夕顔とユウガオ (写真あり)
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「うーむ」春花壇の横で考え込むコンラッド
「どうしたのさ」ミューズ
「いや実は」とコンラッドが昨年まいたゆうがおのことを話した。
「上に向かって伸びていくようにせっかく枝をさしてやったのに地をはって広がって、白い花は咲いたが香もないし、ごろんごろんと大きな実がなったのは良いのじゃが・・いまだかんぴょうに加工する暇がとれず、マジックバックの中で眠っておるのじゃ」
「あーそれ ”ゆうがお”違いだよ」ミューズ
「?」首をかしげるコンラッドにミューズは丁寧に説明した。
「夜のとばりがおり始めると咲きだす白い花は、夕顔(ヒルガオ科)。
トレリスなどにまきついて、上向きに伸びて、夜の間 柔らかい香りを漂わせ、
朝日が昇るころにはしぼんでしまう」
「そう それよ わしはその夕顔の花を見たかったのじゃ」
コクコクとうなづくコンラッド。
「君が去年植えたというユウガオは、ウリ科の植物で、地面を這う弦は20mくらい伸びたのではないかい?」
「そうだ その通り」コンラッド
「夕顔(ヒルガオ科)の花は、7月中旬から10月ごろまで咲くけれど、
ユウガオ(ウリ科)の実、これは瓢と呼ぶんだけど、
この瓢は、8月のはじめには、5~7キロの実がごろんごろんしてたんじゃない?」
「そうなんだ」
「瓢というと、瓢箪と間違える人がいるんだけど、
ひょうたんは、ユウガオ(ウリ科)の変種らしいよ。
それで 瓢つまりユウガオの実は、だいたい お盆の前の直系30センチくらいになった時が 収穫時だと言われている。
それ以上置いておくと 実は大きくなるけど、
中のタネと種のまわりの柔らかい部分(「わた」って呼ぶんだけど)が大きくなって
皮の部分は硬くなるから、
切ったり、皮をはがすのもむつかしいし、
食べることのできる実の部分も少なくなるね。」
「なに、ユウガオはそのままでも食べられるのか?」コンラッド
「もちろん。
瓜の仲間だもの。
なにも 実を乾燥させてかんぴょうにするだけでなく
生の実を調理して食べることもできるんだよ」ミューズ
「それは 知らなんだ」コンラッド
・・
コンラッドはスカイを呼び寄せ、話を聞いたゴンやボロン・清明も集まって、みんなで 昨年とれたユウガオの実を全部 空間収納から取り出して並べた。
実は、瓢収納のために マジックバックの増産に励んだようなものなのに、いざマジックバックが完成すると、実のあまりの大きさに、
空間収納からマジックバックへの移しかえが面倒になって、そのままスカイの空間収納庫に入れっぱなしになっていたのだ。
「うーん これ これ これ・・・は大きすぎる。
たぶん 完熟した種が入っていると思う」
ミューズは ホールの床に並べられた重さ20キロほどのものを指さした。
「これらは 種をとったあと、外側を乾燥させて器として利用したほうがいいね」ミューズ
「こうしてみると、実の中心に種があまりない、7・8キロの大きさのものは、20個ほどしかないな。
あとは全部育ちすぎておる」
コンラッドも鑑定眼を駆使して、実の中のタネの熟し具合を見て言った。
「雨の降った翌日には、一晩でぐんと実が大きくなっていましたからねぇ」清明
スカイは コンラッドの鑑定をもとに、今度は、瓢の大きさや熟し具合別に、
瓢をいくつかのマジックバックに分けて収納していった。
・・・
ユウガオの実(瓢)料理
①使う分だけ切り分ける
輪切りにすると、生食する分と、手剥きでかんぴょうに加工する部分と、
無駄なく使い分けできる
②煮物にするときは、下ごしらえとして、ゆでこぼして、癖をとると良い
ゆでこぼし:ゆであがったら、ゆで汁を捨て、あくやぬめりをとる
③調理方法
・煮物・汁物の具:柔らかく透き通るまで火を通す
「煮ると、実にやわらかくとろけるようだ。
冬瓜とおなじく、これは 幼龍の離乳食にもなったな」コンラッド
「あつあつでも、冷やしても どっちでもいいね」ボロン
「しかし 量が多いと 飽きますね」清明
「だから 干して かんぴょうにするんだよ」スカイ
「かんぴょうにすると、保存性がぐんと上がるし、栄養分もぎゅっと濃縮されますね」ボロン
「少量なら いっそオープンで乾燥させればよい」コンラッド
「その前に炒めものにするよ。
薄切りにしたかんぴょうは こってりとした肉のうまみとあいそう」ボロン
・炒めもの
細切り・薄切りにして
・酢の物/サラダ
薄く細長く切る→ゆでる→水気を切る
・調理やかんぴょう作りのときに、残った綿の部分を使って
「じゃじゃーん!ひき肉と一緒に煮込んで”そぼろ肉のあんかけ”」
ミューズが作った一品料理
・・・・
かんぴょう作り(手作業)
瓢の真中あたりを、厚さ3センチに輪切りにする
↓
綿の部分をくりぬく(金属の筒でコンとやって抜くと良い)
↓
皮むき器で皮をむく
↓
