた。ゲームの内容としては異世界で第2の人生を楽しむって感じらしくてRPGらしい戦闘や魔法を使うこともできれば、釣りや農業など本当に幅広いプレイが楽しめるみたい。
そしてこのゲームが発売されてからまだ2週間程度しか経っていないにも関わらずニュースや新聞にも取り上げられるほどの人気ゲームになっていた。
ゲーム自体の作り込みが激しく昔の日本ならまだしも現代では没入型のゲームが多く発売されている中でこれほど人気になるのは異様だった。
これほどの短期間で爆発的な話題になっていても元々私は戦闘や魔法といったものにあんまり興味ないからやろうとは思っていなかった。それに今までも同じくらい人気になるゲームはあったけど、いまいちピンとこなくてやってこなかった私だけど、今回は明確にやろうと考えたきっかけがあった。それは——
——モフモフ。
『モフモフ』は私を天国に連れていく素敵な最高に愛くるしい存在。しかし、家族とペット禁止のマンションに住んでいるのでモフモフを飼うことができない。ところがこのゲームではゲーム内で動物や魔物が仲間にできるし、一般的な犬などのモフモフもそうだけどオリジナルの魔物もいて毛の手触りや習性など非常に拘っていると耳にしたのだ。
その情報を見つけたのが個人のゲームレビューサイトだったからちょっと情報としては不安だけど、モフモフの情報とあっては確かめなければ……。
この人の書き込み具合が半端なかったから密かに同じモフモフ好きではないかと思っている。このモフモフへの執念で私は無事に『Little Afterlife Online』の第二陣としての購入権を勝ち取り先ほどインストールを済ませていたのだ。
『パーソナル情報を取得完了。ようこそ朝倉 優希 様。』
するとゲームが開始されて私の視界が真っ白になると一時的に私の体の感覚が抜けていく。
次第に視界が開けていき、だんだんと森林に囲まれた草原が見えだしてきた。体の感覚も戻ってきて木の香りや木の葉のせせらぎが聞こえてくる。とても穏やかな空間に見える。ただ一つ中央に神殿が立っていることを除けば。
神殿の入り口にはいくつかの柱がたっており、RPGによくある純白の城というよりも、どちらかといえば授業で習った中世の神殿のような建物に近い。中央には10段くらいの階段と入り口があり、奥には神の彫刻のようなものが見える。
感覚が戻りだして少しして完全に体の感覚が戻ると再び無機質な音声が頭の中に響く。
『ステップ1 体を動かしてみよう。中央にある神殿へ進んでください。』
さすがに他にやることもないので言われた通りに神殿の中に入っていく。
すると先ほど外の正面から見た時は神像が一体しか見えなかったけど、左から炎を手に出して着物をきた女性、ハンマーを持って法衣を纏った男性、槍を持った少年の像だった。
おそらく日本の火の神、西洋の創造神、ゲームオリジナルの水の神だろうけど、神話にあまり詳しくない私ではモデルがどの神様かはイマイチわからない。
神殿の中央にたどり着くと再びナビゲーションの音声が流れる。
『ステップ2 容姿の設定をしてください。』
機械音声の後に半透明のプレートのようなものが出現する。そこには現実の私が写っていてそれぞれ各所のパラメーターがいじれるようになっていた。
元々容姿に関してはさほどいじるつもりはなかったけど、これだけいじれる幅が広いパラメーターを見てしまうといじりたくなってしまうじゃないか…。
ってことで元々の予定を捻じ曲げて容姿設定に入ることにした。まず髪色を黒髪から白髪にした。白髪って言ったらおばあちゃんみたいな色を想像するかもしれないけど、光沢のあるプラチナだね。
次に瞳を碧眼にする。すると不思議なことに髪色と瞳の色を変えただけでかなり西洋の人に近づいた。顔の骨格もところどころ整えていく、褐色の肌の女の子にもしようかと思ったけど、キャラクターの作り直しは1週間できないので早くモフモフと会うためにもそれはできない。なのでさすがに冒険はせずに元の肌色のままにしておいた。
そしてお胸の方もいじっていく。現実でも絶壁なわけではないけど大きい人には普通に負けちゃうだろう。大きい胸に憧れていないと言ったら嘘になるけど、大きい胸は肩を凝るとよくいう。でもせっかく非日常を楽しめるんだから少し大きくしておこう。そう言いながら私はパラメーターのゲージを最大にしていく。
これで一般的な人よりは少し、ほんの僅かに大きくなっただろう。決して小さいのが嫌で盛ったわけではないのだ。
違うからね!!!
