久しぶりの洞窟温泉
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赤松の観察をすませたあと、一同は城に戻った。
久し振りの偵察飛行で緊張感が抜けないボロンのために、ゴンはボロンを背中にのせて、洞窟温泉まで走っていくことにした。
が しかし、
「去年も言ったけど君が歩いたり走ったりする揺れには体がついていかない。
それに走ると砂ぼこりで前が見えない!」ボロンは悲鳴をあげた。
「しかも 地響きがすごいぞ。低空飛行しろ」コンラッド
「だけど ボロンは高所恐怖症でしょう?」ゴン
「高い所から落ちるのが怖いの。
君が走ると 確実にずり落ちるからっていうかもう落ちてるから」
ボロンはゴンの背中に必死にぶら下がっていた。
(情けない)ぼやきながらもコンラッドは ボロンをゴンの背中に立たせてやった。
「獲物を捕まえたり敵と戦う時にも 低空飛行は必要だ。
その練習もかねて 低空飛行で静かに竜の草原を横切るんだ」
コンラッドはゴンをうながした。
「はぁ~い」ゴンは ふらつかない速度で洞窟温泉まで飛んで行った。
そして 久しぶりにゴンはボロンと一緒に 温泉洞窟の浴場に身を沈めた。
「あれ? 去年より ここ 深くなってない?それに広がったような??」
ゴンとボロンの疑問にコンラッドが答えた。
「うむ わしも仲間に入れてほしくてな、
スカイと二人で 浴槽部分を拡張したのだ」
「それで 手前は 去年と同じく僕向きの浅さで
奥の方は ドラゴンサイズの深くて広い部分と、
人間一人が足を延ばして浸って肩まで湯が来るくらいの広さと深さになっているのですね」ボロン
「そうよ お主たち二人が仲良く湯につかるように
わしもスカイと二人で一緒に入りたかったのでな」コンラッド
「失礼ながら 湯に浸った時に抜け毛とかは?」ボロン
「失礼な。我は神獣ぞ!」コンラッド
「すみません」ボロン
「実は スカイが わしが入浴するときには その部分を結界でくるんで
わしが出た後 その部分の湯の入れ替えをしよるのよ。
あいつは清潔好きじゃからじゃからのう、
洗い場に わしの毛1本残ることも許さんのだ」コンラッド
「だったら、コンはスカイと一緒の時だけ ここのお湯を使ってね。
それとも 自分でスカイと同じことができるの?」
ゴンが遠慮なく質問した。
「できぬことはないが そこまでやると寛げぬからやりたくないな。
だから 今日のところは お前さんたち二人でゆっくりと風呂にはいれ」
そういって コンラッドは城に転移していった。
ボロンとゴンは 二人仲良く 温泉に浸った。
「コンラッドとスカイのおかげで 今年も一緒に入浴できたね♡」ゴン
「ああ なんだか あっという間の1年だったなあ」ボロン
「うん」
ゴンは ボロンと並んで湯につかり ボロンの肩に頭を寄せた。
もう ボロンの肩に頭を載せられないほど大きくなってしまっていたので
鼻先をボロンの肩にこすりつけると、
ボロンは ゴンの首に腕を回した。
 




