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NOISE  作者: SELUM
Book 1 – 第1巻
38/69

Op.1-33 – Like Guardian (1st movement)

学校へと登校する光と明里。光の保護者と言われる明里の心配とは?

––––3月1日 (水) 午前8時20分頃


 いつものように光と明里は一緒に登校し、昇降口でローファーを脱いで室内履きに履き替える。2人が通っていた小学校・中学校では上履きであったものの、高校に入ってからはサンダル指定となった。

 サンダル指定の理由は「汚れにくい」からで、これは高校生は活動の幅が広がり、足元が比較的に汚れやすくなる可能性が高いことに起因する。


 鶴見高校は学年ごとに赤、青、緑の学年色が割り振られ、それがその学年のイメージカラーとして設定される。この順番は、例えばある年に1年生が赤、2年生が緑、3年生が青なら、翌年は1年生が青、2年生が赤、3年生が緑……というように、1つの学年は3年間を通して同じ色を使う。

 

 光たち2年生が割り振られている学年色は赤色。よって2年生のサンダルはボルドー色 (濃い赤紫色) を基調としたデザインとなっている。

 ちなみに1年生の学年色は青色でサンダルは紺青(こんじょう)色 (暗い紫みの青) 、3年生の学年色は緑色でサンダルは柚葉色 (濃く暗い緑) を基調としたデザインとなっている。


 また、体育服の短パンも学年色で分けられ、現2年生が着用する赤色のデザインが1番格好良いと言われ、他学年から羨ましがられることが多い。


「おい、中野! お前、学年章は!」


 光と明里がサンダルに履き替え、教室へ行くための階段へ向かう途中、その上方から2年生の学年主任・小池(こいけ) 丈一郎(じょういちろう)の怒鳴り声が聞こえてくる。


 光は突然聞こえてきたその怒鳴り声に驚いて少し後ずさりし、それまで明里と横に並んでいた状態から明里を盾にして一歩後ろを歩くようになる。


「(あ、ビビっとる)」


 明里はそんな光の様子を見て少し笑う。光は幼い頃から人に怒鳴られることが苦手である。また、他人がそうした状況に陥っている場面に遭遇することも同じように嫌っている。


 そもそも光は小さい頃から要領が良く、していい事とよくない事の分別をつけて (抜け道を探しながら) 行動してきた。また、ずっと一緒にいる明里も面倒見の良い優等生タイプで基本的に怒鳴られることには無縁だった。


 それもあって学校でこうした場面に出くわすと光は驚いて硬直してしまうことが多い。そうした時には大抵、明里や友人の後ろに隠れ、1人の場合にはわざわざ遠回りしてその道を避けるといった行動を取る。


#####


「結城さん少し遅刻したけどどうしたの?」

「怒られとる人がいたので、西階段の方から回ってきました」


 これは中学2年の時、遅刻したことに対する光の返答である。さも当たり前のように堂々と答える光を見て当時の担任も困惑し、「次から気を付けるんだよ」と言うに留まったらしい。


 この時、光と明里はクラスが別々でお互い登校時間が違っていた。明里は光のクラスの友人からこの一件を聞いて以来、なるべく一緒に登校するようになった。

 光と明里のことをよく知る一部の友人たちは、明里のことを『光の保護者』と呼び、クラスメイトたちは『光のボディーガード』と言いう。(一部の特殊な者たちは『キマシタワー』などと呼称して喜んでいるらしい)


 そのため、光に気がある男子たちは明里の防御網を突破するためにまず明里と親密になろうと躍起になっている。


 光はそのような者たちを「馬鹿な連中だ」と心底呆れている。


 明里は光の恋愛模様に関して基本的に口を出すべきではないというスタンスでいる。しかし、光のことを心配に思ってお節介を焼いてしまいそうだとも感じている。


 それ以前に光を相手できるような男性は現れるのだろうか? 


 後ろ目に光を見ながら明里は疑問を呈する。勿論、その容姿から高嶺の花に見られがちな光だが、それ以上に彼女の自由人っぷりに耐えられる者を想像できない。


 前にベースの師である石屋が「瀧野ちゃんは変わってるからなぁ」とぼやいていたのを聞いたことがあり、案にそれが原因で彼女に合う相手がなかなか現れないことを冗談交じりに言っていた。

 その瀧野ですらも光の奔放さに振り回されていることを間接的に聞いている明里は「光の将来がやばいかもしれん……」と余計なことを考えてしまうのである。


 2人が階段に足をかけて上り始めると、踊り場の死角から中野と小池の姿が露わとなる。



お読み頂きありがとうございます!

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