表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
     森の中へ
74/112

1日ハイキング:シリブカガシ・栗・タマゴタケ (写真あり)

(3/9)

浮橋をわたると、どんぐり林だった。


♬どんぐりころころどんぐりこ♬ゴンは陽気に歌いながら歩いていく。


「よく知ってるね」ボロン


「ミューズに教えてもらったんだ♡」ゴン


「おかげで どじょうがよく太ったんですね」清明


「柳川鍋 おいしかったなあ」ボロン


・まず最初に目に付いたのは、「尻深樫しりぶかがし

「どんぐりのお尻の部分にへこみがあるから、「しりぶか」って名前がついたんだって。」ボロンが下調べしてきたメモを読み上げる。


挿絵(By みてみん)


「秋に、雄花と雌花が咲いて、強い香りの蜜で虫を誘うってことは、

 蜂も集まるのかなぁ?」ボロン


「実は生食できて リスや野鳥が好む。

 実が熟すのに1年かかる、ってすごいですねぇ。

 森の木って 実るのに時間がかかるんですね」清明


「やっぱり 大きくなる生物は 生まれる前から時間がかかるのかも」

ゴンがいたずらっぽく言った。


挿絵(By みてみん)


尻深樫しりぶかがしの北側には栗林が広がっていた。

 境川の近くは空き地だったが、東側に行くほど 大木が生えていた。


 どちらもブナ科だが、尻深樫は常緑樹、栗は落葉樹だ。


「栗材は、虫にも湿気にも強い。」スカイから渡されたメモを見て

 だったら 栗材で橋をつくればよかったじゃないか」ボロンがぼやいた。


「あの川にかける大木を見つけるのがたいへんだったとか・・

 建築するより魔法を使う方が彼にとってはイメージしやすかったとかじゃないですか?」

清明がとりなした。


「栗は実をつけるまでは早いけど 育つのはゆっくりだし、

 木材としては貴重だから橋にしたくなかったんじゃないかな。」ゴン



境川のそばの空き地に 簡単な囲いを作って、そこにダーさんたちを放牧した。

 この簡単な囲いというのは 目印のようなもので その気になれば

ダーさんが簡単にまたぎこせる高さであった。


 ダーさんたちには 出発前にスカイが、もし獣が襲ってきたら、大声で鳴いて、浮橋のところまで走って逃げるようにと言い聞かせてあったので 川のそばで待機させても大丈夫だろう。



 林の中に入る前に、ゴンは小さく変身してボロンの肩に載った。

ダーさんやドラゴンの脚で 森の中の新芽を踏み荒らしたり、キノコをつぶさないための配慮である。


 3人は歩数計をセットし、コンパスで進行方向の向きを確かめて林の中に入った。

 一応 植生や起伏・地形について簡単な地図を作るのも今回のミッションだったからである。



「栗の花の名残が残っているね」ボロンは若木を見て言った。


「雄花は垂れ下がって目立つけど、雌花は なんだかかわいいですね。」清明


「青いイガイガの元になる部分の先っぽに花がついて、

 受精するとイガイガになる予定の部分の中が膨らんでいってるのがかわいい♡」ゴン


「あの独特の香りのはちみつって 栗の花の蜜の香りだったんですね」

清明は昔食べた蜂蜜を思い出して言った。


「そばと栗のはちみつは個性的だよね」ボロンも同意した。


「今度は 尻深樫の花が咲いている秋とか、栗の花の盛りのころに見に来ようよ♡」ゴン


(君なら 上空から木々に花が咲いているのを見ることができると思うよ。

 そして 花が咲きだしたら、またボロン達を誘って今度は地上から見に来るといいんだ)

スカイが念話で会話に加わった。


挿絵(By みてみん)



・森の奥の栗の大木の近くに 小さな泉があり、そのそばには赤いキノコが生えていた。


 白い袋の中から口紅の先のように顔を出しているもの

 絵本にある「きのこのおうち」のような形をしたもの

 軸がのびて まんまる帽子になっていたり

 やがてかさが開いたものなど いろいろだ。


 赤や黄色のキノコは毒をもつものが多いので、コンラッドを念話でよんだら すぐに来た。


「ああ これは タマゴタケだな。

 この2・3日、『一時雨』が多かったので 出てきたのだろう。

 これは 1・2日で成長してしまうからのう。

 

 少しだけつんで帰って、今夜の汁物のだしにしようか」コンラッド。


・そのあと コンラッドの先導により尻深樫の林の方に回り

 そこから境川へと向かった。


 尻深樫の林の中にも ところどころに、黄色や茶色のタマゴダケのような形のキノコが生えていた。

 形はそっくりでも 実は別の種類だが、食べれるものはコンラッドが教えてくれたので それらも少しづつつんだ。


「きのこがりというのは、取りすぎぬように 必ずその場の半分以上は残すこと、

 そして菌糸を痛めぬように 地上部だけをそっとハサミで切り取るのじゃぞ。

 あと 毒にあたると致命的だから、キノコは栽培したものを食べるのが一番良い。

 天然キノコは 『栽培の参考にするための観察』ぐらいに思っておくのが一番だ」コンラッド


「しかし 森の生き物はキノコを食べますよね」清明


「あやつらは、自然の摂理にしたがっておるもの。

 『栽培・飼育』を覚えた人族のように、自然を食い荒らして飽食を重ねて 他の種を絶滅においやったりはせん。

 『栽培・飼育』を始めた時から 人族は自然のことわりから外れた生き物になったのではないかと わしは最近思うようになったな」コンラッド



一行が 林を出ると 浮橋のたもとの近くだった。


ボロンはダーさん笛を吹いて、ダーさんを呼びもどし、

ゴンは元の大きさに戻って城の中庭へと飛んで行った。


はじめての森林探検『1日ハイキング』はこれにて終了。

(参考)

・シリブカガシ

https://www.uekipedia.jp/%E5%B8%B8%E7%B7%91%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%96%E3%82%AB%E3%82%AC%E3%82%B7/  写真引用の一部を引用して加工


 このサイト全体が、雄花・雌花も含めて 特徴をとらえたわかりやすい写真と解説が豊富


・栗

https://www.shinrin-ringyou.com/tree/kuri.php

  写真が豊富

https://www.uekipedia.jp/%E8%90%BD%E8%91%89%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9-%E3%82%AB%E8%A1%8C/%E3%82%AF%E3%83%AA/  写真の一部を引用して加工


・どんぐりの見分け方について

https://www.nacsj.or.jp/archive/files/katsudo/kansatsu/pdf/No535-kyoukarahajimeru.pdf

 非常にわかりやすく 実用的な図解あり


・夏キノコ全般について

https://camp-quests.com/1095/


※タマゴタケ・キタマゴタケ・チャタマゴタケはレッドデータブック入りしているので

 リアルでは 採取せず 観察・写メの実にした方がよいと思います


 しかも そっくりさんの毒キノコも多いから。


 なお チャタマゴタケの黄色変種が発見されたり、キノコの世界は奥が深い・・


・タマゴタケ:写真豊富

   https://kinoco-zukan.net/tamagotake.php


・キタマゴタケ http://mushroomsindex.com/result0067.htm

・チャタマゴダケ http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/tatuta/kinoko/kinoko08.htm



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