表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
     拠点での新生活
21/112

清明到着(城周辺の図あり)

2/6

転移初体験 それも突然の出来事で、清明は へなへなと足の力が抜けた。


そもそも最近金欠でろくに食べていなかったので

踏ん張り切れなかったのだ。


その清明の眼前には ドラゴンが居た。


「ぼくはゴン。ボロンの友達。

 僕達は 他人にわずらわされることなく ここで生活していきたいと思っている。


 だから 心眼使って 接近する人や獣の気配を察知するだけでなく

 自立して 農作業などをやってくれる人を雇いたいんだ」


「伝説のドラゴン様にお目に書かれて光栄です。

 私は清明。

 これからよろしくお願い致します。


 農作業の経験は乏しいので ご指導よろしくお願い申し上げます」

清明は ドラゴンの前に片膝ついてあいさつした。


その清明の頬を フェンリルがベロンと舐めた。


迷惑そうな顔をしながらも耐えている清明の顔を見て

ゴンは言った。


「彼はフェンリルのコンラッド。僕の先生」


「よろしくお願いします」

フェンリルからは念話を外されているにも関わらず

清明は丁寧にあいさつをした。


(コンラッドは 当分自分は話せぬふりをすると仲間に伝えてあった)


「それじゃ荷下ろしを手伝って」

スカイに声をかけられ、清明は 馬車からスカイが指示する所へ荷物運びを始めた。


「七面鳥。こいつは気が荒いから番犬代わりに」

門の周辺に放たれた。


「衛兵代わりに 蜂君がんばってくれたまえ」

新たに購入した追加の巣箱は城周辺の四隅に置かれた。


清明はさっそく スカイの指示で巣箱の周りに花壇を作り始めた。

 チューリップ・フリージア・ユリ・ダリア・クリスマスローズ・スズラン・・・

 城から離れているので、宿根草中心の花壇だ。

 「冬になったらヒヤシンスや水仙の球根も植えよう!」


ダーさん宅の整備を中断してボロンとコンラッドも 出来上がった春花壇を見に来た。


春の花は、コンラッドの魔力で次々と芽が出て花が咲く。

 それを興味深そうに観察するゴン

 清明も「魔法ってすごいですねぇ」と感心してみている。


門柱代わり以前作った春花壇の周りには 夏の花の種を追加でまいた

 朝顔 ひまわり ユウガオ

 こちらは普通に水を撒いておいた。


(ユリは別としても 球根から咲く花に花粉や蜜はあっただろうか?)と花壇を見ながら考え込むボロンを見て コンラッドがばつの悪そうな顔で言った。


「蜜源植物となる柑橘類やリンゴ・ビワは果樹園にあるし

 レンゲは水田予定地に咲かせよう

 クローバーは牧草としてこれから育てていけばよい

 椿や茶の木は、宿屋周辺の生垣にすればよいだろう


 有用林にはウドを、

 馬場の木陰としてトチの木を

 庭の花木としてアベリアも植えてあるから蜂たちが飢えることはない。


 ダーさんのための木陰として偽アカシアも植えよう

 必要に応じて 萩やソバを草原や畑で育ててもよいしな」


ボロンはにっこりと笑って言った。

「そういえば ダーさんはニセアカシアの花が好きです。

 ほかの動物と違って、ダーさんはニセアカシアの新芽を食べても平気なようです。


 あなたが 花好きだということはよくわかりました。

 あなたやスカイが ここでの暮らしに適度なうるおいを求め楽しむのはよいことだと思います」


「ハハハ おぬしを過労で倒れさせるようなことはせんよ」フェンリルは頭をかいた。


「それにユウガオの実はかんぴょうの原料だぞ

 しかも雄花と雌花に別れているから 受粉は蜂の仕事だしな」コンラッドはすまして言った。


荷下ろしの住んだ馬車は、馬場のそばの物置になおした。


「清明 次は 馬場の柵を作ろう」スカイ

「はい」清明


・・

スカイと清明が蜂のための花壇を作っていたころ、ボロンとコンラッドは ダーさんのため場所を用意していた。


「ダーさんのための砂場が欲しい」ボロン


「ほいとな」コンラッドが砂場を作り出す

 場所は薬草林の南側、城の西側だ。


さらにダーさん用の小屋と柵も現れた。

さっそく ボロンは ダーさんの放牧場の周りに柵をたて始める。


スカイのかわりに、ゴンが(花壇づくりの見学を抜けてきて)ダーさんに トイレに関するお約束を説明した。


ダーさんの希望で、ダーさん小屋のとなりにダーさんトイレを作った。

 トイレと言っても スイングドアが付いただけのただの小屋だ。

 中には 目印代わりの箱が置かれ 箱の底には転移陣が刻まれていた。


きれい好きのダーさんは この転送式トイレが気に入ったようだ。


ゴンに誘われて、スカイとコンラッドは 柵作りを中断して 球根の植え付けが終わった花壇を見に行った。


そのあと、コンラッドは ダーさんの庭にニセアカシアの木を植えた。

植える場所は ダーさんの希望により砂場と宿舎の間にした。


ダーさんによると ニセアカシアの花は香り良く、木は大きく育つので、体をこすりつけるのにちょうどいいらしい。


ダーさん宅を囲む柵も完成した。


・・・

そうこうするうちに日暮れてきたので、全員ホールに集合した。

夕食は

 ゴン 魔骨スープ・離乳食・牛乳

 コン 魔骨・魔骨スープの肉野菜煮込み

 他  魔骨シチュー・パン


「やはり魔力を使ったあとは 魔物成分をしっかりとらんとな」

コンラッド(略称コン)は骨をバリバリとかみ砕きながら言った。

挿絵(By みてみん)


清明の部屋は、本人の希望で玄関の西隣にある守衛室となった。

「仕事は農作業でも 寝るところが守衛室なら 護衛の気分も味わえますからね」 


実は彼は 守衛室の角で接する2面の窓から、正面玄関の向こうの境川と林がすっきり見え、

さらに薬用植物などの林も一緒に見ることができる眺望の良さが気に入ったのである。


清明の部屋の隣は、浴室・洗面・トイレとなっている。

 これは人族共有だ。

 コンラッドがちゃんと配管したので、湯も水も出る。


 湯船と浴室は二人が同時に入るとちょうどよいくらいの広さだ。


 初日なので、人間二人は順番に入ることにした。

 すると、「わしが一緒に入って使い方の説明をしてやろう」と言ってコンラッドが清明の入浴に割り込んできた。


 おかげで 清明は 初めて見る設備に戸惑うことなく入浴できたが、

 しっかりとフェンリルの大きな体をこすらされた。


 コンラッドはマイブラシを持っており、それで、自分の足が届きにくい背骨の上のラインをこすってもらうのが大好きだった。


「うちの師匠が 世話かけてすみません」

風呂から上がった清明に 入浴の順番待ちをしていたスカイが謝った。


「あはは 何事も経験ですから」清明は腕をさすりながらも朗らかにこたえた。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   


(参考)

夕顔・かんぴょう

 http://www.biwa.ne.jp/~futamura/sub62.htm:写真も説明も充実している


とちのき

 https://www.uekipedia.jp/%E8%90%BD%E8%91%89%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9-%E3%82%BF%E8%A1%8C/%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%AD/


ウド

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%89


蜜源植物 https://horti.jp/15671

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