リング状に切り取られた瓢を包丁で、2~3ミリにの厚さにかつら剥きする
男4人が輪になって、皮むき大会
みんなで 誰が一番長く剥けるか競争
手が滑らないように手袋をつけて。
「これさあ 途中で休めないからつらいね」ミューズ
「せっかく切らずにむいても むいた皮が引っかかってちぎれると 無念だよ」スカイ
「やっぱり 機械で丸ごと がーっと皮をむいて かんぴょうにしよう
実のまま食べる分は 切り分けてはマジックバックに保存して 1個丸々食べてしまおう」ボロン
包丁の使い方に悪戦苦闘する清明を見て、ミューズが言った。
「瓢をむくための 専用手カンナが1本だけあるんだ。
それを使うかい?」
「お借りしてもいいんですか?」清明
「うん」
ミューズは、手カンナを使って リングの内側から瓢をむいていくやり方を実演して見せた。
この場合、瓢の皮はむかない。
皮の内側のぎりぎりまでむいて終わり。
清明は、はじめはぎこちなく だんだん滑らかにカンナを滑らせ、むいていった。
「こちらの方が便利です。
手がべたべたになりますが」
ボロンとスカイも手カンナに興味を示して、清明のあと順番に1個づつむいてみた。
そうやってむいたかんぴょうの元は、2本掛けの竿につるして干した。
「本当なら 夏の炎天下で二日かけて乾かすんだけど」ミューズ
「いっそ 燻製室でかわかしたら?」
「糖分があるからね、乾燥前のかんぴょうってくっつくんだ。
それが張り付いてしまわないように、くっついたところをはがしながら乾燥させないといけないんだ」ミューズ
「だったら 僕の実験室の一部の乾燥室で乾かそう。
瓢の一部を手剥きした この少量なら 並べてスイッチポンだね」スカイ
ミューズと清明は、竿がけした生かんぴょうをもって スカイの乾燥室に移動した。
実は 皆がスカイの実験室に入るのは これが初めてだった。
もちろん 竿を持たないボロン・コンラッド・ゴンも興味津々でついて行った。
天日乾燥の場合、のれんのように吊り下げるが、
スカイの乾燥室では、壁に凹凸があり、そこに専用竿をさしかけ、すのこ状にならんだ竿の上に、
生かんぴょうをたるませながらかけた。
そして 全員が乾燥室の外に出た後、スカイがボタンをポンポン押してダイヤルを回すとあら不思議
乾燥室の中が温まり、下からは乾いた空気が緩やかに送り込まれて上部に抜けていき・・
翌日にはしっとりとしたかんぴょうが出来上がっていた。
「しっかりと乾燥させるなら この状態で乾燥したところにつっておくといいね」スカイ
「どうして 竿に生かんぴょうが引っ付かなかったんですか?」清明
「そこは魔法の力で 乾燥の進み具合を調整したり、引っ付かないようにちょちょっとね」
スカイがにっこりと笑った。
「残り19個は マジックバックに保存して 夏に機械で皮をむいて 天日干しにしよう。
実の中心に鉄芯を差し込んで 足踏み式でそれをくるくる回して、皮をむく機械を作ろう。
かんぴょうにできない部分を料理しておいしくいただこう。」ボロン
「ボロンさんは 配達員なのに、機械作りもできるのですか?」清明
「ドワーフ学校には 実習コースもあってね。
いろいろやらされたよ。
そのおかげさ」ボロン
ゴンがキラキラとした目でボロンを見つめた。
「あっ、ドワーフギルドでは いろいろなパーツを売っていてね、
それらを組み合わせたり、こちらで設計図を書いて部品を特注できるから
僕らは 自分で設計図をかいたり、組み立てればいいだけなんだ。
それに ギルドの相談部門では、設計図の出来栄えをチェックしてくれるからね、
目的・用途・作業内容と対象物について具体的情報と機械に関する基礎があれば
なんとかなるんだよ」とボロンは補足した。
「それにしてもすごいです。
その学校システムとサポート体制が」清明は感心した。
「もちろん それらを活用できるボロンさんの知性もね」ミューズ
「このぶんじゃと 今年は 白花夕顔を育てて、瓢になるユウガオのタネはまかぬ方がよさそうじゃの」コンラッド
「そうだね ウリ科は連作障害が出るからねぇ」ミューズ
・・
というわけで、今年は、馬場やダーさんの庭の囲いの一部に沿って、白花夕顔のタネがまかれた。
「柵が低い分、垣根にそって夕顔が横に広がってくれると良いのだが」
コンラッドが心配そうにつぶやいた。
「それより 馬が夕顔の葉っぱを食べないように しっかりといいきかせなくては」スカイ
(完熟瓢は 冬に種取をしたあと硬い皮を置物に加工する予定である。
マジックバック様様である)
(参考)
白花夕顔:観賞用:ヒルガオ科
・https://www.sakataseed.co.jp/product/search/code00907740.html (写真引用)
サカタのタネ
・https://fuji-flower.jimdofree.com/2011/10/09/%E7%99%BD%E8%8A%B1%E5%A4%95%E9%A1%94%E3%81%AE%E5%AE%9F%E3%81%A7%E3%81%99/ (写真引用)
