表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
    エルフのミューズ
51/112

ひっぱる

(6/9)

門脇の応接室の奥に 新たにスカイが用意した寝室のベッドにミューズはもぐりこんだ。


スカイは 応接室に防音結界を張り、3人とミューズの受け入れについて話し合う用意をした。


「ミューズさん、 秘密厳守の誓いは立ててたけど

 私達を害さないという誓いはたてませんでしたね」清明


「それについては すでに包括的に誓約しているからね。」

王宮でミューズがサインした書類を見せた。

ボロンはそれを丹念に読んだ後、

「クラン入会または仮入会にあたっても新たな誓約書にサインをさせましょう」と言った。


「そうだね。」スカイ


「ということは 仮入会までは賛成なんですか?」清明


「スカイのメンツを立てるためにもそうしたほうがいいだろ? コンラッド、ゴン」

ボロンは念話と音声の両方で呼びかけた。


「本物のエルフなら会ってみたいな」ゴン

「同じく」コンラッド


「しかし 好奇心は猫をも殺すってことわざもありますからねぇ」清明


「清明は ミューズのどこが気に入らないの?」


「人をからかうってのは、人を見くびってるからできることで

 私が知っている範囲では 人をからかって楽しむ人間は

 人をいじめたり、だましたり、ひっかけたりする信用できないやつです」清明


「ミューズがいろいろ隠し事をしているのは確かだね。

 だけど 今のところ 敵意は感じないけど」スカイ


「悪意も敵意もなく 人をひっかけることのできる者は怖いですよ。

 あれは そういう人物です」清明


「ミューズが 僕に接近してきたのは、僕を利用したかったからだろう?

 ああいうタイプは 遠ざけても自分の目的を達するまでは策を弄して何かを仕掛けてくるから

 誓約で縛って目に付くところにおいて監視するほうがましだよ。

 あいにく 僕は人を傷つけることができないから・・監視しか無理だね」スカイ


(それって気持ち的に?それともなにかで縛られているのか?)ボロンは密かに考えた。


「僕は 物心ついた時には強い魔力を持っていたし

 だれも魔力の扱いについて教えてくれなかったので

 周囲の人に迷惑をかけてしまったのか単純に恐れられたのか疎まれたのか

 とにかく コンに拾ってもらうことによって助けられた命と人生なんだ。

 そして コンから 弱き者には気を使えと言い聞かされたから 最初に・・

 それで 気持ち的に 人を傷つけることができない」スカイ


「それは難儀ですね。

 そんなんでは 生涯一人で暮らすか コンラッドのそばで守ってもらわないと

 いざという時 仲間を死なせることになりますよ。

 私は そう教えられて育ちましたが」清明


「つまり 清明は 必要な時に人を殺せるけど

 スカイはそれができないって認識でいいんだね?」ボロン


唇をアヒルのように突き出してスカイは同意を示した。


「ちなみに ボロンさんはどっちタイプで?」清明


「僕は逃げる派。

 でも 護身術の先生は清明と同じことを言ってたし、僕もその必要性は理解してるよ」ボロン


「だけどミューズは 君たちの手に負える存在ではないよ」スカイ


「不意を突かれたら勝てる気がしない

 最初から真っ向勝負なら負けないけど

 でも 時渡(ときわた)りされたら お手上げだから」スカイ


「でも やってるところを見たわけじゃないんでしょ?」清明


「あれは 時渡りをした人にしか記憶が残らないからねぇ。

 僕達は 見ることも気づくこともできないんだよ。

 結果に巻き込まれることはあっても」スカイ


「だったら 協定結んで それが破られないように願うしかないな」ボロン


「では 仮入会のあとどうするんです?」


「その件に関しては・・コンラッドとゴンの判断にゆだねたい」スカイ


「そこでごちゃごちゃ言い合っておっても仕方なかろう

 一度こっちへ連れて来い」コンラッド


その言葉とともに 4人は竜の草原に引き寄せられた。


 ドアに張り付いて立ち聞きしようと頑張っていたミューズは

 その姿勢で引っ張られたものだから、

 草原についた時、寄りかかるドアがなくてよろけた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