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異世界武闘譚~英雄の雛の格闘冒険録~  作者: 瀧原リュウ
第三章 ビギニング・ジャーニー
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#123 結晶体からの帰還

お待たせいたしました!投稿再開です!

「・・・タクさーん!レルさーん!!」

「あぁ!ムラメちゃん!キキョウさん!」

「二人とも・・大丈夫ですか・・ってタクさん!?」

「あ゛あぁ・・・づかれた・・・・・」

 

 キキョウとムラメが天辺からこちらへと降りてきたが、張り詰めていた緊張感が一気に解けた俺は心臓に攻撃を叩きこんだ後体が崩れ落ち、以降ずっとこのまま地へと仰向けに倒れている。


「すみません・・あとちょっとだけ休ませて・・・」

「だらしないなぁ。戦いは終わったんだから、早くアリヤと合流するよ!」

「この体力馬鹿どもめ・・・」

「まぁまぁレリルドさん、少しくらい待ってあげましょうよ。タクさんがいなければ、グラーケンを倒すことなんて敵わなかったんですから。」


 というわけでキキョウに甘えて約十分の仮眠を取らせていただき、その足で俺達はアリヤと闇丸の元へと向かった。


「つ・・疲れた・・・」

「アリヤまで!?」

「レル。おかしいのはお前だけだ。」


 というか、あの物量プラス触手八本をを闇丸と二人でずっと食い止めていたのだ。この中で一番疲れているのは間違いなくアリヤだろう。

 習得して間もない二刀流でそこまで戦えているのも凄いが、なんといっても精神力が異常なまでに強い。俺と会うまでに一体どれ程までの修羅場を潜ったらそうなるんだ?

 そして闇丸の方はと言うと、普通に何事も無かったかのようにその場に立っている。

 こちらはそもそも生物でもないのであろうか?初めて見たときは魔物の一種か何かかとも思ったが、実際今現在でも謎に包まれ過ぎている。


「それにしても・・綺麗ね・・・さっきまで戦っていた相手とは思えないくらい・・・」

「おそらく、グラーケンの内包していた魔力とユカリの力が混ざって結晶化したものなのでしょう。だから色は紫に、そしてその結晶は光輝いているのです。」

「・・・・・・・」


 なるほど。つまりこのグラーケンの亡骸の結晶は、滅茶苦茶希少価値の高い魔石ということか。


「さて、みんなの元へと帰りましょう!洞窟居住民(アンダーグラウンダー)の歴史上でも、最高の知らせを持っていきますよ!」

「長老にいっぱい褒めてもらうのです!!」

「この戦いで、また一つ強くなれた気がするよ・・・!」

「えぇ!間違いないわね!」

「・・・・・・・」


 居住区へと足を進め始めた皆の背中を見ながら、俺はふと視線を横にずらす。そこにあったのは、グラーケンの骸の触手、その先端。

 その結晶は奇しくも俺の顔の目の前に存在していた。何かを訴えんとするように。

 そして、俺の取った行動は、もう言うまでもないだろう。




「―――ッ」

 ガリッ―――――


 その音は誰の耳にも届くことなく、ただ静かに俺の口内で響き渡った。



 

「・・・そうか。ユカリは無事に逝ったか・・・・・」

「・・・はい。私に願いを託して、笑顔で・・・くっ・・・・・」

「どんだけ泣いとるんじゃお前は・・・こりゃああの世でユカリがため息ついとるじゃろな・・・」

「・・しかし・・・っ」

「あれは家族思いのいい人だった・・付き合いは短かったがな。どうせ、その託されたものっちゅうんもムラメの事じゃろう?」

「・・・はいっ・・!」


 長老はキキョウたちがこの地へと訪れた七年の間に、彼らの事を良く理解していた。完全に図星だったキキョウは、涙が少し引っ込む。


「この別れを乗り越える。まずはそこからじゃ・・・叶えられるもんも、叶えられなくなるぞ?」

「・・・肝に銘じておきます。ありがとうございます。」

「うむ・・・それと、ムラメもよく頑張ったな。お前も、前よりもずっと強くなりおった・・・精霊の力を最大限とまでは言っておらんだろうが・・それでも十分にその力を行使できておる。その年でだ。お前は将来、きっと『最強』に手が届く・・これからも精進するようにな。」

「はい!分かりましたなのです!!」


 長老からの激励の言葉、それは二人の心に強く響き、二人は各々今後の決意を自分の中で固めていく。


「それから・・・タク・アイザワ、そしてその眷属たちよ。お前さんらがこの地へとやってこなければ、今もなお・・いや・・・今後永久にグラーケンの恐怖に怯える日々が続いとったかもしれん。洞窟居住民(アンダーグラウンダー)を代表して、最大限の感謝を送ろう・・・何か褒美でもありゃあいいんじゃがな・・・生憎何も無いような場所じゃからのぉ・・・」

「いえいえ!とんでもないです!」

「長老さんたちにもいろいろお世話になりましたし、自分たちも殻を破ることが出来たと思っています。これはそのいい機会になりました!」

「・・・だな。終わりよければなんとやらって言うし、いい経験ができたって考えるか。」


 正直いろいろ言いたいことがなくもないが、ここでそれらを言うのは野暮というものだろう。ヒーローは見返りを求めない、とも言うしな。

 

「んじゃ、そろそろ行くか!」

「え!?もう行っちゃうんですか!?」


 今さっき戦いが終わったばかりなのに、もう出発されるのですか!?とでも言いたげなムラメが、俺に向かってそう問うてくる。


「・・・まぁ、ぶっちゃけしばらく休みたいってのはあるが・・・そうも言ってられねぇんだ。」

「・・・そうか、()()()()・・・お前さんらは、あの魔神を・・・」

「まじん?」

「あぁ。俺たちは今、魔神討伐の旅をしてるんだ。っつっても、始まったばかりなんだけどな。」

「近い将来に復活するそれに、私たちが挑みに行くの。そのためには、もっと強くならなきゃいけない。」

「ムラメちゃんたちの未来も、絶対に僕たちが守ってみせるから・・・!」


 その話を聞いたムラメはすぐさま血相を変え、驚愕したような表情を見せる。


「か・・神に、挑むというのですか・・・!?」

「おう!そんな心配な顔しなくていいぞ?俺が負けるとでも思ってんのか?」

「・・・それは・・・・・」


 俺は必死に虚勢を張る。ムラメに心配をかけないために。流石にムラメを魔神討伐に連れていくわけにはいかないし、このまま心配させながらこの場所を去ってしまったら、それはムラメのどこかで重荷になってしまうかもしれない。


「なぁに、ちょっと世界救ってくるだけだ。やること全部終わったら、またここに遊びに来てやるよ。そん時は・・・途中で終わった模擬戦の続きでもやるか!」

「タクさん・・・・・はい!ムラメも強くなって、タクさんに圧勝してやるのです!」

「よーし言ったな!?ぜってー負けねぇからな!?」

「言うことが大人げないのです!?」


 これで、この場所でやり残したことはもうない。そう感じた俺は、最後の出発の準備に取り掛かる。

この一か月以上サブタイトルほとんど考えてなかったので、なんか新鮮です・・・


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

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