お城
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城は草原の端、浴場洞窟から見て北東の森の近くの川のそばに置かれた。
正面玄関を森に向けた五角形の建物の底辺は南向き。
その底辺に接する部分から南向きの大ホールが付きだしている。
この庭に面した南向きの大広間には、成龍が歩いて出入りできる大きさの硝子扉が付いていた。
「このガラスの大きさ すごいなぁ」ボロン
「強化ガラスだから 少々のことでは割れないぞ」コンラッド
大広間の西側には 巨大な暖炉があり その前には ふかふかの毛皮がしかれていた。
暖炉の中では特大のキャンプファイヤーができそうだ。
さらに暖炉の両端には調理用のかまどもあった。
普通のかまど
パン焼き窯
燻製室
ピザやナンを焼くための石窯
おまけでキッチン設備も
ホールの東側にある小部屋には、炭焼きや陶芸用の窯・鍛冶場があった。
「ようは 寒がりドラゴンのためにこのホールに熱が集まるようになっておる」コンラッドが得意げに言う。
「臭いと音が大変なことにならないか?」ボロン
「何もかもというわけにはいかんからの。
ここにいるときは わしは遮音・防臭結界を自分のために張ることにするさ」コン
「で トイレとふろはどうなるんです?」スカイ
「転移魔方陣と配管をサービスするよ」コンラッドが鼻先を上向けた。
「はぁ~ さすがですね。」スカイは転移陣の設置が終わったのを感じて言った。
「しかし ここと 竜の山のそばの飼育場と離れすぎてはいませんか?」ボロン
「それに 僕は夜寝るのは大洞窟がいい」ゴン
「大洞窟は幼龍が育つには良い場所だ。
ゴンにつきそうボロンにとっても、洞窟に近い場所に宿があるのはよいだろう。
ゴンのえさになる家畜を世話するボロンにとっても、
宿のそばに飼育場がそばにあるのは便利であろ。
一方こっちは、スカイがため込んだ物資を保管したり、
いずれドラゴンが大きくなって地上で暮らすようになった時
人間と付き合う場所として利用すればいい」
コンラッドの説明を聞いて ゴンとボロンは納得した。
スカイはにやにやしながら言った。
「家畜たちの臭いのしない場所で 君が寝泊まりするにも都合がいいよね。」
「わかり切ったことを言うな」
コンラッドは 尻尾でピシりとスカイの尻をたたいた。
・・・
このお城の1階東側が、スカイの研究室となった。
スカイの村にあったスカイの家はそのままに、蔵書や実験道具・家具などを運び込んだのだ。
「一応、僕はまだ村に引きこもっているってことになっているからね。
建物を移設すると どこに行ったと疑われるだろ」スカイ
「でも留守のままだとやっぱり疑われるのではありませんか?」ボロン
「だいじょうぶ。街道から建物さへ見えればいいんだ。
僕の引きこもりは有名だから。
僕の姿が見えなくても、それは姿を消しているからだと思ってくれるよ」
「たしかに・・噂でもそうなってますね」ボロン
また ボロンも気が向いたときに 城の中の鍛冶場を使うことになった。
「しかし 俺の足で草原を横切るのも大変だ」ボロンのぼやきを聞いて
コンラッドは朗らかに応えた。
「今後のことを考えて 馬車と荷馬と 乗馬と君のためのポニーを用意させよう。
さすれば、城と宿を行き来することも苦になるまい」
「それって 贅沢すぎないか?
どれだけ使うかもわからないのに」ボロン
「定住するなら 畑も果樹園も必要になるだろ
畑や放牧地の見回りの為にも騎獣は必要だ。
農作業には道具や収穫物を運ぶ荷車も必要だよ」コンラッド&スカイ
「なんか ものすごい話になってないか?」あきれるボロン
興味深々のゴン。