紫色の白花夕顔のタネ
朝顔にも 紫色のタネをつける大輪の品種がありますが、こちらはもっと先がとがっていますね
葉の形は 野生のヒルガオとにています
・https://and.kagome.co.jp/talk/talk/free_talk/28073/
カゴメのコミュニティに個人宅で栽培された夕顔の花が投稿されています
民家の2階まで 伸びる夕顔の花とつぼみとしぼんだもの
・・・・
ユウガオ(瓢):食用:ウリ科
・https://yakusoutohana.shop-pro.jp/?pid=136749306
ユウガオその他について 毒性についても説明あり
・http://www.biwa.ne.jp/~futamura/sub62.htm (写真引用)
引用した写真だけでなく、雌花のつぼみが ピンとたっている姿の写真もあり
安藤広重の絵にも描かれた水口のかんぴょうの歴史の紹介
松尾芭蕉の俳句など文学の紹介
かんぴょうづくりの様子や 近縁種の紹介など 話題が豊富
・http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000754/simple/yuugao.pdf
川畑地区のかんぴょうづくり(手作業)の紹介
ユウガオ栽培からかんぴょうづくりまで 詳細に写真入りで紹介
・https://ameblo.jp/kanbutsu-yamashiroya/entry-12459802833.html
現代的なユウガオの栽培とかんぴょうづくりの紹介
・https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/yugao.htm
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/yugao2.htm
瓢の縦割り断面図写真あり
・かんぴょう剥き機械について
https://ameblo.jp/ynkanpyo/entry-10338975615.html
写真入りで詳しい
・育ちすぎた瓢は・・
https://kanreki.tabikaz.com/fruit-of-the-gourd-harvest
手カンナでむこうとしている写真あり
・ふくべ細工(完熟させて種を取った後の実を加工)
https://utsunomiya-8story.jp/archive/contents_05/co_47/
http://www.ueis.ed.jp/kyouzai/sinden17/hukube/hukube2.html
https://www.tochigi-edu.ed.jp/furusato/detail.jsp?p=43&r=202
・ユウガオの栽培適地について
https://www.kanpyo.jp/basic/ 栃木県干瓢商業協同組合
・・
かんぴょう作りの動画
・https://www.youtube.com/watch?v=CZH2F0V0o8w (機械)下野
・https://www.youtube.com/watch?v=WMtHyBaiDMk (未経験者に手取り足取りレッスン)
使用している機械は 上のと同じ
・https://www.youtube.com/watch?v=Xm5jr1_ACT4 (むくところから干すところまで)下野
・https://www.youtube.com/watch?v=pXDomIUl1Vk 上三川
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/332435 上三川
・・・
ゆでこぼし
https://housefoods.jp/recipe/kihon/cooking/cooking_01.html
かんぴょうレシピ
http://kanpyoya.com/recipe
かんぴょうの食感や味のしみこみやすさを活かした 斬新なで簡単調理法がいろいろ
さすが かんぴょう屋のおすすめレシピ!
個人的には ペンネよりも短時間でできそうな、かんぴょうミネストローネ(風)に興味を惹かれました。
https://hyoki.jp/blog_akasaka/%E3%82%A6%E3%83%AA%E7%A7%91%E3%81%AE%E9%87%8E%E8%8F%9C%E3%80%80%E5%A4%95%E9%A1%94%EF%BC%88%E3%83%A6%E3%82%A6%E3%82%AC%E3%82%AA%EF%BC%89%E3%81%AF%E7%BE%8E%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%84%E4%B8%87%E8%83%BD/
ほぼ店の宣伝 ちょっと参考にしたので アドレスだけ載せておく




