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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第一章 異世界転移・獣人殲滅戦線
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#1 拓と理不尽な異世界転移

「え・・・?どこだよここ!?」


 それが俺の率直な感想だった。


 気が付くと、いつものベッドがあり、パソコンがあり、消化しきれていない大量の漫画が大量発生中の自分の部屋はなく、電気もないのになぜか明るい真っ白な空間が目の前に広がっていた。

 え?今めっちゃ良い所なのにとか思っていたのだが・・・


「ようこそ。新たなる転生者よ。」


 わーおテンプレにも程があるだろ・・・


 突如みんな誰もが想像するようなザ・仙人みたいな老人が突然現れたのだ。俺を呼び出したんだか空間ごと拉致ってきたのだかよくわからん・・・。というか死んでいないのだからとっとと帰らせてもらおう。まだOP(オープニング)だし。


「あの・・・僕死んでないと思うので戻してほし」

「ならぬ。」

「いや・・・・・僕帰りた」

「ならぬ!!!」


 なんて頑固でめんどくさいジジイなんだ!と言いたいところだがここは冷静に状況を整理したい。


「俺はどうしてこうなっているんだ?もう一度言うが、俺は死んでいないはずだろうが!?」


 すると


「こりゃあすまんかった。こちらも少々気が立っておってな・・・。」


 少し落ち着いたのか、その老人は急に起きたこの状況について説明してくれた。


 なんでも、このジイさん改め転生案内神アルデンは、自分が統括している俺の世界とはまた違う別世界で出現した魔神を倒せるであろう潜在能力を持つ人間を呼び寄せ、その人間に可能な限りの力を与えたのちに魔神を倒す事で、世界の均衡を元に戻そうと言うのだ。


 そんな話まっぴらごめんだし、何よりアニメの続きが観たいので断ろうとしたら、


「一方通行なんで帰ることはできんのじゃ。じゃが、魔神を倒すことができたのなら、わしが他の神に頼んで、元の世界に戻してやろうぞ。」


 などと言ってきやがった。やっぱ理不尽だなこの神様・・・。


 しかし、もはややる以外の選択肢がなくなってしまったので、仕方なく引き受けた。


「・・・で?その力をくれるってのはどういう物なんだ?」

「五万年前に見に行ったときは珍しく魔法が無い世界じゃったのぉ。お前さんが知らないだけで、魔法があるのが大体の世界にとって当たり前なのじゃよ。というわけで、お主に身体能力強化、無限スタミナ、自己回復、神の第六感を授けよう!もちろん全てレベルは最大じゃ!」


 なんか思ってたのと違うなぁ。もっと炎のなんちゃらかんちゃらみたいなのくれると思ったのに・・・てゆーか結局テキトーじゃねえか!?


 まぁ、なんだかんだそれが自分に一番あっているのかもしれない。魔法の知識が何一つない自分にとって、逆にとても不自由なものになりかねないのかもしれない。ぶっちゃけどーせ技名言ったらパッと出るんだろうけどいちいち面倒くさい。


「それではこれより転移魔法を発動する。準備はよいか?」

「準備どうこうじゃなくて、結局やらなきゃ帰れないんだろうが! ・・・んじゃまぁ、まだよく分かってないが・・・その魔神とやらをとっとと倒しに行きますか・・・」

「ふむ。ではタクよ、あとは頼んじゃぞ。わしの授けたスキルなら、あの魔神にも渡り合えるはずじゃ。」


 この展開からして、俺が貰ったスキルみたいなやつは、その世界じゃチートレベルの物なのだろう。しかも魔法が無いのなら、超強力大規模魔法みたいな物も無いだろうし、遠くからチマチマ攻撃される事もない。


 と、この時は思っていた。あれ?魔神って言うくらいなら魔法くらい使えんじゃね?とふと考えた時には、もう転移魔法は俺の肉体と精神を新たなる世界へ送り出していた。




 次に視界が戻ってきた時、俺が立っていたのは草原の丘の上だった。近くにそこそこ大きい街があるので、きっとあそこがRPGの始まりの街のような物なのだろう。


 とりあえず自分の姿を確認する。日本人らしい黒髪、少し伸びた髪の毛、冒険者っぽい黒い服にズボン。着心地も悪くないし、とても動きやすい。


 ふとスキルの確認などはどうやって行うのだろうと考えていると、ステータスウィンドウが目の前に現れた。思わずテンションが上がってしまい取り乱したが、とりあえず自分のステータスを落ち着いて見てみることにした。


アイザワ タク


スキルポイント 0

スキル一覧

身体能力強化 Lv.Max

無限スタミナ Lv. -

自己回復   Lv.Max

神の第六感  Lv. -


 と記載されてあった。ここに記載されていないレベルやHP、MPみたいな概念はおそらく無い。無限スタミナと神の第六感に関しては表記がハイフンになっていたが、多分無限って書いてるし上げる意味もないんだろう。あと完全に聞き忘れていたが、この神の第六感というのはなんなんだろうか?まぁいつか発動した時にでもわかる。


 で、草原の周りにはぷよぷよした水色で半透明の丸っこいやつが動いていた。おそらく、というか十中八九スライムだ。本来とっとと倒してレベルを上げなきゃならないのだが、ファンタジーの世界に憧れがあった俺は、どうしてもこの未知の生物が気になってしまったので、とりあえず触ってみることにした。


