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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第二章 エボルブ・ブルード
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#22 首相と突然の超進化

投稿が予定よりもちょっと遅れました。申し訳ございません。

「お前も首相のところに行くんだろ?一緒に行こうぜ。」

「えぇ。じゃあご一緒させてもらいましょうか。皆すまない!ちょっと行ってくる!」

「「「行ってらっしゃいませ!」」」


 近衛騎士団の面々に見送られその場を後にした俺たちは、場内の渡り廊下を進んでいた。


「しっかしいつ来てもなんか気味わりぃよなぁ・・・景色がガキの頃から一つも変わってねぇんだからよ・・・」

「それだけ手入れと管理がしっかりしているってことですよ。おっ、そういえばアリヤ?あなた、冒険者も良いけど、たまには騎士団(こっち)にも顔を出しなさいよね。あたし以外女の子一人もいないんだから。」

「まぁ、女の人は大抵魔法士団の方か、使用人さんになるだろうから、仕方ないわよ。」

「仕方なくないわよー!あーあっ。可愛い女の子、入ってこないかな・・・」


 そんなことを呟くフレイリアである。これは少し後にアリヤから聞いた話なのだが、彼女が騎士見習いを卒業し、正式に近衛騎士団に入団した年の事。紅一点だった彼女は、他の騎士たちから度々求婚を迫られたそうだが、「男の人に興味ないの。」と言われ全員バッサリと切り捨てられたそうな。


 そう話しているうちに、この城の中枢、首相のいる玉の間につながる扉の前にたどり着いた。

 とんでもなく大きい扉。高さ十メートル位だろうか。暗めの色の上質な木で作られた非常に重厚感のあるそれは、この先の空間も凄いのだろうと容易に感じさせられた。


「『アシュラ』代表!ダリフ・ドマスレット御一行!ご到着です!」


 扉の内側からそう宣言されると、眼前の扉がゆっくりと開かれていく。

 城の中にある、広すぎる空間。敷かれているのは言わずもがなのレッドカーペット。中央から吊るされているシャンデリアは優しく、優雅に、それでいて力強く輝きを放っている。まさに豪華絢爛という言葉が相応しい。

 壁際には大臣と思われる者たちが数名、他には十数名の豪華なローブを身に纏った者達。おそらくダリフの言っていた魔法師団の人間だろう。近衛騎士団の面々も何人か集まっているようだ。

 奥にある玉座で堂々と構えているのは、おそらく先ほどから話に出てきているモラウス首相とやらだろう。肩幅も広く貫禄があり、年齢は六十から七十辺りだろうか。


「首相、もう王政でもねーんだし、普通に会議室とかでもいいんじゃないすかね?」

「なぁに、こちらの方が威厳が出ると思ってな。して・・・先の獣人からのプストルムの防衛、ご苦労であった。耳には入っておるのだが、まだ詳しい詳細が分かっておらぬ。報告を頼めるか?」

「了解。まず数日前の夜・・・」


 ダリフは首相に事の顛末を語り始めた。この部屋は遮光、防音効果のある結界で覆っているそうで、結界外にいる人たちには俺たちの姿は見えず、会話は一切聞こえないのだという。

 ダリフの説明を簡単にするとこうだ。

 数日前の夜、獣人が急に数百体発生。その時に動ける者をかき集めた臨時パーティでそれを迎撃、その場にいた少年、つまり俺と共闘しその場は沈静化に成功。だが次の日の夜。それらの一連の首謀者である呪属性魔法師団『カースウォーリアーズ』のカロナールと名乗る男によって三万体以上の獣人が出現。『アシュラ』、『サカラ』、『カルラ』の三ギルドが殲滅に当たり、それに成功。おそらくカロナールも死亡したものだと思われる。

 というありのままを分かりやすく、簡潔に述べていく。流石ギルドのリーダーだけあって、こういう場は慣れているのだろう。ダリフは一切の緊張も見せず、というよりは全く緊張していない様子だったが。


「・・・まあ重要なところはそんな感じです。細かい資料は今うちのバッカスに作らせてるんで、後日持ってきますよ。」

「ああ。感謝する。」


 とりあえず報告は終了したようなので、この次はどのような展開なのだと考えていたのだが。考えている間に首相が険しい表情で口を開く。


「だが、獣人の件よりも早急に確かめる事象があるな。」

「と、言いますと?」


 ダリフがそう返すと、首相はこちらの方を向いてきた。


「・・・・・タク・アイザワ。おぬしの事だ。」

「・・?はい、なんでしょうか・・・?」


 なんと俺に白羽の矢が立ってしまったのだ。驚いている間にも首相の話は続く。


「アリンテルド・・いや、全世界共通で知られるとある英雄のおとぎ話がある。その中にこのような文章がある。」


 

 魔神復活せし前兆に、異の世界より世界の狭間を渡りて、神より呼び出されしは、人知を超えし権能を操る英雄の雛。

 各方諸国を巡りて廻りて、己の拳をもって正に与し、邪を祓う。

 成長した雛は個にして種族最強。魔を打ち滅ぼすその姿、まさに武闘の王なり。



「・・・・・英雄の雛・・・武闘の王・・・?」

「その通りだ。そしてもし仮に、おぬしがその物語の英雄を謳うのみの愚か者ならば、こちらとて相応の粛清対象とみなさねばならん。タク・アイザワよ!今この場でそれを証明して見せよ!」

