清明の過去
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ギルドでの用事を済ませたボロンは、村で個人的な買い物をして
早々に城に戻った。
「おかえりなさい。
久しぶりの村はどうでしたかい?」
清明が迎えてくれた。
「コンコーネ家のご子息の清明さんの居所を尋ねられたよ」
清明はくしゃっと顔をしかめた。
ボロンから、ギルド長とのやり取りを聞かされた清明はため息をついた。
「今更 なんだって言うんでしょう?
面倒ですねぇ。
しかも 財産抜きの爵位だけ継げって、
それ 借金だけ肩代わりしろって言ってるのと同じですよ?!」清明
「君はどうしたいの?」スカイ
「私はね 終生年金が支給されることになってたんです。
それで 日々の暮らしは自分の稼ぎで、
ちょっとした贅沢は年金で。
でも支給された年金の大部分は老後に備えて蓄えていたのです。
ところが ここ3年ほど支給がとだえていまして。
しかも 身の回りの世話をしてくれていた召使や、
金銭の管理をしてくれていた執事が急に消えてしまって 御覧のありさまに。
一人になって 自分がどれほど雇人たちに依存していたかを気づかされましたよ。
薬ひとつ 自分では買いに行けなかったんですから。
だって どこで売っているのかもその販売価格も知らなかったんですもの
貯金の下ろし方は言うまでもなく」
「もしかして それで急激に視力が悪化したのかい?」スカイ
「そのあたりのことはよくわかりません。
正直言って 眼が見えるようになっても、
自分の貯金とか立場とか どうやって確認すればいいのか見当もつかない」清明
「なんなら 僕が昔のコネを使って調べてこようか?」スカイ
「いいんですか? そんなこと頼んでも。
財産が残っていれば謝礼をしますが
すっからかんなら ほんとにご苦労かけるだけになってしまいますが」清明
「なに 言ってるんだい。仲間じゃないか。
それに もらえるものは もらっといたほうがいい。
君から クランへの出資金に回すこともできるだろうから」
スカイが笑いながら言った。
「おー さすが元宮廷魔法使い。がっちりしてらっしゃる!」
清明もくすくす笑いながら言い返した。
というわけで 清明は 生まれてから今日までのことを
思い出せる限りスカイに話した。




