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ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
    エルフのミューズ
52/112

無茶苦茶な話

(7/9)

「フェン 元気だった?」

ミューズは嬉しそうにコンラッドに駆け寄り、

コンラッドが自分とゴンにかけた魔法障壁にぶつかった。


「トリックスター 何しに来た」コンラッド


「今は ミューズと名乗っているんだ。

 お見知りおきを」

  そういって スカイから借りて着ているフードをはねのけ優雅にお辞儀をした。


「フェン?」清明が小声がでつぶやく


「フェンリルのフェン 僕の仲間のエルフはどこに行ったの?」ミューズ


「わしも聞きたい おぬし達どうなっておる?」コンラッド


「そっちの人たち」と親指で肩の後ろを指しながらミューズは言った。

「にも言ったんだけど、僕 いたずらがすぎて1000年の追放刑を食らったの。

 それが終わったんで こっちに戻ってこようとしたんだけど、

 位相がずれていてさあ

 やっとここまで戻ってきたんだけど 

 世界は小さくなってるし エルフの痕跡はないし

 どうなってるの?」ミューズ


「寝てたから知らん」コンラッド


あちゃーという顔をするミューズ

「そういえば 君 そういう性格だったよね><

 気に入った存在があれば 細かいこと気にせずそこにとどまる。

 ていうことは ここに居る人たちが 今の君の仲間?」


「スカイは 俺の弟子だ。

 この子は 俺の子だ

 ボロンは この子の兄で 清明はおまけだ」コンラッド


ミューズは ゴンの前に立ち 再び優雅にお辞儀した。

「エルフで時渡ときわたりのミューズと申します。

 人の性別をちょいちょい変えたり 人を慌てさせるいたずらが好きだったので

 以前はトリックスターと呼ばれていました。


 今は いたずらをやめてスイッチと名乗ることにしています。

 もっとも 肝心の竪琴を スカイさんに取り上げられたので 

 自分の性別も 元の男にもどせなくて こんななりをしてます」

といってパッとコートの前を開いて見せた。


ゴンは不思議そうにミューズを見て

「どういうことか説明して?」とボロンを見上げた。


「なあ かぜをひかれると困るので 服を着たらどうだ?」

ボロンはミューズに声をかけたあと、優しくゴンを抱きしめて言った。


「ミューズは ああいうことをすると人が驚くと思っているんだ。」

「ふーん でもどうして?」ゴン


「さあな。 ミューズの仲間なら あれで驚いたんだろ?2000年前なら。

 あれっ?てことは お前 刑期が終わってから1000年もさまよってたの?」

ボロンはミューズに尋ねた。


「なんだ 今頃気が付いたのかよ、 鈍いな。

 1000年さまよってたんじゃなくて、

 追放されてから2000年たった時点にしか戻れないんだよ!同じ時系列では。

 っていうか ほんとに同じ時系列なのかはわからないけど

 たぶん元の時系列?またはそれに一番近い世界では」ミューズ


「つまり お前は平行宇宙をさまよっているのか?」ボロン


「ドワーフが平行宇宙を知ってるって どういう世界なんだよ ここ?」

ミューズは心底驚きコンラッドに問いかける。


「知らん。つまりはこういう世界だ」そっけなく答えるコンラッド


「ボロンは博識なんだ。読書が趣味だったらしくて」スカイ


「いろいろ学説はあるんだが、それは脇に置いといて

 ようは 俺は 追放されてから1000年後の世界には戻れなくて

 2000年後の世界についたと思ったら 仲間の痕跡すら見つけられず

 地形まで変わってるんで困ってるってこと」ミューズ


「それで なんでスカイさんに会いたかったんです?」清明


「蜂蜜がうまかったってのはほんと。

 それで こんなうまい蜂蜜を作る人なら エルフ好みの土地に住んでるだろうなと思った。


 あと なんとなく 知り合いが居そうな気がした。

 だから スカイに会って助けを求めたかったんだ」ミューズ


「ところが やたらめったら警戒されて

 あげく 昔なじみの前に連れてこられたと思ったら

 そいつが どうも自分の名前を変えたらしくて

 しかも今の呼び名を教えてくれないんだよ。

 どこまで 信用ないんだよ?俺!」


「過去の悪行を思えば当然のことじゃろうが!」

コンラッドが不快そうに言った。


「わかった! この世界にいる間は 悪さはしない。

 どこの世界に移っても お前とお前が大事にしてるやつらに禍が及ぶことはしない。

 約束する!」ミューズは 右手を挙げて宣誓のポーズで言った。


「ひねりも裏も トリックもなしで 正真正銘誠心誠意 俺たちをいかなる形でも害せぬ・裏切らぬと誓え」コンラッド


「誓う」

ミューズは しぶしぶ 悲しそうな顔で言った。

「正直言って 今の状況ではいたずらする気にもなれんよ。

 だけどさぁ この体で男物の服を着るのってどうよ?」


ミューズは 自分の体つきをスカイに見せつけるようにして尋ねた。


「つまり 君は女ものの下着を持ってないってことかな?」スカイ


「あーあ 誘惑できないなんて 自信なくすなぁ」ミューズ


「竪琴を返してもらえないからってか

 竪琴を返してもらっても 自分のために演奏したら周りも巻き込んじゃうから

 当分 この体のまんまだけど

 服装は 今の気分に合わせて男っぽいくしたいんだけど

 手持ちの男性用の服が合わないんだよ、いろいろと

 なんとかなんないかなぁ」ミューズ


「でも 僕達みんな男だから 君が男性に戻る音楽を聴いても問題ないのでは?」ボロン


「そんな簡単な問題ではないの」ミューズ


「つまり こいつの魔力が不安定でコントロールがうまくいかず

 トラブルしか起きぬから こ奴は性別変更魔法が使えないのだな」

コンラッドはまじめな顔で言った。


「そいうこと。

 だから ほんとつまんない。

 でもさあ 君たちに向かって誓約立てたから、

 僕も魔法を使いたいという欲求をコントロールできるようになって

 僕としても いろいろ助かるんだ。

 だから 今の「女の体で心は男」の僕が 

 当分ここで生活できるように手伝ってよ」


清明とボロンとスカイは顔を見合わせた。

「ボロン、ミューズの服を用立てるあてはあるかい?」

スカイがまじめな顔で尋ねた。


「考えてみよう」ボロン


「しかし こいつは当面「竜の里」から外に出すわけにはいかん

 おまえにその気はなくとも お前の存在そのものが 不安要素じゃわい!」

コンラッドは断言した。


「僕もそう思う。

 採寸して 僕に会う服を買ってきて♡」

ミューズは 胸の前で両手を組んで かわいくお願いポーズをした。

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