婚約者が可愛くて仕方がない
はじめまして。
初めて投稿します。
お手柔らかにお願いします。
語り口調です。
皆様ごきげんよう。
わたくし、ヴェルナー公爵が娘、レリアナ・ヴェルナーですわ。以後お見知り置きを。
早速ですが、わたくしのお話聴いてくださります?
わたくし幼い頃から婚約者がいまして、お相手は、この国の王太子であるガウェル・アルストリア殿下ですわ。
殿下は幼い頃から聡明であり、金髪碧眼と容姿も美しくすばらしいと臣下からも慕われておりますの。
夜会にご出席なされればご令嬢方に見惚れられ、ご令息方や臣下にも殿下とお話をしようと囲まれておりますわ。
殿下と1度でもお話を交わしたことがある方ならご存知でしょうが、殿下はとても親切な方なのです。
この間なんて、一日で20件以上殿下の元に謁見の申し込みが報せもなしに来たんです。殿下だって王太子なのですから、公務がありますのに、全て対応なされたのですわ。
本当に素晴らしいお方なのです。
殿下は、皆様にかっこいいと言われていますわ。そして、完璧だとも。
夜会などでも、わたくしをエスコートする時も素晴らしくかっこよくて、わたくしの友人にも羨ましがられますわ。
もちろん殿下はかっこいいと思いますけれど、でもわたくしは、
殿下は………
もの凄く可愛らしいと思うのです!!!
先程話にも出ましたが、夜会のエスコートの時、何回も私をエスコートしてらっしゃるのに耳まで真っ赤にして手を差し伸べてくださるの。
それだけではなくて、舞踏会で踊っている間、ずーっと顔を真っ赤にして、目も合わせてくれないんですの。可愛いですわよね?いじめたくなります。
傍から見てる分には、仲睦まじい様子なのでしょうけれど、近くに来たら分かりますわ。
でも、初めて舞踏会で踊った際は、目を合わせてくれないので、嫌われているかと思いましたわ。
ーーー
この婚約はいわゆる、王家と公爵家の政略結婚でした。でもわたくし、殿下を一目見た時に、惚れてしまったの。
初めての舞踏会までは、週一回お会いしていました。殿下は優しかったのですが、私が一方的に話すことが多かったのもあり、殿下に嫌われていると思ったら、殿下とお会いするのも怖くて、舞踏会後の週に一回お会いするのをいつも避けていましたわ。お母様やお父様にお願いして、体調不良などの理由付けをして貰いました。
毎回、「殿下がお見舞いにくる」とお父様に言われていたのですが、お断りしておりましたの。だって会うのが怖かったですから。
でも1ヶ月も経った時、急に殿下がお見舞いにいらっしゃったの。
わたくし、殿下に嫌われてると思っていたので、殿下のお姿を見た時に怖くて泣いてしまったわ。淑女としては失格でした。
ですが、そんなわたくしをみても、殿下は優しく声をかけてくださったの。
「どうした?なにかあったら相談にのるよ。」
その言葉を聞いて、余計わたくしは悲しくなりました。
私の事嫌いなのではないの?嫌いなのに何故優しくするの?と、気づいたら泣きながら叫んでいましたわ。
その言葉が、声に出てることに気づいた時、ああ、もうわたくしは婚約者でもいられないと思いました。
怖くて怖くてわたくし、何も見られなかったわ。時計の音が聞こえるくらい静かだった。この時間が怖くて、殿下に出ていって貰おうと声をかけようとしたとき、
殿下から、ボソッと声が聞こえたのです。
「…き、嫌いじゃない…」
わたくしが、顔を上げるとそこには真っ赤に顔を染めた殿下がいました。わたくし、そんな殿下見た事ないものですからどうしたらいいかわからなくて、言葉が出ませんでした。涙も止まってしまいました。
その後、わたくしは、先程殿下から聞いた言葉について考えていました。
