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信じられなかった少女が信じられるようになるまで

作者: 芽依

初めて書いた小説になります。

初めての作品なので至らぬ点が多々あると思いますが、できれば目を瞑って読んでいただけると作者がとても喜びます!

よろしくお願いします!!


2023.2.12初評価がつきました。評価をつけてくださった方、ありがとうございます!

「華はもっと自分に自信をもっていいんだよ」


私は自分に自信がない。幼馴染の悠からこんなことを言われるくらい自分に自信がない。

悠と私は生まれてからずっと一緒にいて、小学と中学とずっと同じだった。だから、私が何を思っているのか、何を考えているのかなど陰での努力も知っていたりする。それでも自己否定を繰り返し、自己肯定感がない状態で高校生になった。そして、こうなった原因は小学校の高学年にまで遡る。


小学校のときにテストで高得点を叩き出していたことが始まりだった。華は自分がテストで高得点を出したいからという理由で家で必死に勉強をしていた。家で勉強しているときは悠も一緒に勉強していることが多かったことから、華と悠の家族は2人の陰での努力をちゃんと見ていた。そして2人の努力も認めてくれていた。

そんなときだった。小学校4年生のときにある全国学力テストがあり、その結果が出たときに保護者会が行われた。華と悠は全科目で余裕の平均点超えをしていた。親たちはそれを自慢するわけでもなく、2人の努力の結果だと認めていた。だが、周りの親たちと担任は黙っているわけでもなく。

「華さんと悠くんのお母様方ですか?」

と担任が話しかけてきた。母親同士お互い顔を見合わせ、少し不審になりながらも「そうですが」と答えると、

「2人は頭がとてもいいですね。今回の結果を見てとても驚きましたが、学校の平均点が〜」

と話が続いた。そこから周りの親たちは「華ちゃんと悠くんは塾に行ってなかったよね?うちの子、塾に行っていても平均点すらとれてないのよ」と空気が少しずつ不穏なものに変わっていく。

そこから家で「華ちゃんと悠くんは今回のテストで高得点が出せたのに、どうして〇〇(子供の名前)は平均点すら取れないの?」親たちから子供へと聞かれ、その子供たちの苛立ちの矛先が反抗的な態度をとらなそうな華へと。

そのまま華はいじめの対象となり、悠は先生たちからの期待からで華のことを助けたくても助けられない状況になった。普段のテストから高得点を叩き出していた2人が学力テストを受けてから周りの大人たちのせいで、一緒にいられなくなり色々と狂わされていった。

先生からの裏切り、クラスメイトたちからのいじめ。華は幼馴染と家族以外信用できなくなり、対人恐怖症で不登校になった。対人恐怖症のせいで家から一歩外に出ることすらままならない生活が続いた。



〜悠視点〜

幼馴染の華が不登校になった。しばらく会えてなくて、そろそろ会いに行こうかなと思ったタイミングだった。華が誰のことも信じられない状態になっていると例外がおじさんとおばさん、そして僕たち家族であることを両親と一緒に、おじさんとおばさんから聞いた。クラスメイトからのいじめや教員たちからの期待で辛くなってしまったのだろうとなんなく理解できてしまった。そんな自分が華のことを助けられなかったという事実に責任や申し訳なさが積み重なる。そのまま自己嫌悪になっていると

「華から伝言をもらっていてね。悠とおじさんとおばさんに会いたいと言っていてね。時間がつくれたら会ってくれないかな?」

と。1ヶ月会えない期間が続き、僕は自分の中にあった恋心に気づいた。告白したくてもできない状況にモヤモヤしていたところでの申し出だ。

「いま会いにいってもいいですか?」と聞くと、両親とおじさんたちはまだ話したいことがあるから行っておいでと言われた。ここからは賭けだ。振られたら今までと同じように幼馴染として側にいよう、と決意しながら華の家に向かった。



〜華視点〜

お母さんたちがおばさんたちに今の私の状態を話しに行くと言った。もう1ヶ月会っていないから心配していると聞き、思わず伝言を頼んだ。それは『悠に会いたい』の一言。


お母さんたちが出かけて、30分ほど時間が経ったときに家のインターホンが鳴った。怖くて縮こまっていると、「華、いるか?悠だけど」と声がした。恐る恐る玄関の扉を開けると悠が立っていた。私が驚いていると、

「おじさんたち、お父さんたちとまだ話すことがあるから先に行ってなって言われたから来ちゃった」

笑顔で言った。悠らしいなと思い、ふふっと少しだけ笑うと「笑うなよ」と不貞腐れたような表情をした。おかしくなって2人で笑っていたら会ってすぐにあったぎこちなさみたいな空気は消えていた。