「・・・・・ひんやりしてる!」


 ぷよぷよ柔らかくて、ひんやりとしている。スライムはベタベタしているイメージだったのだが、とてもさらさらとしていて触り心地も良い。それでいてこの暖かくていい天気の草原だ。連日のイベランで疲労は溜まりまくってるし・・・となれば、混乱して頭が追いついていないが、やることは一つしかないであろう。


 そう。寝るのだ。こいつを生贄(まくら)にして。


 試してみると予想通り最高の枕になってくれた。いい感じに沈むしひんやりして気持ちいい。多少動くがマッサージされているみたいで心地良い。


「あ・・やばいこれ・・・犯罪レベルに寝れる・・・・・」


 あっという間に意識が沈んでいき、俺はそのまま深い眠りについた。今まで感じたことも無いほどの精神的疲労がどっと襲ってきて、正直しばらくの間動きたくなかった。

 次に目が覚めるともう夕日が沈みかけていた。辺り一面が波に包まれる寸前。枕にしていたスライムもどこかへ行ってしまっていた。


「やばい!まだ何にもしてねー!」


 異世界転移生活初日にスライムを枕にして昼寝しただけでは流石にまずい。こういう系の世界は夜にはちょっとくらい強いモンスターがおそらく多分きっといるはずなので、とっとと魔神とやらを倒すためにレベルを少しでも上げておきたい。


「がるぅぅぅぅぉぉぉぉおおおお!!!!!!!!」


 お、早速お出ましか。


 現れたのは、身長三メートルくらいありそうな二足歩行の狼だった。俗に言う獣人だ。まぁ獣人と言ってもあんまり人間っぽくは無いのだが。


「出てきてくれたところで悪いが、まずは俺のスキルを試させてくれ。『身体能力強化』!!」


 どうやら使いたいスキル名を発言するか念じるかすればそのスキルが使えるようだ。


 で、試してみると、全身にエネルギーが溢れてくるようだった。早く(たたか)いたくてしょうがないような、なんか戦闘狂になった気分だ。


「うおらぁ!!!」


 短めの気合いに乗せて、地面を足で蹴った。現実ではあり得ないほどの超スピードで狼の(ふところ)まで入り込んだ。


 俺は二十メートルほどあった距離を一瞬で縮め、思いっきり溝落ちをぶん殴ってみた。


「グゴォぉぉぉぉぉぉぉぉぉあああ!!!!!!」


 どうやら相当なダメージのようで、狼はひどい断末魔を放ったのちにその場にその巨体を崩れ落とした。


「予想はしていたが・・・えげつない程のパワーだな・・・・・。」


 恐らくこの世界で、俺の体術を上回るものはいないのだろう。とかいえば自惚れが過ぎるしどっかの忍者みたいだが、そう確信できるほど凄まじい力だった。の、直後だった。


「がるおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

「・・・・・マジかよ・・・」


 さっき倒した狼と同じ叫び声が辺り一面に広がった。今度は数が多い。いや、多すぎる。


 適当に数えても二、三百はいるだろうか。さっきの狼よりもでかいのも相当数いる。流石にあれ全部を一人で相手するのは・・・まぁ多分余裕だろうがキツイ。典型的な数の暴力である。でも寝ちゃったし少しはレベル上げないとなぁ…どうしたものかなぁ・・・。

 とか考えていると、


「一匹も逃すなよ!あれを街に入れるわけにはいかねェ!」

「もちろんよ!この街は私たちが守る!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 幸運な事に、大剣を軽々しく担ぐダンディなおじさんとロングソードを握り締めるフクシアピンクの髪の少女を筆頭に、約二十人ほどの武装した方々が現れた。剣を持っている者、槍を持っている者、斧を担いでいる者、そして杖を握っている者など装備は様々・・・・・・・ん?杖?


「炎は我と共に!フレイムスラッシュ!」

「敵を討ち滅ぼすは天からの(いかづち)!アックス・オブ・サンダー!」

「風よ、赴くがまま吹き荒れろ!ストームハリケーン!」


「・・・・・は?」


 え?いやちょっと待って!?みんな魔法使ってますけど⁉︎逆に使ってない人居ませんけど!?っていうか俺みたいに狼殴って倒してる人ゼロなんですけど!?あと技の名前もうちょっとどうにかなりませんかねぇ君たち!?


 そしてようやくあの理不尽なアルデンのジーサンのセリフを思い出した。


『五万年前に見に行った時は珍しく魔法が無い世界じゃったのぉ。お前さんが知らないだけで、魔法があるのが大体の世界にとって当たり前なのじゃよ。』


 そう。五万年前。と言う事は今現在無いとは言いきれないわけで、大体の世界で魔法があるならこの世界にあってもおかしくないし、何なら討伐対象は()神である。魔神だよ?絶対魔法使えんじゃん。


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「あのテキトージジイがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 こうして、魔法溢れるこの世界で、魔法が全く使えない男が、魔神を倒して世界を救うため、そして、俺をこんな目に合わせたあのテキトーで理不尽の極み、転生案内神アルデンとかいうクソジジイをぶん殴るための冒険が始まった。

ずっと表記していたレベルですが、上がったとて特に何もないことに気づいてしまったので没にいたしました・・・


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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