服選び
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とりあえず ボロンとスカイが面接に出かけることになった。
「うーん どんな格好がいいかな」
スカイは自分の部屋にボロンを呼び入れ、ドレッサーを広げてつぶやいた。
「俺にファッションアドバイスを求めないでくれ。」ボロン
「君は なかなかこざっぱりとした 落ち着きのある服を着ているね。
いかにも所長っぽい」
「そりゃ ギルド所長として私的な外出をするときの一張羅だもの。
公的な外出の時は制服だったけどね」
「それって もしかしてお見合い用にあつらえたとか?」
「あつらえさせられたの。
結局一度も使わなかったけど」
「お見合い しなかったの?」
「あいにくと見合いの申し込みが人間ばっかりでさぁ
ドワーフからの見合い話がなかったの」
「へえ~」
「自由恋愛で異種族結婚するのは別にいいんだけどさぁ
わざわざ異種族と見合いなんぞしたくないよ。
めんどくさい。
どーせ 裏があるに決まってる。 政略けっこんなんかやだね」
「ドワーフ社会では 見合いと自由恋愛の割合は?」
「うーん 身内同士の紹介はあっても 改めて釣書で見合いとかはないなぁ
だってさ 近くに住んでればわざわざ見合いしなくてもってのもあるし
遠距離恋愛前提のお見合いも無理があるだろ
っていうか 俺の赴任先が僻地過ぎたw」
「そんなもの?」
「俺んちはたまたまそうだったってだけかな? わからん」
「それで スカイの服は決まったか?」ボロン
「服選びの基準がわかんなくて」
「?」
「僕って 王宮魔法使いの肩書外すと、何者でもないんだよね。
だから 何を着ていいかわからない。」
「その割に ドレッサーの中身は 貴族的な衣服が詰まっているように見うけられるが」
「そこが問題なんだよ。
無理やり持たされたけど 貴族の社交界とは関係したくないから使わずにこのまま。
ギルドの応募者面接だと 何を着ていけばいい?」
「それこそ 普段の外出着でいいのでは?」
「だーかーら、変装用の衣装ならあるけど テーマが定まらないと決められないよ。
っていうか たいていそれは魔法で変身するのが前提の衣装だし。
さすがに エルフと会うのに 魔法で変装するのは具合悪いだろ」スカイ
「蜂蜜を売った時の衣装は?」
「あの時は 王宮にわたりをつけるための格好だったから、普段は使えない」スカイ
「つまり 普段着としての外出着の選び方がわからない?」ボロン
「そうとも言える」
「清明! コンラッド! ゴン! スカイの衣装選びを手伝って!」
ボロンが叫んだ。
ミニドラゴンに変身したゴンを背中に乗せてコンラッドが姿を現した。
スカイはさっそく暖炉の火をかきたてた。
清明も面白そうな顔でやってきた。
「すごい ゴンさん 新しい技を覚えたんですね!」
「うん 短時間しか変身できないから議事進行!」ゴン
みんなでさんざんスカイの衣装を物色してから、シャツ・ズボン・上着・コートを組み合わせればそれでいいんじゃないという月並みな助言を出して、ゴンとコンラッドは大洞窟に戻った。
「そんなの 助言になってません!
スーツか燕尾服か ダブルボタンかシングルボタンかなどなど
もっと具体的に言ってもらわなくては」スカイ
「よーは ふつーの男っぽくみせたいか 魔法使いらしく見せたいかの問題だろ」ボロン
「なるほど! そういうことか!!」スカイ
「じゃあ 貴族っぽいフリルはなし」
シャツの候補がかなり消えた
残ったシャツにあうズボンを組み合わせると いかにも農夫!というサスペンダー付きのスタイルが出来上がった。
「それは 農作業用だよ。」ボロン
「だよね 家畜の売り買いするときに着て行こう」スカイ
「今度 シャツを買うときは フリル抜きで袖口の折返しが長めのものにすれば 優雅な庶民スタイルになるのでは?
それなら このズボンと上着にあうと思う」
ボロンは 洋服ダンスの中身を指さした。
「なるほど」スカイ
「スカイさん 今度私と一緒に服を買いに行きませんか?
ちょっとした外出着っての 私も欲しいです」清明
「それで エルフの面接と君たちの買い物、どっちを先にすませる?」ボロン
「買い物!」清明&スカイ