「なッ・・・!?」

「「「ッ!?」」」


 ダリフ以外の三人も固唾を飲んでこちらを見ている。勿論。そんな証拠などを俺が持っているなどとは思えない。


(チキショウ・・・あのジジイ、なんか勇者の証みたいなのもくれればよかったのに・・・)


 自分を勇者などと棚上げする気は毛頭ないが、こういった状況の事を考えていなかった。


(そもそも、スキル以外これといって何も貰ってな・・・)

「ほぅ・・!なんと・・・!」

「オイオイこりゃあ・・・!」

「ん!?なんですか!?」


 突如ダリフとモラウス首相が驚愕の表情を見せる。

 何かあるかもしれないと、俺は自分のステータスウィンドウを表示させたのだ。

 何が何だか分からない中、首相が驚愕しながらも呟く。


「・・・・・『進化之石板(アドバン・スレート)』。淡い光を放ち、持ち主に無限の成長を促すと言われる代物・・・。」

「え!?じゃあこれがおとぎ話の英雄様の!?」


 アリヤ達もそれがどのようなものか理解しているようで、全員驚きを隠せずにいた。

 そして、表示したのも束の間。予想だにしていない事象が発生する。


パリィィィィィィン!!!


「はぁ!?」

「わ、割れた!?」

「何が何だかよく分からないわね・・・」


 表示していたステータスウィンドウが、突然甲高い音を奏でながら粉々に砕け散ってしまったのだ。割れた破片は淡い光と共に空中で跡形もなく消滅した。次の瞬間、新たにウィンドウが現れ、文字が表示されていた。



 他者への『ステータスウィンドウ』の開示を確認。『ステータスウィンドウ』は、自動的に『進化之石板(アドバン・スレート)』へとスキル進化が施されます。


「なッ!?なんだなんだなんだ!?」


 その直後、視界に次々と現れるのは青白くぼんやりと輝き、半透明のレンガのような物体。それらがどんどん組み上げられ、最終的には石板の形となった。石板というより、先程のステータスウィンドウほどの大きさをしたレンガの壁といった印象だが。

 そしてその石板にゆっくりと文字が浮かび上がってくる。



進化之石板(アドバン・スレート)』―――『ステータスウィンドウ』の既存効果『技量・熟練度数値化』、『スキル発動時出力操作・把握』、『アイテムストレージ』に加え、新たに『スキル進化』、『スキル詳細』、『成長限界超越』を獲得、行使可能となりました。また、情報開示をされていなかったスキルを『スキル詳細』によって、『進化之石板(アドバン・スレート)』のスキル欄より確認可能となりました。



 おいおいなんか急にとんでもないことになっているんだが!?普通に考えて人前でステータスウィンドウを開くだけでこんな急激に進化なんて到底起こらないと思うのだが・・・『成長限界超越』なんて、言うなれば戦えば戦うほど強くなれるということだ。これにより、俺は人間の限界をはるかに超え得る存在になってしまったというわけだ。

 他は以前のステータスウィンドウとほとんど同じものだ。と思ったのだが、どうやらかなりパワーアップしているようだった。


アイザワ タク


スキルポイント 2378

スキル一覧

身体能力強化 Lv.Max【進化可能】

無限スタミナ Lv. -

自己回復   Lv.Max【進化可能】

神の第六感  Lv. -

進化之石板(アドバン・スレート)  Lv.‐

英雄の雛   Lv.‐

理解者    Lv.‐


「・・・進化可能?」


 俺はまず、『身体能力強化』の石板の進化可能の部分を人差し指でタッチした。


 『身体能力強化』から『身体強化』へと進化可能です。

 スキルポイントを 1000 使用し、該当スキルを進化させますか? YES/NO


 俺は特に迷うことも無くYESを押した。進化は一瞬のようで、すぐに石板上の文字が切り替わった。


 進化完了

 完了前

 『身体能力強化』―――自身の身体能力を上昇させる。

 完了後

 『身体強化』―――自身の肉体強度、身体能力を上昇させる。なお、出力性能は、『身体能力強化』から大幅に向上。


 どうやら今後は肉体自体も同時に強化されるようで、もしかするとそれにより感じる痛みも軽減されるかもしれない。そして次に『自己回復』の方も試してみる。


 『自己回復』から『自己再生』へと進化可能です。

 スキルポイントを 1000 使用し、該当スキルを進化させますか? YES/NO


 こちらにも迷わずにYES。


 進化完了

 完了前

 『自己回復』―――外傷部位を再生する。なお、欠損した部位には無効。

 完了後

 『自己再生』―――外傷部位、欠損部位を再生する。なお、回復性能は、『自己回復』から大幅に向上。


「・・・てことは・・・お・・おおっ!!!」


 突如、欠損していた右腕部分が光だし、みるみるうちに再生を始める。そしてわずか五秒ほどで完全に再生を遂げたのだ。それに思わず俺は歓喜の雄たけびを上げる。


「うおおおっ!!治ったああああああ!!!」

「し、信じられないよ・・・まさに奇跡だ・・!」

「おぉ・・・さながら神の御業、我が国の初代王宮魔法師団長、セレスト・ヅェパードのようだ・・・。」


 この場。玉の間の結界内にいる他五名は、新たに動き出す歴史の始まりを、のちに英雄となる男の真の意味での誕生。その目撃者となったのだ。

※タク自身のレベルの概念は没となりました。突然の改変ですみません。用途が思いつかなったんです・・・

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