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⑾『価値観転倒の、夜の鳥』
⑾『価値観転倒の、夜の鳥』
㈠
何処からかやってきた、鳥の群れが住む、天の位置を視座に据えて、物事を理解する、そして小説にする、そういった行動は、まさに、小説家の原点になるような行動である。人間は、単体では、飛ぶことは出来ない、ただ、飛ぶ鳥を俯瞰するだけである。
㈡
自分が、小説を書いていなかったら、こういった、鳥に、また、夜の鳥にも、関心を持たなかったかもしれない。俺は、今ここで、小説が書けていること自体が、幸福かつ、奇妙であり、不可思議でもある。何かの錯覚で、何時かの頃、価値観転倒に、巻き込まれたのだろう。
㈢
殊更に、その意味を知るべく、小説をしたためていく。こういう行為は、小説家ならではの、小説化である。文章の絶え間ない流浪、気付いたときに、既に遅かった、ではなく、気付いたときに、ストックがあってよかった、と思える、価値観転倒なのである。いずれ、夜の鳥も、飛ぶだろう。