悠を家に入れて一緒に座る。

「なぁ華。今言うべきことではないんだが、1つだけ言いたいことがあるんだ。言ってもいいか?」

いきなり悠に言われて驚きながらコクコクと頷く。何か言われるようなことをしてしまっただろうかと思いながら口を開くのを待っていると、急に真剣な顔になりこう言った。

「華のことが好きだ。辛いときに助けてあげられなかったけど...あ、答えは今じゃなくていいから」

私は悠のことが好きだから聞こえた幻聴かと驚いた。これは夢かなと思いながら力任せに頬をつねるとすごく痛い。やっぱりこれは現実だ。それを見て目の前で悠がとても動揺している姿がある。答えは今じゃなくていいと言っていたけど、今ちゃんと伝えよう。

「あのね、私も悠のことが好きだよ。

だけど、今学校に行けてないし、中学に行けるかもわからないし...自分に自信があるわけでもない。こんな私でもいいの?」

段々と尻すぼみとなる。途中から悠の反応が怖くて顔を逸らしているとギュッと抱きしめられて

「それも含めて華でしょ?それもわかっている上で告白してるんだ。いつかは『こんなことあったよね』って笑い合えるようになるから、ね?それまではゆっくりと心の傷を癒そうよ」

と答えられた。その言葉がすごく温かくて、悠の腕の中で泣きながら「ありがとう」と言った。



それからしばらくたった。いつの間にか私たちは高校3年生になって半年以上が過ぎ、悠は大学の進学先が年内に決まった。私の受験は年明け後だったから悠から勉強を教えてもらうことも多々あった。

2人は同じ通信制高校へ進学し、コツコツと勉強を進めていった。悠は高校の志望校を決めるときに、中学校の先生から悠ならもっといい高校に行けると止められていたらしいが、「普通の高校に行っても通信制に行っても学べることは変わらない」と言い、志望校を変えなかったらしい。悠は相変わらずだなって思いながらその話を聞いていた。

私は高校に入ってから偏差値60の大学を目指そうと決め、少しずつ勉強を進めた。小学校高学年から学校に行ってなかったから、基礎からのやり直しでとても大変だった。面倒臭がらずに目の前の課題をこなしていったおかげか、高校3年生になる前から大学の過去問を解き始められるようになった。そのことを経験してからは前向きに行動できたり、自分に自信が持てるようになり始めたが、たくさんのトラブルだったり、壁にぶつかったりもした。

私の感情制御がうまくいかず悠に喧嘩してしまったり、別れた方がお互いいいんじゃないか、幸せなんじゃないかとなり話し合ったこともあった。でも、なんだかんだで別れずにずっと一緒にいる。別れずにいられていることがすごい奇跡だなと思っている。



朝、大学から合否通知が届いた。家族でリビングに集まって封筒を開けてみると、入っていたのは『合格通知書』。合格できてよかったという安心感やこれまでの努力が報われた気持ちで涙が流れてきた。それと同時に自分に自信がついた。頑張ればなんでもなれると、自分を認められたから。


その日のうちに大学からの合否通知を持って悠に合格したことを伝えに行った。そしてやっぱり涙が溢れてきた。

「私はなんで泣いているの?合格できて嬉しいのに...」

答えを求めていない問いかけをする。泣き止みたいのに涙が止まらなくて混乱する。

「華は嬉しいんだよ。嬉しいときも人間は泣くことがあるんだ。よくがんばったね。」

と悠に言われて私の涙腺が崩壊した。泣きじゃくる私を抱きしめて「がんばったね」と言って今までの私の努力を認めてくれる人がいるからこれまで頑張れたんだろうなって感じ。

「ねぇ悠。好きだよ。いつも近くで見守ってくれててありがとう」

(悠は知らないだろうけどね、悠がいてくれたから私はここまで頑張れたんだよ)

それを言うと、悠は顔を真っ赤にした。そして「それはずるすぎる」と言いながら優しく唇を重ねた。


〜大学卒業から数年後〜

「パパー、ママー!みてみてお魚さんがいっぱい泳いでる!!」

と娘が大きな声で言っている。かわいいけど、これは注意した方がいいだろう。

梨奈(りな)、ここで大きな声を出しちゃだめだよ。お魚さんたちがびっくりしちゃう。」

と言いながら抱き上げる。重くなってきたからそろそろ抱き上げるのは難しくなりそうだなと思っていると

「華、梨奈。ペンギンの餌やり見たくないか?」

と言いながら悠が横にきた。この3人でいることがいつの間にか当たり前になっている。


ねぇ、悠。私ね、いまとても幸せなんだよ。いつも一緒にいてくれてありがとう。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

いずれ投稿するだろう他作品も読んでくれたら嬉しいです。

よければ感想やレビュー、いいねもよろしくお願いします。

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