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ドラゴンクラン 幼龍編  作者: 木苺
     ゴンとボロン
10/112

離乳食と手紙

5/7

「あのね」ゴンは言いにくそうにボロンに言った。


「実は僕 新鮮でまだ温かみのある血に柔らかくつぶした肉が混じっている離乳食が食べたいんだけど」


「あー もしかして ベビードラゴンっていうのは、母親から 獲物をかみ砕いてそういう状態になったものを食べさせてもらっているの?」ボロン


「うん。

 ボロンが 一生懸命料理してくれているのはわかっているけど

 ドラゴンにとっては 生肉や生き血に含まれる栄養も必要なんだ」ゴン


「それで狩りの獲物が必要なのね」


「うん。」


「家畜ではだめなの?」


「今の僕なら ウサギとか羊、牛や豚のレバーでもいいよ」


「そういうものが 牛乳との物々交換で手に入れられるといいけど・・

 あるいは 君にテレポートしてもらって、生きた家畜を僕が買ってきて

 洞窟の外で飼育できればなぁ・・」


・・・

とりあえず これまでお金を使ってお取り寄せしていたお店に 牛乳による物々交換のお願いをしてみることにした。


まず 牛乳缶を無断借用し、そこに新鮮な牛乳を入れて、手紙と一緒にすぐに送り返したのだ。


しばらくして ゴンが再び店内を探索すると、新鮮なレバーの塊がたっぷり入った容器と新しいフードカッター&新しい牛乳缶が並んで置いてあったので、それを取り寄せた。


牛乳缶には封書がはりつけてあった。


・・

おなかをらした幼いドラゴンのために、ボロンはレバーをすりつぶした。


ゴンが食べている間に、ボロンは手紙を読むことにした。


封書には 立派な封印が押されていた。

 杖と箒のぶっちがいの印だったので、差出人は魔法使いらしい。


手紙には透かし模様が入っており、末尾の署名はスカイと記されていた。


ボロンは、手紙をかざしてその文様を確かめた。

 それは 木陰で休むドラゴンとフェンリルだった。


「この手紙の主は、自分が魔法使いのスカイであると主張しているようだ」

ボロンはつぶやいた。


手紙には

 物々交換に応じること

 牛乳と品物の交換レート

 毎日 牛乳を送ってくれるなら かけ買い・つけ払いもOKである

 できれば 室内のものを勝手にもっていくのではなく、

 牛乳缶に 欲しいものリストを張り付けて送り

 こちらが翌日カウンターに用意したものを運んでいく形式にしてほしい

 できれば一度会いたい

と書いてあった。


「交換レートは適正価格に基づいていると思う」

ボロンは ゴンに手紙の内容を伝えるときに付け加えた。


「魔法使いのスカイってどんな人?」ゴンは尋ねた。


「もし 店主が本物のスカイさんなら すごいことになりそうだね。

 僕は会ったことはないんだけど、噂では 医療にたけた元王宮魔法使いで

 以前 この国で 疫病がはやった時には多くの人を助けたそうだ。

 ただ 最初に疫病が発生した村が僻地だったので、そのことに気が付いた時には

 村が全滅したあとだったことを気に病んで、引退したそうだ。」


「会ったことがないのに、どうやって見分けるの?」


「僕がギルド職員の身分証を持っているように、魔法使いも、魔法使いギルドや王宮で発行された身分証を持っている。

 そして 僕はギルドの配達人だったから、そういう身分証の真贋を確かめることができるんだ」


「へぇー ボロンってすごい人だったんだ」

ゴンは感心したように言った。


「職業スキルの一つだよ」ボロンは 謙遜して言った。


「だから封印と透かし模様から推測はできるけど、それを本人が使ったのか

 盗品が使われたのかまではわからないよ」


ボロンの補足説明を聞いて ゴンは言った。

「人間の世界って複雑なんだね」 


・・・

とりあえずスカイには 交換に応じてくれることへの礼と、ミルクを送るための缶の追加個数と明日のレバーの依頼を書いたメモを張り付けて、ミルクを送った。

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