ドワーフの暮らし
(ボレロ・ボロン1/4)
ドワーフというのは どちらかと言えば鉱山の周りに定住して、採掘と加工にいそしんだり、
街中で鍛冶や建築業を営んでいるイメージだ。
しかし中には 土木の専門技術者集団として、依頼主のもとに集団で移住しては10年~20年かけて請け負った仕事を完成させると また別の依頼主の町に移動していく者たちもいた。
いわば 街づくり・街の大規模改造請負集団である。
城壁や都市の道・上下水道など 街のインフラ整備を請け負う集団は100人~300人の規模で、男たちだけでなく妻子もともに移住していた。
20年も一つの町にとどまり、インフラ整備の仕事をしていれば、
そこで生まれ育つ者もいれば、多種族の者と所帯を持つ者も出てくる。
それゆえ 次の請負仕事へとドワーフ集団が移動して行く時に
街に残るドワーフ達も出てくる。
それが 一般的に街でみられる「ドワーフの親方」(鍛冶・建築関係)である。
一方 集落から集落へとつながる道を作って欲しいといった依頼を受けるときには、
だいたい男だけの10人~20人の集団で道づくりをしながら移動するので出稼ぎだ。
こうした仕事には 2・3人の若者と指導役の老人一人が1チームとなり、
タイプの違う複数のチームが合同で仕事を請け負った。
初心者チームは 土木作業や請負仕事のイロハを習い
中級チームは 地理や地質を学ぶ
時には 植生や天文など旅に付随する専門知識を学ぶ学徒チームもある。
そして幹部チームが、請け負った仕事をそれぞれにチームにわりふったり、
作業の指揮をとったり、護衛その他もろもろの手配を行う。
昔は拠点となる街づくりをしながら、その町から他所につながる道の開通・整備を頼まれたものだが、
昨今は すでにできている町や村から 近隣の開拓予定地への道づくりの依頼が増えてきた。
それゆえ 道づくり作業班に参加する者は 各地に点在するドワーフの居住地から作業地まで長距離移動しなければならないことも増えてきた。
このような現地集合・現地解散の作業班を円滑にまわしていくために、ドワーフギルドが生まれた。
つまり 定住ドワーフと出稼ぎドワーフをつなぐネットワークの元締めがドワーフギルドである。
このドワーフギルドでは 最初は仕事の依頼受付と人員集め・金銭授受を主業務としていたのだが、
やがて 出張中のドワーフと家族との連絡や送金・物資の補充といった仕事も増えていった。
たとえて言うなら ドワーフ用の職業斡旋&郵便・宅配・金融&労災・労務関連業である。
ボレロ・ボロンは このドワーフギルド所属の郵便係であった。