城の地下
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五角形の城の地下は倉庫だった。
ここには食料や スカイがため込んだガラクタもとい錬金術の素材や素材になるかもしれないものや
薬品類が納められていた。
というわけで スカイの部屋につながる秘密の階段と、城の南側ホールへの扉の近くにある階段の2か所からする出入りすることができた。
(ちなみにスカイの秘密の階段からしか出入りできない区画もある。)
五角形の城の1階南西側も物入れになっていたが、こちらはどちらかと言えば寝具や日用品の予備が入っていた。
そして、ホールの地下には貯水槽があり、そこには熱い湯(温泉)が引き込まれていた。
この貯水槽から1階の浴室まで湯が送られている。
すべてはコンラッド(略称コン)が配管したのだ。
夕食後、その貯水槽に入ってゴンは湯あみした。
湯につかる前に、ボロンはぬるめのお湯で幼龍についた汚れをこすり落としてやった。
ゴン好みの湯温では、ボロンにとって熱すぎたので、少しさますと、
ゴンにとってはぬるめのお湯(ボロンにとってはやや熱め)になったのだ。
ボロンに汚れを落としてもらってから、貯水槽(湯溜め)の中に身を沈めたゴンは 幸せそうに目をつむった。
「今日は いろいろな花を見た。
芽が出て 伸びて 花が咲くのって面白いねぇ」
ボロンは 貯水槽の横にたらいを置いて、その中に自分にとっての適温の湯をはって、そこにつかった。
「まったくだ。
フェンリルの魔法に驚いてばかりの1日だった」
「これから毎日が楽しみだね。
いつも なにか 新しいことがありそうだ」ゴン
「そうだな。
お前にとって 良いことがたくさんあるといいな」ボロン
ボロンは先に身支度をすませ、次に湯から上がったゴンを 大きなバスタオルでくるんでふいてやった。
貯水槽に蓋をしたころ、フワフワの毛並みになったコンラッドが入ってきた。
「清明に体をあらってもらって、スカイに乾かしてもらったのだ」コン
「素敵なお弟子さんが二人もできて よかったな」ボロン
「うむ。人間と暮らすことの最大の利点だな。入浴を手伝ってもらえるのは」コン
「人間がいないときはどうしているの?」ゴンが尋ねた。
「自分の魔力を使って乾かしている。
しかし 今日は人間たちのために山ほど魔力を使ったからな
こうして 身体を洗ってもらったり乾かしてもらってもバチはあたるまい」
「コンラッドって 意外と甘えん坊なんだね」ゴンは楽しそうに笑った。
「そろそろ寝よう」
ボロンが貯水槽のふたの上に大判のタオルシーツを3枚重ねに敷いた上に コンラッドは飛び乗った。
「それにしても フェンリルとドラゴンがのっかっても壊れないふたって凄いねぇ」
ボロンは感心した。
「蓋に乗れないくらい ドラゴンが大きくなれば、なにもわざわざのっからなくても
この上のホールで眠れるくらいの耐寒力はついているだろう、たぶん」コン
コンラッドは、丸めたからだの中にドラゴンを包み込むようにしてが答えた。
ゴンは首を伸ばして 頭をちょこんとフェンリルの腹に乗せて眠り始めた。
ボロンは 貯水槽のある部屋(=幼龍用浴室&寝室と呼んでもよいかもしれない)の隣の小部屋に行った。
そこが この城におけるボロンの当座の部屋だった。
大洞窟と違って 貯水槽のある部屋は小さいので、
寝具が湿気ないように同じ部屋ではなく、隣の部屋をボロンが使うことになったのだ。
今までずっと ボロンと一緒に寝ていたゴンが寂しがらないように
この城にいるときは コンラッドが添い寝するつもりでいる。




