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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第四章 怪盗は黒き骸骨と共に
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#139 会議終了

「・・・ではそのような方針で行こう・・・よし、ひとまずこんなところだろう。また情報が入れば明日に同じような会議を開く。以上だ。」


 ゼローグがそう言うと、集まっていた面々は自分たちの役割に戻るため部屋から退出する。ゼラニオも執務が残っていると言って去っていき、再び俺達四人だけがこの場に残っている。


「・・・ふぁぁぁ・・・・・あ、終わった。」

「ほぅ?英雄殿は随分と余裕みたいだな?」

「いや最近動いてばっかだったから・・・」


 決して寝ていたわけではないのだが、ゼローグが俺の欠伸に過敏に反応してくる。

 この世界に来てから戦闘がほとんどだったためにこうしてずっと座っているのがより退屈に思えてしまった。それに図書室で数時間本を読んだ後だ。ほらあれだよ。四時間目体育でそこから昼食と昼休み挟んだ後の五時間目が国語だった時のあれだ。

 アリンテルドではまだ日が浅かったので会議でも欠伸一つ出さなかったのだが・・・いや、あの時はコーヒー飲んでたからカフェイン効果か?まぁいいか。

 だが危うく作戦会議の途中で意識を失いかけるところだった。こんなところで訳の分からん余所者が居眠りなどしてしまえば袋叩きは確実だろうし。


「概要は頭にちゃんと入っているか?」

「あぁ、そこは問題ない。」

「僕たちも大丈夫です。」

「そうか、まぁタク以外は心配していない。」

「おいこら。」


 なぜこいつはこうも俺に突っかかってくるのだろうか?俺何かしたっけ?どちらかと言えばされた側だと思うのだが。

 もうそろそろ怒ってもいいのではないだろうか?いくら俺が寛大な心(異論は認めない。)を持っていようと、少し限界というものが存在しているのも確かなので、一発食らいしばいても問題は・・・あるだろうか?」


「どうした?喧嘩なら買ってやるぞ?」

「じゃあ特売価格の出血大サービスで提供してやる。」

「タク落ち着きなさい!!」


 年末セール並みの大特価で拳による三撃くらいを提供しようと思ったところをアリヤに止められる。

 

「まったく・・・タク、結局のところ、俺がお前に言いたいのはただ一つだ・・・好きに暴れろ。」

「・・・言うじゃねぇかゼローグ。喧嘩は一割くらい冗談だが、模擬戦くらいやっとくか?」

「九割は本気だったんだ・・・」

「・・・・・いや、昨日の件でお前の強さだけは信用している。俺が直々に最終防衛地点に部下ではなくわざわざお前を任命したんだ。ヘマは許さん。」

「そりゃまぁ部下の如く扱いやがって・・・・・任せとけよ。何の心配もいらねぇ。」

「・・フッ・・・」


 その言葉を聞いたゼローグもとうとう部屋を抜け、なぜか余所者三人だけが会議室に残った。




「・・・結局、タクってゼローグと仲が良いんだか悪いんだか分かんないんだけど?」

「うーん・・・良くはないな。というか、初対面で指切り落として来た奴と次の日仲良くできるとは思ってない。」

「ま・・まぁ、それはそうだね・・・」


 もしそれを笑顔で許せる奴がいたのなら、そいつは神でも仏でもない。ただのヤバい奴だ。負け犬精神カンストさせても流石にそこまではいかないだろう。


「数時間の会議だったけど、結局シムビコートがどんな奴なのかは分からなかったね。」

「情報が少なすぎるのよね・・・向こうも当日ぶっつけ本番って感じではないだろうし、何かしらの準備を進めてると思う・・・せめてもう少し何かあればね・・・」

「流石に居場所分からない奴の偵察は出来ないしな・・・グラーケンとはまた違う・・・」


 あの偵察は居場所がある程度分かっていたから実現した物であり、正体不明の怪盗に通用する手段ではない。それに今の奴に関する情報は、あの予告状とクエストボードの張り紙のみだし・・冒険者が至る所でかなり集まってたな・・・予告状・・クエスト・張り紙紙・・・クエスト・・冒険者・・・・・

 その時だ。某名探偵が閃いた時の効果音が俺の頭の中で鳴り響いたのは。相手が怪盗だしちょうどいい。


「よし。乗り込み調査だ。」

「え?どういうこと・・・?」

「シムビコートの居場所は分からないって言ってるでしょ?情報もないし・・・」

「ファー!甘い甘い!!」

「はい?」


 ふと今思い出した。昨日の殺人盛りカルボナーラを食べた店の店主が言ってた言葉を。

 たしかこうだった。その日の朝に難易度と報酬がやばいクエストが来てたと。

 つまり、当たり前の事ではあるが、あのクエストは店主があのクエストボードに張ったということだ。こっそりシムビコートが張ったとかではない。

 つまり、酒場等の店に張ってくださいと持ってこられる大量のクエストの紙の中にそれがあったということ。そしてそれは一体どこからやってくる・・・?いや、ゼローグもちらっと言ってたっけ・・・?


「行くか!セラムの冒険者協会!」

「いやタク、さっき協会は無関係って言われたばっかりでしょう!?」

「世の中には情報操作や隠蔽工作というものがあってだな・・・」

「流石に疑い過ぎだよ・・!変に僕たちが行って騒ぎになるわけにもいかないだろ!?」

「・・・・・でも、一個気がかりだろ?」

「「・・・・・」」


 そう。インクだ。俺も例のクエストボード前に群がっていたうちの何人かが言っていたことをちょっと聞いただけなのでそこまで詳しいわけではないが、どうやらクエストに押されている印、正確には押すためのインクには特殊な魔力が流れているようで、それはその国の冒険者協会にしかなく、偽造は絶対に不可能。一応その時二人に聞いてみたのだが、セラムのそれはアリンテルドのそれとも全く違う印であったそうで、逆にアリンテルドでは同じ印しか見たことなかったようだ。


「どうせ明日あるか分からない会議以外は当日まで特にやることないし、収穫無し覚悟で行ってみないか?」

「うーん・・・まぁいいけど・・他の冒険者に余所者ってばれないかしら?」

「そんなことを気にしていては魔神討伐なんて無理だ。」

「そんなにキッパリ言うのね・・・」

「人目を気にしていては何も出来ないぞ。」


 ちなみに俺も人の事は言えたものではないが、俺の価値観ではこの世界での会話、行動はRPGでAボタン押すレベルの難易度なのだ。言い方を悪くすればただの言いたい放題であるのだが。


「・・・それもそうね!行きましょうか!」

「じゃあ、明日の朝に行ってみようか。」

「おうっ!」


 よし、じゃあとりあえず今日のところは・・・・・腹減った!飯食って終わり!

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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