嫌いじゃない…嫌いじゃない…ならどうして舞踏会の時目を合わせてくれなかったのでしょうか。そんな疑問が浮かんだのは、殿下がお帰りになった後でした。
わたくしは、このことを聞かなければ、大好きな殿下と離れてしまうことになると幼いながらに悟り、来週はお会いすることを決めましたわ。
当日、わたくし1番緊張していたと思いますわ。殿下は、来てくれてありがとう。とにこやかな笑顔で迎えてくれましたわ。
席に座って私は早速、今まで休んでしまっていたことをお詫びし、お見舞いに来てくださったことのお礼を述べました。殿下は、目を逸らし、「それくらい当然だ」とおっしゃっていました。
お茶会も後半に差し掛かったとき、私は意を決して話を切り出しました。
「…殿下、お見舞いに来てくださった時、嫌いじゃないとおっしゃっていましたよね…」
「あ、ああ」
「…では、何故…っ…何故舞踏会で踊った際、わたくしと目を合わせてくれなかったのですか…」
わたくし、もう涙が止まらなかったわ。
「…わたくしたちは、政略結婚です…ですが…ですがわたくし、殿下のことが好きになってしまいました…」
こんなことまで言うはずではなかったのに、言ってしまったのです。
涙で目を濡らしながら、でも逸らしてはいけないと、殿下の目を見ながら話しました。
殿下は、みるみるうちに顔が真っ赤に染まり、目を逸らしてしまいました。
ああ、やっぱり。と思ったのはつかの間。
殿下は真っ赤な顔でありながらどこかオロオロした状態のままわたくしのほうに寄ってきてくださりました。
「な、泣かないでくれ、私が悪かった…」
跪づき、私を見上げながらそう言いました。
「じゃ、じゃあなんで…」
「っ、恥ずかしかったんだ…」
「は、はずかしい?」
「だっ、ダンスの時、あんなに……密着されたら恥ずかしくて、……あなたの目をみることが出来なかったんだ…」
「…え、」
その時殿下から紡出された言葉に驚き、涙が引っ込みましたわ。
「…で、ではいつも素っ気ない返事なのは…」
「……レリアナ嬢と…2人きりなのに緊張して…」
「……」
「……」
わたくしだって恋愛の本を読みますのよ。鈍感ヒロインという言葉もあるようですけれど、わたくしは気づいてしまったの。
「…殿下、もしかして、わたくしのこと…すきですか?」
目の前で先程よりもさらに真っ赤になった殿下がいらっしゃって、わたくしの涙はいつの間にか止まり、笑顔がこぼれてしまったわ。
ーーー
それからというもの、殿下がわたくしにとる素っ気ない行動は、照れ隠しだということに気づいてしまったの。そんな、殿下を嫌いになれるはずもなく、ますます好きになりましたわ。
そして、わたくしがとる行動で、殿下が真っ赤になるのが嬉しくてすこしいじめてしまうようになってしまったの…。
恥ずかしいですわ…。
でも、いつも澄ましたような完璧な殿下が、わたくしの前でだけ可愛らしいお姿を見せてくれるんですよ?そんなのやめられないですわよね。
殿下は、やめてくれと赤い顔で仰るのですけど、そのお顔で言われたら、当分やめることはできそうにないですわ。
わたくし、殿下に愛されてるのを身をもって知ることができ、本当に幸せです。
ーーー
あら、わたくしったらこんなにも長くお話していましたわ。
惚けになってしまったかしら…
わたくしの思いを皆様と共有したくて…このように恋バナなるもののお話をする機会がないものですから…。
長くなりましたが、わたくしの話を聴いて下さりありがとうございます。最後まで聴いて下さりすごく嬉しいですわ。
このような殿下は、いつもの殿下からは想像できないと思いますが、わたくしと殿下が結婚した際には、皆様にもお見せしようと思いますわ。その時をお楽しみにしていてください。
それでは、皆様またの機会に。
お読みいただきありがとうございました。