表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
第4章 地底探検
84/112

地の底へ

実のところ 大洞窟の熱泉よりもさらに深い所に 地底世界が広がっていた。


地上の生き物でその存在を知るのは、かつて地上で暮らしていた何頭かの古龍とその友であったコンラッドのみであった。


大洞窟に入ってからとはいえ、ミューズが その地底世界の片りんをかすかに探知したのは さすが時渡りというべきかもしれぬとコンラッドは思った。


大洞窟から 地底世界に転移する通り道を知っているのは今のところコンラッドだけである。

 道を覚えれば ミューズも転移できるかもしれないし

将来的には ゴンにも自力で転移できるようになってほしいと、コンラッドは思っている。


「ボロンは ゴンの友だから特別に連れて行ってやるが

 地底世界の存在は ドラゴン族の秘密だから、

 ここにいる4人以外には秘密じゃぞ」コンラッド


「スカイや清明にも言っちゃだめなの?」ミューズ


「当然じゃ。

 スカイはわしのかわいい弟子だし

 清明も同じクランの仲間ではあるが

 二人とも いずれいずれ人間社会に戻ってどっぷりとそこに浸って暮らす身じゃ。

 あやつらの能力では地底世界に行くことも 生きて帰ることも無理だから

 何も知らさずそっとしておくのだ。


 ボロンも秘密は守れよ」コンラッドは念押しした。


「はい」ボロンは ゴンのために約束した。


・・・

コンラッドに連れられ転移した先は漆黒の闇だった。


コンラッドが何かを取り出し 静かに呪文を唱えるとその手には光る玉が乗っていた。


「うわぁ コンラッドが人化している!」ミューズ


「ここの空気は 今までとは違うね」ゴン


「地底世界には 魔素が多いのだ。

 その魔素を固めたものが この光石だ。

 また 魔力に満ちた魔力だまりも多いのが 地底世界の特徴だ」

コンラッドが説明した。


「魔力だまりや魔素の使い方はいずれ教えるが

 今年は 地底世界を見て回ることを中心にしようかの」

コンラッドが言った。


「とりあえず 道しるべとなるように 光石を使うぞ」

コンラッドが壁のくぼみの台座のような場所にある小さな丸石に触れると

その石はパッと点灯した。


「すごい! 僕も使えるようになりたいなぁ」ミューズ


「それもいずれ教える。 今は見るだけにしておけ。

 おまえが トチるとすべてが爆発して消える恐れがあるから

 わしが しっかりと結界を張るまでは 魔力も魔法も使ってはいかん!

 魔力や魔法のきき方が ここと地上ではかなり違うから、それを教えるまでは お前の力を一切使うな!」

コンラッドは ミューズをしっかりと見据えて言った。


「はい」ミューズも素直に応じた。


コンラッドは 台座の位置を起点に歩数を数えて床をなでると 蓋が出てきた。


コンラッドが蓋を引き上げると 梯子があった。


コンラッドは小さな光石の入った缶をミューズとボロンの腰につけてやった。


「お前たちは このはしごを下っていくのだ。

 底についたら ついたといえ。

 わしは ゴンを連れて転移するから」


コンラッドの指示に従って 二人は梯子を下りて行った。



真っ暗な縦穴の中を 梯子を使って降りていくのは度胸がいった。


腰に下げた光石のおかげで手元の梯子が見えるとはいえ、

先の見えぬ闇の中に降りるのは勇気がいる。


「どっちが先に降りる?」ボロン


「君が先に降りて。

 僕は軽いから もし 僕が手を滑らせたら君が受け止めてね」ミューズ


「さすがにそれは自信がない。

 まあ 君が足を踏み外して 僕の肩にまたがるのは許すけど

 僕が受け止められないような落ち方はしないでね

 もちろん僕を巻き込んで落ちるのもNG」

 ボロンは笑いながら言った。


「ミューズよ

 自信がないなら おぬしが先に降りて、

 いざというときには 上にいるボロンに支えてもらえるように腰ひもをつけたらどうだ?」


コンラッドの提案にミューズはのった。


「あのさ 腰ひもでつながっているから、距離を一定に保つように

 同じ速度で降りてね。

 止まる時には あらかじめ僕の了解を得てからにしてね」ボロン


「わかった。気を付けます」ミューズ


ミューズは決死の覚悟で先に降りて行った。

 植物を愛するエルフは 太陽の光がまったく差し込まないところ入っていくのはあまり気が乗らないのだ。


「行くよ」ボロンも声をかけて ミューズに続いて降りた。


(お前たちが底についたら蓋を閉める。頭上が暗くなるが怖がる出ないぞ)

コンラッドが念話をおくってきた。


縦穴の中は ひんやりとしていた。

(ゴンが縦穴の冷気でかぜをひかないように もう蓋をしてください)ボロン

(ありがとう)ゴン


コンラッドが素早く蓋を閉めた。

 頭上の光とともに希望まで消えた気がしたミューズは、ぐっと梯子を握りしめて降り続けた。



いい加減 腕も足もだるくなってきたころに「ついた」というミューズの声が聞こえた。


ミューズは底につくと ゆっくりと横に寄った。


続いてボロンも縦穴の底に着いたので、「ついた」とコンラッドとゴンに念話を送った。



縦穴の底がぱぁ~っと明るくなった。

ゴンと一緒に転移してきたコンラッドが持つ光石の輝きだ。


コンラッドは ランプのような形の手提げに光石をセットしていた。


縦穴の底は 広かったが天井が低かった。

人化したコンラッドの頭すれすれの高さだった。


ゴンは頭を低くして もともとの大きさで立っていた。

特性のベスト?腹巻?のようなものを着ている。

 これは 夏の間に スカイ・ボロン・ミューズで共同開発したドラゴン用保温服である。

 撥水効果と保温能力の高い特殊素材を糸にして編み上げ、

 羽や手足の動きを妨げないように胴体を包み込む胴着?である。


 ちなみに ドラゴンは 幼いうちは4足歩行だが、成長すれば 2足歩行や人化も可能になる個体もいるそうなので、ドラゴンの前足に関しては、手なのか足なのか 呼び方はあいまいである。



「とりあえず ここで食事にしよう。

 この先 まだまだ移動しなくてはならんからな」

コンラッドの提案で 4人で弁当を食べた。


暖かいスープと サンドイッチ又は生肉である。

※ 今夜8時に 2度目の投稿をします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