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⑴『価値観転倒の、夜の鳥』
⑴『価値観転倒の、夜の鳥』
㈠
どこから手を付けていいのか、どこから手を離していいのか、そんなことが分からない。もうずっと、友好的だった学生時代の世界は亡霊で、何やら地獄の様な、人生の有り様である。勿論、幸せも持ってはいる。しかし、どこかで、価値観転倒したのだろう。
㈡
ふざけた勢いで、俺は架空に位置を見出す。それにしても、一体全体、どうしちまったんだろう。言葉が水中で遊泳しているという感じだろうか。エネルギーにもならない、体力の亡滅で、次第に、身体が滅びて行くのを、俯瞰している。
㈢
夜の鳥は、未だ飛ばない。最後の最後で、飛ぶ様な気がする、鳥の位置ではあるが、俺は今日も、迷走しながら、小説を書いている。殊更に、書く必要がある訳ではないのだが、決めたからには、書く、というのが、ぼんやりとした動機だ、ただ、この同期は、実は、価値観転倒した後に、生じた動機だから、ありがたい。