洞窟暮らし:スパ
(9/9)
ゴン達一行はオフロスキー(風呂好き)であった。
そこで 洞窟のお風呂場にも手を入れた。
もともとあった熱泉があり湯気のこもっていた部屋には仕切りをいれて、床暖部屋を作った。
最初はサウナルームにと考えたのだが、
大ちゃんも含めて このメンバーにサウナ好きが居なかった!
そこで 熱泉に蓋をして湯気が立ち昇らないようにしただけでなく
グラグラと湧き上がる湯を床の下に流して床暖房にした。
さらに湯貯め(タンク)に入れて程よく冷めた湯を、湯舟に注いで温泉とした。
湯船はドラゴンサイズ・エルフサイズ・ドワーフサイズ・ノームサイズ・フェンリルサイズの5種類だ。
「結局 一人1個の湯船になっちゃったね」ゴン
「わしは お前と同じ風呂でよかったのに」コンラッド
「それを言えば 僕たちだって」ミューズ&ボロン
「わざわざあつらえなくても たまたま人間・エルフ用とドワーフ用の風呂が収納庫にはいっていたのだ。
ゴンは いっちょこ前にわしの抜け毛がどうのといいよるし
ノームとドラゴンは個別に作る必要があったから、こうなった。」コンラッド
「まあ 排水設備がしっかりとできたし、湯温の調節もできるからこういう贅沢もよいではないか。
使う湯船にだけ湯をはればいいのだから、湯の節約しようと思えばできるさ」
大ちゃん
「ここ床暖入りの浴室には、湯船・水桶・水シャワーと温湯の打たせ湯まである贅沢仕様
お風呂好きにはたまらないね」ボロン
「しかも 給湯タンクを利用して、浴室には 暖かいマッサージ台、
浴室とは別に、床暖入りの寝ころび部屋まである豪華バージョン♡」大ちゃん
「オフロスキーも大満足の 洞窟温泉♡」ミューズ
実は 大ちゃんとボロンはマッサージを受けるのが好きだった。
「肉体労働のあとに、上手なマッサージ師にもみほぐしてもらうと
筋肉中の疲労物質が早く運ばれて行って 疲労回復に効くんだ」ボロン
「わしらは 昔 ゲームで勝ったら、負けた者にマッサージをしてもらったものだ」大ちゃん。
「じゃ 今まで マッサージの話が出なかったのはどうして?」ゴン
「うちのクランに マッサージをするような人物がいるか?
スカイや清明だって 受ける側であって、誰かにマッサージするタイプには見えないぞ」ボロン
「なんなら わしが踏んでやろうか?」コンラッド
「恐れ多いので遠慮します。
だいたい コンラッドの足の裏一つで 俺の背中が覆われそうだ」ボロン
「じゃあ ボロンは ここに来る前は だれにマッサージしてもらってたの?」ゴン
「俺が3・4歳のころは 親父の背中を踏んでマッサージをしたな。
道づくりとかの研修旅行に行ったときは、
俺たち若手が交代で、引率の先生の肩や腰をもんだ。
稼ぐようになってからは、高級旅館に泊まれば、マッサージ師を頼むことができたので
一度お試し体験をしたよ。あれは気持ちよかった。
でも 普段は ゆったりと風呂に入ればそれで満足って感じだな、結構忙しかったから。」ボロン
「それでは マッサージが好きというほどではなかろうが」大ちゃん
「まあな。
若いうちは 金を払ってまで もんでもらわなくてもって感じだよ。
それに時間があれば、マッサージを受けるより、もっとアクティブな活動をしたかったし。
でも歳をとれば 必要性を感じることもあるんじゃないかな?」ボロン
「マッサージもいいが、湯船の外で 浴用椅子に座って仲間と背中をこすりあうのもいいもんだぞ」ボロン
「そうじゃ そうじゃ 専用椅子に石鹸受けも用意しなくては」
コンラッドはいそいそ取り出した。
ヒノキの風呂桶・陶器製の浴用椅子と石鹸受けを。
そして 脱衣場にはマイブラシやタオル掛けも しっかりと設置した。
「あはは 僕はフェンリル様の、ボロンはドラゴン様の入浴係を仰せつかりそうな雰囲気になってきた」
ミューズは 大げさに体を震わせながら言った。
「わしは 無理強いはせん!」コンラッド
「こういう時 スカイがいると コンラッドのお流し専属になったのになぁ」ボロン
「しっかりとブラシで汚れを落としてもらった後、トリートメントして 毛を乾かしてもらうと
毛がふわっふわになって ほんとに気持ちが良いのだ」
コンラッドが うっとりとした目で宙を見上げてつぶやいた。
「たまに トリートメントの代わりにリンスをしてくしを入れてもらうと
これまた毛がさらさらになって 風にあたると気分が高揚する」コンラッド
「それを言えば 僕だって 伸ばした髪をシャンプーリンスしてもらうと 乙女な気分になるんだけどなあ。
今は 短髪だから 自分でガシャガシャって洗うけど。」ミューズ
「僕は 合宿の時のように 一列に並んで背中のこすりっこがいい」ボロン
「だったら わしは 自分で洗体体操をやって 体を鍛えつつ清潔を維持するわい!」大ちゃん
「えっ ノームの洗体体操って どんなのです?
ドワーフのは タオルを使って 掛け声かけながら順番に体をこすっていくのですが」ボロン
「多分同じだと思うぞ。」大ちゃん
「あーあ 乙女の夢から野郎の世界に逆もどりだよ」ミューズが笑った。
ちなみに脱衣場に 男女の区別はない。
「ノームは 裸の付き合いに性別は気にしないからな」大ちゃん
「ぼくも ミューズに関しては気にしないことにした。
かといって これ見よがしに見せ付けられたら嫌だけど」ボロン
「反応してくれない人に見せ付けたりしないから どうぞご安心を。」ミューズ
「この更衣室の本来の設置目的は、光の洞窟に湯気が流れ込まないようにするための部屋なのだ」コンラッド
「地上と違って 洞窟は 臭いも湿気もこもるからなぁ。水はたまるし」ボロン
「そうよ。お前さんたちの排水設備の良さには感心した!
居住性が 抜群に上がって 驚いたよ」大ちゃん。
というわけで 更衣室には 洗面台もとりつけた。
姿見(鏡)も壁につけた。
ケラチン質の髪と鱗は ワームが食べないのでゴミの分別対象である。
ほこりやどろなどは そのまま処理場の土となるので大丈夫だが。
リンス成分については 後日 コンラッドがそれを利用した時に面白い展開となるのだが それはまた別の話。
尚 浴室の水樽は 浴槽同様 なかば床暖用配管に囲まれているので、水樽の中の水が自然にぬるま湯になり、ちょっとした・手洗い・足洗には気持ちの良い水温となった。




