冬
(1/6)
木枯らしが吹き始めた。
冬である。
ゴンは大洞窟で『食っちゃ寝』生活に入った。
早い話が 半分冬眠状態だ。
「だって僕寒いの苦手だもん
かといって こもってばかりだと退屈だし」
「幼い龍は 冬の間は4・5日眠って食事をしてまた眠ってと繰り返している間に
身体も大きくなるさ。
食事の支度くらいはわしがしてやる」
コンラッドが世話係をかってでた。
スカイとコンラッドとボロンは交代で外出することにした。
一番バッターはボロン。
「とりあえずドワーフギルドに行って 生存報告を出してくるよ。
さすがに2年近く消息不明だと 家族から心配されそうだから」
「問題はどこの町のギルドに顔を出そうかなぁ」
「君の無期限休職願いは ハタハタ町のギルドの郵便受けに入っていたそうだよ」
「スカイ なぜ君が知っているんだ?」
「けっこう 噂になってましたよ。
ボロンさん失踪事件って。」清明
「え~~~~!!」ボロン
「ぼくも 買い出しに行ったときに あちこちの街でその噂を聞いたんだ。
しかたがないから 君は『さる筋からの依頼で極秘研究に協力している』ということにしておいた。」スカイ
「そんな サル筋って何ですか。猿に知り合いなんていません!」ボロン
「受けた! その線で押し通しておいで。」
噴き出しながらスカイは言った。
「そんな 本人に伝えもせずに 勝手になに噂ばらまいてるんですか?」ボロン
「ごめん 忘れてた。」スカイ
「とりあえずハタハタの街のギルドに行って、サル筋から紹介された ある魔法使いと今は一緒に研究活動に従事しているけど 無期限休職届けの自動更新の手続きに来ました。って言ったらどうかなぁ」
「スカイ なんであなたがドワーフギルドの手続きについて詳しいのですか?」
「それはね 一応君のために調べたから。
ただ 春は忙しかったし
あっという間に夏になって秋になって また忙しくなって・・
ごめん 報告が今になって。」
「しょうがないですね。
今更文句を言ってもはじまりませんね><
歩いて町まで行くのは大変ですから。
早めに教えてもらってても どうしようもなかったと思います」ボロン
「あのさ コンラッドに頼んで 君とダーさんを街道まで飛ばしてもらって
またひきもどしてもらったらどうだい。
それなら移動が楽だろ」スカイ
「まかせろ」コンラッドから念話が届いた。
「出かける準備ができたら送ってやる」
・・・
というわけで 人目を避け 草木も眠る丑三つ時に、ボロンとダーさんはハタハタ近くの街道に姿を現した。
そのまま 町の門前まで行って開門を待つことにした。
冬の夜はシーンとしている。
聞こえるのは 枯草がカサカサする音だけ。
念のために ダーさんもボロンも虫よけ獣除けの薬を体にスプレーしているので
夜間外泊していても襲われる心配はないが、寒さが身に染みた。
「すまんな お前にまで寒い思いをさせて」
ボロンは、ダーさんの体を毛布で包み込んだ。
ダーさんは敷毛布の上に足をまげて座り込み、首を自分の羽に突っ込んで丸くなっている。
ボロンは外套の襟をたてて ダーさんの背中にくっついて座った。
ボロンの首には コンラッドから渡された小さな石の入ったお守り袋がぶら下がっている。
「この石を身に着けておれば お前の声が俺のもとに届きやすい
そして 俺がお前を呼び寄せるのにも役に立つ」コンラッド
「つまり この石に向かって「迎えに来て」っていえばいいんですね。」ボロン
「紛らわしいから、『引っ張って』と言ってくれ。
そしたら 俺のいるところに引き寄せるから」コンラッド
「わかりました」
出発前のそんなやり取りを思い出しながら ボロンは目をつむった。




