浮橋
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浮橋 それは境川の上にかけられた橋である。
一見、人 一人が歩ける細い板橋のように見える。
しかしよく見ると 岸から15センチほど浮き上がっている。
さらに よくよく見ると 細長い板が5枚ほど縦に連なっているのである。
しかも 板の両端には縁取りが付いている。
この板の上をダーさんが歩くと、重みで板が15センチほど沈み込む。
両端の板は 岸の上に半分載っているので、沈み込んだ板が地面に乗っかったように見える。
しかし真中の3枚の板の上にダーさんがのっかると あからさまにその板が下に沈み込む。
しかし 5枚の板を縁取るようにつないでいる紐と蔓と網は浮揚の花の軸や繊維や浮木の小枝を使ったものなので、沈み込んだ板をまるで吊り上げようとしているかのように浮き上がる。ほかの4枚の板と一緒に。
「ねえ 川底や水面って 岸より3m前後下にあるわけでしょ。
なのに なんで浮橋の板は 岸にかかっているほうも 川の上に浮いているほうも
同じ高さ何です?」清明&ボロン
「そりゃぁ 浮揚の花粉から作った浮粉の量を調整したからだよ。
浮粉ってのは 動物がアレルギーをおこさないように調整した花粉のことね」スカイ
「今の時代 浮粉やスカイボードを作れる人は 何人いるんだい?」ミューズ
「スカイだけじゃ」コンラッド
「たぶん 僕だけじゃないかなぁ」スカイ
二人は同時に答えた。
「そもそも 浮揚の花や浮木について知っている者がもういないからな」コンラッド
「確かに 乱獲されると アッという前に絶滅するものな」ミューズ
「この浮橋は 使う時だけ出して、普段はスカイに空間収納しておいてもらおう。」コンラッド
「空間保存したほうが 浮橋が風で流されたり 浮粉が消耗したりするのを防げるからね」スカイ
「とにかく これで 境川を渡りやすくなりましたね。」清明
「スカイが居るときだけね」ボロン
「心配せずとも スカイの収納空間の中でも わしが共有できる区画に入っておるから
スカイが不在のときは、わしがスカイの収納空間から取り出してやる」コンラッド
「へーえ 共有区画を持っているってすごい信頼関係だねぇ」
うらやましそうにミューズが言った。
「とにかくこれで、僕もボロンと一緒に プチ旅行に出かけられるようになったよ♡」
ゴンが嬉しそうに 尻尾を振り振り言った。
※ 今夜 夜8時に2回目の投稿をします
(3月19日~21日の3連休は 朝8時と夜8時の2回づつ投稿します)
 




