ドワーフギルドの郵便業務
(ボレロ・ボロン2/4)
ドワーフギルドの郵便業務は
①ギルドのある町近辺の配達業
②ギルドのある町と町をつなぐ長距離配達
③小さな村や開拓地・出稼ぎ先への運搬業務
に大別される。
①は いわゆる、郵便配達と宅配である。
大都市では 毎日1回~十日に1回くらいの割合で、決まったコース上にある配達先へ届けて回る、通常便と、受付次第迅速に個別に配達する特別便(速達のようなもの)の2種類がある。
長距離配達の中継点としての役割の強い小さなギルドでは、特別便しか扱っていないところもある。
なにしろ 田舎では、町まで自分で買い物に行ったり、自分で納品に行くことが当たり前なので、そのついでに 自分宛ての局留め郵便を受け取るとか、他地区への郵便を局まで持って行く人がほとんどだからだ。
②これは物品を全国各地へ届けるために、ドワーフたちが独自に作り上げた配達網である。
街道沿いの宿場町にドワーフギルドを置き、ギルドからギルドへとリレー方式で郵便物を送っていく通常便と
出稼ぎドワーフの仕事場と彼らが拠点としている町とをつなぐ臨時便
個別ニーズに沿った配達を行う特別便の3種類ある
最初はドワーフのための長距離輸送のためのドワーフギルドネットワーク(略称ドワーフ便)であったが、便利なのでドワーフ以外の種族からの利用も増え続けている。
他種族からの依頼の場合は、発送人と受取人間のトラブルに巻き込まれた時のための保険として、たとえ片道輸送であっても往復の移動費用を全額前払い、ほかにも付帯条件や免責条項などがいろいろとある。
というのも ドワーフ社会はある意味 運命共同体なので、「天につばはきゃ己に返る」のことわざ通り、不正を行えば 必ず報いは自分に返ってくる。
しかし他種族との関係というのは、やり逃げ・バックレが簡単にできてしまう=犯罪が起こりがちな「危ない関係」だからである。
③ドワーフと言えば採掘がイメージされるくらい、その結びつきが深い。
そして 採掘場というのは、残念ながら居住環境がよろしくない。
これはもう その業態からして仕方がないことである。
さらに 鉱脈に沿って 採掘場は 随時移動していく。
それゆえ鉱山や採掘場から少し離れたところに街や村を作り、そこに鉱夫の家族が定住していることも珍しくない。
なぜなら 地産地消、遠くから食料を運んでくるよりは 地元で農耕・牧畜により食料を自給したほうが安定した暮らしができるからである。
それゆえ 鉱山資源が豊富な地域では、小さな集落が点在し、その周辺に採掘場も点在し、それぞれの間の移動に2・3日~1週間かかること、そんな地域もある。
人口密度だけに注目すれば過疎
でも 人や物流の移動に着目すれば活発
そういった地域で 人やモノをつなぎ、人々の暮らしを安定させるのもドワーフギルドの重要な仕事である。
街道に沿った宿場町に、全国ネットにつながる病院・ギルド便の中継店がある。
一方鉱山地域や開発区域の 地理的中心点に地域の拠点となるドワーフギルドを設置。
そして村落や採掘場にギルド派出所を置く。
ギルドの派出所と拠点ギルドの間は 伝書鳥を使って一方向の緊急連絡できる。
伝書鳥の帰巣本能というのは、出先から自分の故郷に向けて飛んで帰る性質であるから、拠点Aで生まれ育った鳥は 派出所BCD・・・のどこからでも手紙を持ち返ることができるが、拠点Aから別の派出所に手紙を運ぶことはできない。
それゆえ、派出所間で連絡を取りたい場合は、一度拠点Aに伝書鳥をとばし
その情報をもとに拠点Aに待機する配達員が出動することになる。
なぜ こんな回りくどいことをするかと言えば
すべての拠点に配達員を配置したり すべての拠点で伝書鳥を育成するほどの、人的資源も物質的余裕もないからである。