そしたら大体の体の設定は終わったので最後に全体の肉付きをよくする。現実では食べていると言っても少食なので肉付きを良くしただけでかなり良いプロポーションになった。よし。だいぶ良い出来栄えなのではないだろうか。
私は満足して決定ボタンを押す。するとまたナビゲーションが鳴り響く。
『ステップ2 スキルを設定してください。』
再び半透明なプレートが出現して、そこにはスキル一覧が表示された。このゲームではスキルシステムがあってスキルという特殊能力が使えるようになる。
例えば剣術スキルでは、剣を装備できるようになり、スラッシュという斬撃を飛ばすことのできる必殺技が使えるようになる。
これは一種の救済措置で普段武器を使ったことのない人でも簡単に敵に攻撃できるためのものだと思う。
掲示板によるとスキルを初めは4つまで選ぶことができて、冒険者ギルドで依頼を受けると1つ枠が解放されるみたいな感じで簡単なクエストをこなすことで最大10つ個まで取得できるみたい。
今表示されているスキルの一覧だけでもかなりの量があって選ぶののはだいぶ手間な気がする。ゲーム買う前にある程度下調べしたと言ってもここから目的のスキルを探すのは結構大変かもしれない。
「あれ?なんだぁ」
私が気づかなかっただけで右上にスキル検索のツールがあるみたいだ。
早速検索から目的の調教スキルを選択する。ネットでの下調べによると、この調教スキルを持っていないと動物や魔物を仲間にすることができないみたい。
そもそも私が目的にしているモフモフは卵の孵化と野生の子の調教で仲間にすることができる。具体的には卵はあんまり強い子に育たなくて、野生の子は強くても仲間にするのが難しいらしい。
召喚スキルとかもあるってネットの記事に書いてあったけど意思のない動物しか召喚できないみたいで、私としては意思がない子は論外で一緒に喜んだり楽しんだりできるモフモフと一緒にゲームがしたいので調教スキルにした。
あと三つかぁ。
個人サイトに書いてあった情報によると動物や魔物を仲間にするには、始まりの街のペットショップで卵を買わないといけないらしいんだけど、記事を見た感じまぁまぁなお金がかかる。
それに餌代もバカにならいと書いてあったので、できれば残り三つのスキルの内の一つくらいは生産系で餌代くらいは稼げるスキルを入れようと思っているんだよね。初めての人でも使えるように生産系のスキルには補正が入るみたいで私でも手が出しやすいしね。
ちなみに私が悩んでいるのは鍛治と調合と錬金の三つ。
鍛治に関しては鉱石を加工して剣や鎧などの武器とか防具を作ることができるスキル。調合は薬草とか毒草を加工してお薬が作れるスキル。錬金は魔法みたいなシステムで魔法陣とかを書いて色々なものを加工できるスキルだけど、質が少し他のスキルで作ったものよりも劣るって書いてあったはず。
鍛治はしっかりとした生産施設がないと始めるのが難しいらしいので今回は見送りにした。
残る調合と錬金だけど、この二つのいいところはポーションって呼ばれる薬が作れるところで、ポーションを使って自分を回復させたり相手に毒を投げたりすることができる。しかもポーションはゲーム内で買おうと思うと質の良いものは結構値段がするらしいので自分で作れたらその分、モフモフにお金をかけることができるし。使えるかわからないけどモフモフにも使ってあげることができる。
そう考えると調合スキルを取って質のいいポーションとかを作る方がいい気がしてきた。私は調合スキルを選択する。
よし、そしたら残り二つかな。ちなみに料理も候補の一つとしてあったけど、別に現実でもできるからせっかくのゲームで取得するのはやめた。
さすがに一つくらいは武器系のスキルを取った方がいいかもしれない。
武器系スキルがないと武器が何も持てなくなってしまうシステムらしくて、完全に生産職をしない限りは武器スキルを一つを取ることを推奨しているみたい。
それに武器を持っていたら薬草の採取とかするときに自分を守りながら採取できる。別に薬草を他の人から買い取りをしたり、護衛を雇うみたいなこともできるみたいだけどその分お金がかかっちゃうし何より採取は自分でやってみたい。
あ、でも採取ナイフや鍛冶のハンマーとかは武器スキルを持っていなくても誰でも持つことができる。それでも私はナイフはまだしもちゃんとした剣は使いこなせる自信ない。それに弓とかの遠距離攻撃も私では当てられない気がする。それにありきたりな攻撃手段だと飽きちゃうかもしれない。
そうすると候補としてはやっぱり鞭が一番いいかもしれない。鞭なら調教する時にも遠距離から攻撃できるし近距離攻撃もできる気がする。やっぱり使ったことないから慣れが必要かもしれないけど練習するのも楽しそうだ。
現実でも調教師とドS教師は鞭ってイメージが強いけど、実際このゲームの中でも動物や魔物を仲間にするにはちょうどいいらしい。そもそも魔物を調教するには体力を何割以下にして調教スキルを発動するって方法がこのゲームの中では一般的で、鞭を使うと一回のダメージが低くて何回も攻撃することで敵のHPを調整しやすいらしいんだよね。
