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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第二章 エボルブ・ブルード
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#31 新装備と買い物

 俺は専用の武器という思わぬ楽しみが増え、気分良く散策を再開する。


「武器の目途は立ったし、次は装備・・・まぁとりあえず服か。」


 俺がアルデンに転移させられた際に来ていた服は先の戦いでボロボロになったので、今はレルの服を借りている。体格がほぼ同じなので助かっているし、この服の着心地も悪くないが、やはりいつまでも借りておくわけにはいかない。

 そうして、武器屋から十分程度歩いたところに服屋があったので入ってみることにした。

 店内は元の世界の服屋のように何十、何百と服の種類があり、そのデザイン、色、柄、値段などは様々である。しかし、正直俺は服、ファッションにはそれほど興味がないため、動きやすければそれでいい。

 

「ありがとうございましたー!」

「おし。服はこれでよし、と。」


 俺が選んだのは白いインナーに前の開いている半袖の黒いジャケット、あと滅茶苦茶伸び縮みするジーンズのようなものを見つけたのでそれとベルトも購入した。半袖にした理由は、もしガントレットを装着する際に長袖だとなんか面倒くさそうだからという理由である。


「あとはまぁ・・・軽く防具辺りは見ておくか。」


 俺は買った服に着替え、その足で防具屋を探す。武器屋でかなり時間を要したから他のところはさっさと済ませてしまおう。集合時間を決めているわけではないが、まぁ待たせてしまうよりはいいだろう。

 数分うろうろしていたらよさげな防具屋を見つけたので入ってみる。


「・・・らっしゃい。」


 頑固な職人のような人相の店主がカウンターで挨拶してくる。とりあえず会釈を返しておき、店内を見て回る。


「おぉ・・すごい・・・」


 店内には、凄まじい数の鎧が飾られている。他にもさまざまな大きさの盾もあり、使用者や使用用途によって選ぶことができるようだ。

 そして、防具が店の奥で乱雑に置かれているコーナーを発見した。


「なになに・・・『中古品』・・か・・・他はごつい鎧ばっかだし、なんかよさげなものは・・っと。」


 何十とある木箱に入っている防具をガサゴソ漁っていると、一つの商品に目が留まった。


「く、黒い。それに軽い。」


 見つけたのは、小さめだがとても軽い胸当て。その色はどこまでも黒く、鈍い光を放っている。試しにこっそりとゴンゴンと拳で叩いてみたのだが、見た目よりも頑丈そうだ。


「おい、何やってんだ?」

「・・・あ。」


 先ほどの店主がこちらへ向かって歩いてくる。どうやら叩いているときの音が思ったよりも響いていたようだ。


「はは・・あまりにも軽かったので、強度はどんなもんかと・・・」

「そいつは中古の中でもなかなかの掘り出しもんだ。と言っても中古品をわざわざ漁る奴はそうそういねぇから何年も売れてねぇし、俺もそれの出所は知らねぇがな。」

 

 店主は以外にも丁寧に説明をしてくれた。やはり人は見かけにはよらないということか。


「・・・気に入りました。これを下さい。」

「毎度・・・んでお前。見たところ駆け出しの冒険者ってところか?小せぇし、フルプレートアーマーなんかよりは、そういう軽いやつの方が良さげだな。」

「はい・・小さいは余計ですけど、まぁそうですね。」


 俺の身長は百六十五センチほどで、日本人の平均身長よりも低い。しかし、比較対象としてパッと思いついたレルも俺より少し高いくらいなのである。

 一体この世界の平均身長はどのくらいなのだろうか。

 そもそもこの店主が百八十五センチはありそうなので、この人がただただデカいということも十分にあり得る。


「・・・それなら、こいつなんてどうだい。」


 店主がそう言ってカウンターの奥から取り出してきたのは、黒いロングブーツ。シンプルで見た目もいいが、脛の部分が少し分厚くなっている。


「このブーツの脛の部分には、その胸当てのような金属が埋まってる。それと同時に店に入ってきたもんだ。軽いうえに防具としてしっかり機能する。どうだ?」

「はい!じゃあそちらも!」

「毎度あり。せいぜい死に急ぐなよ。」


 購入したブーツと胸当ても早速装備してその店を後にした。


「いやぁ・・・随分とそれっぽくなったもんだ。」


 今の見た目なら、周りから見てもまさしく冒険者そのものだろう。本当は剣なんかも付けていたら更にそれっぽいが、ガスターさんに作ってもらうガントレットの事もあるし、戦闘スタイルは今のものから変えない方がいいだろう。


「うん。ポーションはすでに買ったし、他に買うもんあったっけ?・・・まぁ大丈夫だろ!よし、あとは・・・適当に見て回るか。」

 

 そうして、最初と全く同じような散策タイムに戻り、ラザール通りを目的もなしに歩き続ける。


「あれ?店が急に減ったな。あ、ラザール通りはここまでか。」


 気づけば通りの端から端までを踏破してしまっていたので、Uターンして細い路地なんかも入りながら集合場所の噴水を目指すことにした。


「お、路地裏にも結構いろいろあるな。」


 こちらは敷物の上に商品を置き、販売しているエリアのようだ。内容は、服、家具、工具、おもちゃなど様々。元の世界で言うフリーマーケットのようなものだろう。


「必要そうなものがあったら買ってみるか。」


 そして商品を漁ること三十分。俺が勝ったものはこちら。


 調理器具――包丁、まな板、フライパン、鍋その他いろいろ。宿なし食事なしの生活をする可能性があるため。いざというときのために購入。

 万能砥石――調理器具を買った際にそこのおばちゃんにおすすめされた。これ一枚だけでかなりの切れ味に戻るのだそう。

 クリーニングブロワー――洗剤と同じ効果を持つ風を出す魔道具。このブロワーの風を服に充てるだけで洗濯の必要がないという旅にはかなり重宝する代物。空気中の魔力をエネルギーに変えるので充電の心配がいらないという神商品。

 テント・寝袋――この世界にもキャンプをする文化があるのだろうか?とにかく、万が一野宿することがあってもこれで安心。寝袋は三人分買っておいた。

 不思議な模様が入っている水色のバンダナ――アルデン教みたいなのもあるみたいだし、例の()()を再現可能!?


 とまぁ、他にも買ったものはいくつかあるが、基本的にはこんなものだ。


「遅くなっちゃったかな?早く戻んねーと!」


 これにてすべての買い物が終了した俺は、小走りで集合場所へと向かう。

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