幼龍の育て方について
2/7 (スカイの家にて)
翌朝、目覚めた幼龍に、コンラッドは新鮮なレバーを提供した。
コンラッドが僻地に行って捕まえてきた魔獣のレバーだ。
「ドラゴンが繁栄していた時代に比べると、
今では人間が増え、魔獣の生息可能地域がかなり減っておる」
フェンリルのぼやきを聞きながら、ボロンはレバーの皮をはいで、中身をつぶしてゴンに与えた。
「この前のレバーと違って これを食べると 身体がポカポカしてきた♡」
ゴンの言葉を聞いてコンラッドは目を細めた。
「そうかそうか やはり魔獣は体にあうようじゃの」
・・・
食後 ボロン・ゴン・コンラッド・スカイの4人で話し合い、
幼龍の育つ場所としては 龍の山付近が望ましいということに意見が一致した。
やはり ドラゴンが一人前になるまでは 人目を避けたほうが無難だろう
しかし ドラゴンが運動するためには広い土地と空間が必要で
幼いドラゴンにとっては 暖かいねぐらも必要という点から
スカイの家よりも ドラゴンの生誕地・生息地であった龍の山近辺がふさわしいということになった。
しかし フェンリルとドラゴンだけの生活ならともかく
ゴンがボロンと離れることを嫌がったので、
ドワーフであるゴンのための住居も必要、
なので人間社会からの物資提供も必要だ。
というわけで 龍の山のそばに開拓地を作ることになった。
そこで しばらくの間は スカイもコンラッドと一緒に龍の山付近に引っ越すことになった。
・・・
お昼寝中のゴンのそばで、ボロンとスカイとコンラッドは・・
「はぁ~ 古典的に、わし一人で狩りをして肉をかんで柔らかくして幼獣に与えて食べさせるとか・・できるだろうか?」フェンリルのコンラッド
「新鮮な生肉をミキサーにかけて生き血と混ぜて離乳食って考えていたんですが」ボロン
「そうなると あの子の食事の用意一つとっても 人間の手を借りねばならん」コンラッド
「何か不都合でも?」ボロン
「おまえ 狩りをしたりさばいたりできるのか?」コンラッド
「狩りはお任せしたいです」ボロン
「あそこの草原で放牧して獲物を育てよう」スカイ
「ふむ そう魔獣をあそこの草原や森林で繁殖させられると良いのだが
とりあえず普通の家畜を放し飼いにすることから初めるのも手だな」コンラッド
「僕たち二人で 人手はまかなえるでしょうか?」ボロン
「元王宮魔術師としての財産を提供するよ。
人手不足で自給できない分は 買うより仕方がない」スカイ
「あなたがなぜ そこまで?」ボロン
「僕にとってはコンが親同然だから。
育ててもらった恩返しの一環かな。
それに 生まれたてのドラゴンの世話って わくわくするよ。」スカイ
「そういう お主は なぜ?どこまで?かかわるのだ?」コンラッド
「最初はドラゴンへのあこがれ
あの子と出会ってからは・・あの子に情が湧いたから。
今では わが子みたいだ。
そのうち 彼のほうが俺より大きくなって
俺との関係も変わるかもしれないけど」 ボロン
「あの子にとっては 聡明なお前さんとの出会いがよい未来につながることを願おう」コンラッド
・・
ゴンが眠っている間に コンラッドとスカイが竜の山周辺の森林やジャングルの中の獲物の生息状況を確かめに行った。
その結果 餌にするほどの量には足りないことが判明した。
というわけで 牛・ヒツジ・ヤギ・鶏・ウサギなどを草地に放牧することが決まった。
それらの家畜・家禽は スカイが変装して購入し さりげなく竜の山の草原(略して竜の草原)に送り出すことに決まった。
「肉を捌く納屋と乳しぼり小屋・採卵用の鳥小屋は必要だな」ボロン
・・
これからのゴンの食事のために、スカイは ボロンに 自宅の納屋で羊を捌かせた。
スカイの納屋は当然人間サイズだったので、ドワーフサイズのボロンが作業しやすいように足台を調整したり、(血抜きのために獲物を吊り上げる)巻き上げ機のハンドルの長さをドワーフ用に短くするために、歯車の数を増やすなどの調整をした。
「君が 刃物類をすべて持参していてくれてよかったよ」スカイ
「人間社会を旅するドワーフのサバイバル術だよ。
道具類は常に自分サイズのものをそろえて持ち歩くのは」ボロン
「桶などの道具類は 獲物のサイズに合った大きさだからこのまま使わせてもらうけど、俺が運びやすいように、台車を新調させてくれないか?」ボロン
「わかった ここにある材料を自由に使ってくれ」
スカイは ボロンを作業場に案内した。
「すごいな 君の家は、敷地全体がまるで村一つ分ではないか」ボロン
「実際 ここは 廃村二つと見捨てられた町一つを丸ごとが買いあげた場所だからね」スカイ
「金持ちだなぁ」ボロン
「いろいろあってね。
購入費よりも 維持費のほうがはるかに高くついている」スカイ