他にも似たような理由で魔物を仲間にするもに使いやすい武器としてレイピアがあるけど、私的にはやっぱり調教師は鞭ってイメージが強いから今回は鞭にすることにした。それに最悪無理そうだったら新しく他の武器スキルを残りの枠で取ればいいしね。
てっきり私は魔法スキルを使うにはハリー◯ッターみたいに杖を使わないと魔法が使えないと思っていたけど、スキルの説明を見てみる限り魔法スキルは杖がなくとも使えるらしい。
ただ杖を使うことで威力が上がったりする補正はかかる見たいだ。なので最後の一つは魔法スキルを選択することにしようかな。やっぱり普段だと体験できないものも取っておくべきだと思う。
魔法スキルは結構量が少ないみたいで火魔法と水魔法、風魔法、土魔法の四つしかない見たい。下調べした時には掲示板に光魔法や闇魔法って魔法スキルもあったはずなんだけど、ゲームを始めてからしか手に入れられないのかな。どの魔法も名前通りの魔法を扱えるスキルだった。
魔法をとるにしてもこのゲームの生活で有用なものにしたい。
火魔法は調合で釜を温める時に使えそうだし、魔法っていえばみたいなところがある。水魔法はモフモフにお水をあげることができるし、調合の時のお水としても使えるだろう。風魔法と土魔法はあんまり私がゲームで生活する中でうまいこと使うことができない気がする。なので私が取るとしたら火魔法と水魔法のどちらかになる。
できれば生産に使うよりもモフモフ達に使ってあげたい。その点水魔法はモフモフに水を使うことができるし体を洗ってあげる時にも使える。水魔法ならモフモフのためにもすごく役に立ちそうだ。こうして私は最後のスキルは水魔法にした。
全てのスキルを決め選択が終わると本当にこのスキルでよろしいですかという表示が現れたので迷わずYESを押す。
『ステップ3 種族を設定してください』
人間種と人外種を選べるみたいだ。よくみてみるとどちらを選択しても決定ボタンを選択するまでは変更ができるみたい。しっかり悩んで考えられるってことかな。
試しに人間種を選択してみるとヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人、機械人の選択肢が出現する。それぞれ種族に得意不得意があるみたい。ネットの記事で読んでいた時は普通のゲームではステータスという身体能力とか幸運とかのパラメーターを自分で細かく決められるのが普通らしいんだけどこのゲームでは決められない。『Little Afterlife Online』では種族によってパラメーターの成長の方向性が決まるらしい。
例えば、ヒューマンは基本何にでも適性がありどの能力値の成長も基本一定。どんなことにも適性があるけど逆に器用貧乏になりやすい。
エルフは知力と器用の成長率が高くて防御の成長率が低いので魔法や遠距離攻撃に向いている。あと変更してみたら耳が長くなった。
次にドワーフは筋力と起用の成長率が高くて速度の成長率が低いので鍛冶に向いている。ドワーフに変更してみたら身長が低くなった。ヒューマン以外は人間的な特徴に変化が出るのかな。
獣人の中にも何種類かの選択肢と耳と尻尾だけ生やすか完全に身体中毛だらけになるか選べるみたいだ。成長率もそれぞれで変わってくるみたいだけど、共通して知力が低くてあまり使えなくなるらしい。私は魔法スキルを選択してしまったし、自分がモフモフになるのは何か違うので獣人はないかな。
最後に機械人は人間の成長率を少し強化して逆に魔法が使えない種族みたいで見た目も完全に機械の継ぎ目があったりと機械人間になってしまっている。
もう一つの選択肢の人外だけど選択しているプレイヤーはそれほど多くないみたい。そして全ての特徴として一つに特化して成長率がいいけど、他がダメダメみたいだ。私的にはこんなにピーキーな種族は使える気がしないのでパスにする。サキュバスとかはちょっと面白そうと思ったけど……。
ちなみに第一陣でクエストの中で違う種族に強制変更された人もいるらしい。私としては通常のヒューマンでいいかな。せっかく設定したスキルを取り直したくないし、色々なことをやってみたいから変に能力値の成長が偏っていない方がいい気がする。
『ステップ4 神殿で祈ってみよう 神殿中央で膝をつき手を合わせましょう。』
私は指示通りに教会の中心で祈りの体勢をとる。
すると神々の像から後光が光だして私を照らす。少しして何やら壮大なBGMとともに男性女性子供の声で「我らはあなたの来訪を祝福する」と空から告げられ視界は暗転した。
ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価していただけると嬉しいです!
評価だけでなく感想もまったりな作者のモチベーション向上に繋がります!
よろしくお願いします!