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ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
     ゴンとボロン
12/112

洞窟温泉

7/7

3月下旬。

幼いゴンには まだ肌寒かった。


だから 竜の山の周囲の探検は もっぱら ゴンが一人で行った。

探検と言っても 山の周囲を回って、草原に面した洞窟がないか調べるだけだ。


ゴンの生誕地である大洞窟から、山の周囲にいるボロンの気配をたどることは簡単だった。

すぐに、ゴンはボロンの視覚を共有できるようになった。


 ボロンが ゴンの視覚を共有するには、ゴンから念話のような形で送ってもらう必要があったが、ボロンの視覚にゴンが集中すれば、ボロンが意識せずとも ゴンにはボロンの見ているものが見えた。


龍の山本体は 山肌が変化に富んでいた。

割れ目や穴がいろいろあった。


そうした凸凹の一つに、洞窟の奥が41度くらいの温泉、入口付近に湧き水、洞窟の近くの谷には池のある場所があった。


「この洞窟なら 君がテレポートしなくても草原に出ることができる住処すみかになるんじゃないか?

 牛も 草原に放せば、わらを買わなくてもすむ」

ボロンはゴンに この新たに発見した洞窟を見に来るように誘った。


ゴンも 春から秋ならこの洞窟に住むのも悪くはなさそうだと言った。

「ずいぶん 広い洞窟だね。

 温泉も広いから ゆったりと入れそうだ。」


「この湯温なら 俺も入浴したいよ」ボロン


「じゃあ 君はここに住むといい。

 僕は 冬の間は 生まれた洞窟ですごしたいな」


ボロンは大洞窟に置いてあった自分の荷物を送ってもらって、

久しぶりの入浴を楽しんだ。


運の良いことに、温泉のある洞窟は、入口から少し入ると、奥へと下り坂が続き

奥にある湯だまりには、岩肌から温泉が注ぎ込み、

湯だまりからあふれた湯は、

まるで湯桶からあふれた湯が排水溝に流れ込むように

湯だまりの脇にある岩壁の割れ目に吸い込まれていった。


「まるであつらえたような湯船に源泉かけ流しの浴場だね」

ボロンは満足そうに言った。


「だけど 思ったよりも浅かった。

 今より僕の体が大きくなると、お湯があふれてなくなるかも」とゴン


「じゃあ 今のうちに 二人一緒の入浴を楽しもうな」

そう言って ボロンは湯から上がったゴンの体をバスタオルでくるむようにしてふいてやった。


二人は この洞窟を「浴場」と名付けた。


浴場には たっぷりの湯が注いでいたので、

洗濯もしたいとボロンは思った。


そこで 洞窟の外にテント用のポールを建て、ロープを張って物干しを作った。

それから 浴場に戻って数か月ぶりの洗濯をした。


衣類が乾くのを待つ間、パンツ一丁になったボロンを連れて ゴンは暖かい大洞窟にもどった。


「人間って 色々大変なんだねぇ。

 調理をしたり、洗濯したり」

ゴンは ほうっと息を吐きだした。


「俺はドワーフだけどな。

 人族は 一応 人間・ドワーフ・エルフと種族が分かれているんだぞ」

ボロンは答えた。


「種族が違うとどうなるの?」ゴンは尋ねた。


「うーん 身体の大きさが違うと 家具とか道具と衣服のサイズも異なるし

 身体能力がちがうと それぞれの得意な作業も違ってくるね。

 それで 種族ごとに分かれて暮らすことが多いけど、一緒に暮らす者もいる」


「そっかー いろいろあるんだねぇ」


「そうだな」


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