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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第四章 怪盗は黒き骸骨と共に
156/189

#154 天壮月光の夜:変貌

活動報告でも投稿していますが、一応こちらでも。


皆様、いつも『異世界武闘譚』をご覧いただき、本当にありがとうございます。

誠に勝手ではございますが、この投稿を持ちまして、本作品の更新をしばらくお休みさせていただきます。

理由といたしましては今後のお話のイメージをしっかりと構築することと、本作品以外の執筆の挑戦です。

本作品の投稿がない間にもしかしたら新作を投稿するかもしれないですし、しないかもしれませんが、どうにか理解していただけたら幸いです。

次回投稿日はまだ未定ですが、打ち切りにする予定は一切ございませんので、どうか気長にお待ちください。

本当に申し訳ございません。 よろしくお願いいたします。

「おい、メル様の他にもゼローグ様に・・・誰だアイツ?」


「俺さっき見たぜ。柵の中に入った馬鹿な冒険者を容赦なく叩きのめしてたよ。」


「ヤバかったっショ!!ヤバすぎたっショ!!!」


「っていうか、さっきあの子消えてたわよ!?一体どんな魔法なのかしら・・・?」


「あの野郎・・!俺たちのメルたそに飛び掛かりやがって・・・!!」


「万死ッ!!万死に値する!!!」


「お前らは何なんだよ・・・」


「そんなことよりシムビコートは結局どこに居んだよ!?」


「もう逃げたんじゃないの?」


「それじゃああのクエストは何なんだよ!全然盛り上がってねーじゃねぇか!この俺がセラム全土を沸かせてやる勢いで来たってのによぉ!!!」


「あんた物凄い自信だな・・・・・」


 柵の外でただ見ることしかできない冒険者たちは、目の前の光景を見ながら様々な言い合いを行っている。金貨だけを求めてきた者達も、目の前で起こった一瞬の出来事に理解が追い付いていない。

 月がもうすぐ空の一番高い所にまで届く。それはこの国の誰もが望んでいる『神光月波(ムーン・オーバー)』がすぐそこにまで迫っていることを現しており、それを見逃してしまえば同じような光景が見られるのは十年先。絶対に見逃したくない一大イベントなのだ。

 そう思いこの場には参戦せず例年通り月見を楽しむ者も多く存在しており、彼らはその瞬間が来るのを今か今かと待ちわびている。

 そして数秒後、今官邸付近に集まっている冒険者は、そのほとんどがそんなこと忘れてしまうだろう。なんてったって、そんなものを楽しむ余裕などもはやどこにもないのだから。


「ん?なんかメル様がこっちを見てるぞ?」

「まさか・・・・・メルたそファンクラブ会員番号四番の俺のことを分かって・・・!」

「んなわけねーだろうが・・・っていうかそのファンクラブ、会員何人いるんだよ?」

「現在セラム全域に約四十六万人の会員が・・・」

「嘘だろマジもんの古参じゃねーか・・・っじゃねぇよ!そんなことより、ほんとに一体何を・・・ってうわぁっ!?」


 そんな会話をしていた一人の冒険者が、隣にいた人物に異変が起こっていることに気付いた。もちろん、その異変が起こっている人物とはファンクラブ第四号ではないのだが、明らかに正常な人間の状態ではない。


「うぐっ・・!?な・・なんだ・・っよこれっ!?・・いや・・嫌だ!!!誰か!なんとかしグギェアグァアアアア!!!!!」


 全身の血管が浮き出ており、そこからでも体内の血流が尋常ではない速度であることが分かる。心音は周囲の人間に伝わるほどにまでその音を増幅させ、肉体はどんどん膨張。耐えられず皮膚は裂け、だがそれでも再生する。そこから更に膨張。その繰り返し。その身体をどんどん異形の物にへと変換する一人の冒険者は必死に助けを求めるも、救いの手は現れなかった。いや、周りの人間には、それをどうすることもできなかったのだ。

 自身が人間ではなくなっていっていることを自覚している男はその恐怖と絶望にむせび泣く。変形した顔からはとめどなく涙が溢れ、破裂した体からはおおよそ人の物とは思えない色の体液が溢れる。

 そうして様々な液体で構成された水たまりのようなものが完成したころには、男から人間の雰囲気など一切感じなかった。


「グゴロゴロゴルゴラガガガガ・・・・・」


 そううねる異形の怪物と化した男を周りにいた冒険者たちの脳が認識するには幾分かの時間を要した。

 そうしてとうとう現実を理解した時、辺りから悲鳴が巻き上がる。




「・・うっそ・・・?」

「外道が・・・!!!」


 急に集団の中の一人が化け物になりやがった・・・!

 先ほどのシムビコートの言動からするに、奴が持っていたという五千人分の魂とやらをマジで一人につぎ込んだらしい。男は見るも無残な、何にも例えられないような姿へと変貌し、その体躯はどんどん大きくなっていく。現在でもうすでに五メートルは超えている。クッソ仕事しやがれ物理法則さんよぉ!!


「そう言えば、答えを言ってなかったね?正解は、器の暴走。本来人間の肉体って言うのは、魂一個入れておくのが限界なんだ。それを五千人分・・・もちろん器の方が悲鳴を上げる。それに加えて混ぜられた魂は元の自我を保つことが出来ずに壊れ、それに使われた魂はその悉くが人間とは全くもって違う()()()になるんだ。そして魂と器が膨張と暴走を繰り返し、手に負えない()()()にが完成する・・・!とは言っても、五千人分の魂全てが燃え尽きれば暴走も止まるんだけどね!ハハッ!!」

「何言ってるのかサッパリ分かんねぇ!!」

「それに関しては俺も同感だ。虫唾が走る・・・!」


 用はあんな意味の分からないもの作るのに、五千人の命が無駄になってしまったわけだ。シムビコートのショーとやらの為だけに・・・・・


「もうちょっとだけお聞き願おうか・・・ふふっ・・実はアレには特殊な()()()を施していてねぇ・・・・・アイツは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のさ・・・!」

「クッ・・!そういう訳か・・!天壮月光の夜(ルナティック)を狙ったのは・・・!」

「・・待てよ・・・!ってことは・・・あと数分の内に・・・!!」

「!?」

「おっと、ようやく気付いたようですね!」


 ニタニタとにやける美しい女性の革をかぶった怪盗は、今もなお膨張しているナニカから逃げようとする者達に向かい叫ぶ。


「今宵のショーを盛り上げるべく集まってくれたオーディエンスたちよ!!今宵の目玉はすぐそこに迫っている!数刻後『神光月波(ムーン・オーバー)』が始まった瞬間、その哀れな魂を開放して見せよ!勇猛果敢なる冒険者諸君であれば、必ず成し遂げられるだろう!そう・・・コレハタノシイイベントダ!・・・そいつにとどめを刺した者、そして、最も討伐に貢献した者には、それぞれに古の金貨を百枚()()、約束通り進呈しよう!!」




「どうする・・やるか・・・?」


「・・・私は嫌・・!だって・・さっきまで人間だったんだよ!?」


「今の姿がどうであれ、やっちまえば人殺しと変わんねぇよ・・・」


「でも、こんな街の真ん中にこんな化け物放置するのも・・・!クソッ!どうすればいいんだ!?」


「俺はやるぜ!さっさとぶっ殺して、金貨は俺が頂く!」


「いぃや!俺だね!雑魚共は引っ込んでな!!」


「しょっ・・!正気かよお前ら!?お前らも見ただろ!?人だったんだぞ!?」


「だが・・・街の人たちに危害が及ぶ前にどうにかした方が良い・・・救いたいのは山々だが・・元に戻す手段なんてないだろう・・・」


「「邪魔です・・・!」」




 喧騒をその覇気により一瞬で黙らせ、ナニカにへと足を進めるのは、アリヤとレリルドだった。

 既に限界まで怒りが心頭に達しており、とっくの前に爆発の向こう側にまでそれが辿り着いている二人は、シムビコートを上の二人へと任せてゆっくりと化け物へと近づく。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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