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ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
第2章 初めての冒険
29/112

弾丸ブクブク

4/6

食事の後は、3人一緒にジャングルの中へ歩いて入った。


フェンリルは自在に体の大きさを変えられるらしく、

城の中では大型犬ほどの大きさだったが、

戸外では 大牛並みの大きさ。

そして 今は魔牛よりも大きくなったゴンの胴体と同じくらいの大きさになっていた。


「どうして そんなに体の大きさを変えるのですか?」ボロンは尋ねた。


「人間と一緒に暮らすときは 人間サイズにあわせたほうが 家具とか使いやすいだろ。

 ここでは、ゴンが通れる道をわかりやすく示すために ゴンの体に大きさにあわせている。


 といっても さすがのわしも 今以上に大きくなると疲れるから これ以上大きくなる気はないが」コンラッド


「ねえ 僕も体のサイズをかえられるようになるかな?」ゴン


「何十年か生きればできるんじゃないか。

 だが 今は 自分の体そのものを使うことを覚えるべきだ」コンラッド


「はーい」ゴン


コンラッドは振り向いて、ボロンを見て言った。

「ゴン ボロンを背中に乗せてやれ

 わしらの歩幅に合わせるのに苦労しておるぞ」


「ごめん 最初に出会ったときは ボロンは僕と同じくらいの大きさだったから

 つい 今の体格差を忘れちゃうんだ」


「気にするな」ボロン


「おしゃべりもいいが 旅に出たら常に仲間の様子を見て、己の行動を考えないとダメだぞ。

 連携して戦うためにも、仲間を迷子にしないためにも」コンラッド


「はい!」ボロン&ゴン 


ボロンはゴンの首の付け根あたり、羽の前側に上った。

ゴンの背中でゆらゆらごんごん 前後左右に揺られたボロンは尋ねた。


「うーん やっぱり君のこの辺に」とボロンはゴンの首ねに触れてながら話した

「こういう風にベルトをまいて そこに僕の座席を固定したらだめかい?

 あるいはせめて ベルトにつかまって座ったり、乗り降りするのは?」


「首が締まりそうで怖いな」ゴン


「そうか やっぱり無理か

 飛んでいるときに 向かい風で飛ばされないように君の首に張り付いているのも大変だったけど

 歩いていると ランダムに揺れるから転がり落ちそうで怖いよ」ボロン


「あと1年くらいは 補助具なしで ドラゴンの背中でバランスをとる練習をしていろ。

 2・3年もすれば、ゴンの首の周りの皮も固くなって、ベルトを着けても首が圧迫される感じはしなくだろうから」

コンラッドが気の毒そうにボロンに言った。


「まあ お前さんが落ちるときには けがのないようにエアクッションを用意してやるよ」コンラッド

「お前さんが何度も落ちていれば そのうちゴンも どういう歩き方をすれば

 お前さんが安定して座ってられるか おいおいわかってくるだろうて」


「それって めっちゃスパルタじゃないですか!」ボロンは泣きそうな声を出した。


「お前に魔法使いになるよう要求するよりは ましだと思うがな」コンラッド


ゴンは振り向こうとして

「わぁ 首を動かさないで」と叫ぶボロンの声を聴いて、まっすぐ前を向いたまま

「あーめんどくさい 早く大きくなって 君を頭の上にのせて歩けるようになりたいよ」とぼやいた。


(うーんやっぱり留守番してればよかった)ボロン

(残念だけど 留守番しててもらえばよかった)ゴン

二人が同時に心の中でつぶやいたのを聞いて フェンリルは笑った。


・・

それやこれやで ボロンとゴンが 疲れてトホホ状態になっていたら

(もうすぐ ブクブクの生息地だ。静かに歩け)コンラッドが念話を送ってきた。


(わかった)と言いながらゴンが足を踏み出すと

ビュン 何かが勢いよく飛んできた。


とっさに飛び上がるゴン

コロンと落ちたボロンは フェンリルが念力で自分の背中に引き寄せた。


(なに 今の?)ゴン

(ブクブクだな)


コンラッドよりかなり後方に降りたゴンは

(これでは近づけないよ)と言った。


「ならばわしとボロンがブクブクのそばに行くから、お前はボロンの眼を通して見ておれ」

コンラッドは どこからともなく取り出した鞍を自分に装着して、その上にボロンを座らせ素早く前進した。


コンラッドが静かに歩み続けると ほのかに湯気の立つ沼が見えた。

「よく見ておれ」

 沼の真中にポトンと小石を落とすと 大小さまざまな丸いボールのようなものがぴょんぴょん飛び上がった。


次に沼の端に コンラッドが振動を与えると、木の上や沼の周囲から一斉にボールのようなものがとびかかっていった。


「弾丸なみのスピードだな」ボロン


「ああやって飛びついて 相手に張り付いて消化してしまうんじゃよ」

コンラッドは説明しながら、3人いっしょに安全地帯まで後退した。


「すごいね あれ」ゴン


「そうだな」コンラッド


するとそこに スカイと清明が転移してきた。


「僕も来ちゃった」スカイ


「やれやれ 留守番なしかい」コンラッド


「だって 気になるんだもの。

 心配半分 野次馬半分」スカイ


「だったら おまえたち4人でブクブクをつかまえろ

 わしは 控えかたがた周辺警備をしておくから」コンラッド


「はい!」スカイと清明は元気よく答えた。


「とりあえず 今日はこのまま 野営するかい?

 それとも いったん 城にもどる?」スカイ


「えっ ここまでに来たのに またジャングルを抜けて空を飛んでもどるの?」

ゴン&ボロン


「ちゃんと ここの場所がマークできたから、4人一緒に城まで転移できるよ。

 明日の朝も4人でここに転移してこれる。

 その確認のために 僕もついてきたんだから」スカイ


「じゃあ 一度もどろう。

 俺も疲れたし ゴンもゆっくり休んだほうがいいんじゃないか?」ボロン


「そうだね。

 今日はいろいろあったから、明日ここに転移させてもらえるなら

 夜はお風呂とベッドがあったほうがいいな」ゴン


というわけで 一同はそろって城に戻った。

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