地底世界でスカイボード
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「さてと いよいよ地底へと降りるわけだが、何か希望があるか?」
朝食後、コンラッドが皆に尋ねた。
「明るい所に降りたいな」ゴン
「どうせなら川の近くがいい」ミューズ
「僕は乗客だから まかせるよ」ボロン
「ならばあそこ、川に近くて一番手前の明るい所をめざそうか」
人化したコンラッドが 小さな光石の輝きをポインターのように絞って 指し示した。
「了解」ミューズ
空間倉庫からスカイボードを取り出し、ミューズに渡しながらコンラッドは尋ねた。
「お主 ここで少し試運転するか?」
「うわぁ まさか 地中でスカイボードをすることになるとは思わなかったよ」
ボードの先に光石をつけ、ミューズとコンラッドは 台地の端まで歩いて行き、そこでボードに飛び乗り 上がったり 降りたり 旋回したりと試し乗りをした。
ゴンとボロンは温泉につかって それをのんびりと眺めながら待つことにした。
「魔素が多い分 軽いね。」ミューズ
「速度の上りもよく、ブレーキの利きもよいな」コンラッド。
「ボードの先についた光石の軌跡がきれいだね」ゴン
「けっこう目立っちゃうかもだけど」ミューズ
「もし 何者かに襲われたら ここの台地目指して逃げ戻ろう」コンラッド
「空気中の温度はどうだい?」ボロン
「温泉の上は 暖かいよ。
でも 台地から離れると・・・下に行くほど気温は下がるかな」
ミューズは あちこち飛び回って報告した。
「台地を形成しているがけは、ところどころ光っておる。
それに がけのそばは下ってもさほど気温は下がらない」コンラッド
「だったら 崖のそばから探検しようよ。
僕は寒いのは苦手だ」ゴン
「オーケー
なんなら 台地の上を流れる川のそばから先に探検するかい?」
温泉のそばに舞い降りたミューズが言った。
「わしはどっちかというと トンネル口に近い 台地の川の傍で明かりを使いたくないのだ」コンラッドもおりてきた。
「用心のため?」ボロン
「そうだ。
昔は 地底世界にも生き物がいたからな。
今はどうなっているかわからんが」コンラッド
「仲が悪かったの?」ゴン
「食い物をめぐって争うものもいたし 平和共存やら 不干渉のものもいた」
「ふーん」ゴン
「多種族が住まう地底世界があったとは‼」驚くボロン
「ぼくも知らなかった!」ミューズ
「わしもそれほど詳しいわけではない。
というか その一部しか知らん」コンラッド
そこで 早めの昼食をとってから、温泉が張り出した下側のがけ近くを下りていくことにした。
 




