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ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
     ドラゴンクラン新部会
101/112

洞窟牧場とダーさん部

(6/8)


※ゴン1歳の冬・初めての地中探検の年から、数年後のノーム達の暮らしまでを まとめて記述しています

コンラッドとミューズは相談して、光の洞窟の一部で、「すくすく葉」を育てることにした。


これは 強い光の下で育つ植物で、水に恵まれ24時間強い光に当たっていれば光合成を活発に行なって やせ地でも繁茂する。

水栽培も可能だ。

葉は動物のよき飼料となるのだが、すくすく育った葉は1日で枯れてしまうのが難点。

しかも 暗闇に持っていくと地上部が枯れて休眠を始めるのだ。


「枯葉を食べたいとは思わないけど、 枯れた葉もすぐに取り除いて土に混ぜ込めば よい肥料になるよね。水栽培の場合 枯葉をほっとくと水の腐敗の素になるけど」ミューズ


「水栽培の水は毎日とりかえなきゃいけないのではないか?」ボロン


「吸水力の強い植物だから 毎日新しい水を注ぎ足してやれば 頻繁に水かえをしなくてもいいよ」ミューズ



ボロンとミューズは、城の中の物置にスカイが大量に入れていた陶器の鉢を光の洞窟に持って行った。

「すくすく葉」を浮草のように育てるのだ。


なぜ草原の土を持ち込んで鉢植えにしなかったかと言えば、光の洞窟の魔素の力で、草原の土壌の中にいる微生物が変異したら困るからである。

「ノームのワームだって もとは地上にいたミミズなんだ」コンラッド


 (ちなみに 地上にいるミミズがタマゴを産むのかどうかは 誰も知らなかった。

  「だって ミミズの繁殖なんて 今まで考えたことなかったから」ボロン

  「同じく」コンラッド&ミューズ)


「土を使わない水栽培だと 単位面積あたりの収穫量は落ちるんけど

 一粒の種から育つ葉の量は同じだから」ミューズ。


というわけで、ボロンとミューズと大ちゃんの3人は せっせと「すくすく葉」を栽培しては収穫した。

 保存には専用マジックバックを使った。


そして乳牛1か月分の餌になるほど「すくすく葉」のストックができ、

また毎日乳牛1頭が食べる分の葉が収穫できるほど「すくすく葉」の栽培が安定してから、ダーさん洞窟のとなりに、「乳牛洞窟」を用意した。


連れ込んだ乳牛は かつて生まれたてのゴンが大洞窟でお世話になった乳牛である。


「しかし お前さん達がいないときは かなり牛の乳があまりそうだ」大ちゃん


「ヨーグルトにするとよい。

 ここでは 洞窟ごとに一定の温度が保たれておるから、発酵部屋に適した温度の洞窟を使えば、ヨーグルトの生産も簡単だ。

 それを 地上に送ってくれれば、我々の方で、乳牛や乳羊ちちひつじの入れ替えの手配をしよう」コンラッド。


「君が慣れてくれば、チーズ部屋も作れそうだね」ミューズ


「次から次へと 仕事を考え付くやつらだ」大ちゃんがぼやいた。


「ワーム君が土壌をたっぷり作ってくれたら、放牧用の牧草地も作れるね」ミューズ


「すくすく葉」の枯葉も ここではワームに食べてもらって土壌にかえてもらおう。

 その方が安全だ」コンラッド


・・・

ワーム製培養土が完熟してから、その土を使って 牧草「やみやみ葉」の栽培を始めた。

「やみやみ葉」は、肥料さえあれば、薄闇の中でよく育ち 栄養たっぷりの葉を年中茂らせる植物だ。


ワームは培養土を次々と作り出し、牧草地も広がった。

「やみやみ葉」は ダーさん達の飼料にもなった。



メリッコが無精卵を産むようになった時、タマゴさんとモリオは地上に戻った。

「やっぱり 新婚生活と有精卵を産むのは地上が良いですから」タマゴさん


タマゴさんは 地上に戻ってしばらくしてから有精卵を産み、モリオは城の庭で抱卵と子育てに励んだ。



城の中庭で生まれ育った若鳥たちは 時々 暗闇に慣れるためにノーム達の所に送られた。

その時には暗闇に慣れている親鳥のだれかがついてきて メリッコといっしょに若鳥の訓練をした。

 この付き添い係は雌雄を問わなかった。

 ダーさんの場合、ひな鳥を育てるのは父鳥だが、若鳥の訓練は パパ・ママが分担してあたるらしい。


「だって 一人で生意気な若鳥たちを複数訓練するのは大変よ。

 中には 個人指導が必要な若鳥だっていますから、そこは夫婦や共同体で協力してあたらなくては!


 でも 私たちメスは 卵を産んだ後はしばらく休養したいから、ヒナの世話は夫に任せるんです!」


メリーさんやメアリーさんの説明を聞いて ボロンもびっくり。

「そんなこと 知らなかった」


「でしょうね あなたたち人族は 若鳥が育つと 自分たちで調教しようとするから」タマゴさん達


「でも 本来の私たちの子育てスタイルは 夫婦の役割分担がしっかりしてるんです。

 それを 私たちメスのダーさんは 卵産みっぱなしの育児放棄鳥だなんて 失礼しちゃう!」メリー達


「ごめん。」

ボロンは これまでの人族中心視点での思い込みを謝罪した。



城と地下を行き来しながら ダーさん達は無精卵の提供者&運送請負者として繁栄し

「ドラゴンクラン・ダーさん部」を担った。


「秘密は守ります。クランの発展に尽くします。だから食肉にはしないでください」

それが ダーさん部からのクランへの要求であり盟約であった。


かくして ドラゴンクランのメンバーは、無精卵を食べても、有精卵やダーさん肉は食べることができなくなった。


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