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千夜学園の女神さまっ!! ///  作者: 影咲シオリ
第1章 神頼み
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プロローグ 出会いは夢うつつ


「入学式の夜に、新入生がこんな場所にいちゃいけないわよ。どんなに馬鹿馬鹿しいと思っても、自分の居場所じゃないと感じても、今日だけは石に噛り付いてでもあの喧騒の真ん中にいなきゃ。さもないと、私みたいなはぐれ者になってしまうよ

   「」

「ははは、そんなピカピカの制服を着ていれば誰だって分かるわよ。そして、新入生は想い悩むものだってことも決まっているの。

   「」

「アドバイスができるほど立派な人間じゃないけどさ。悩むことはいいことだよ。考えている限り、そんなに酷いことにはならないさ。最悪なのはね、世の中をこういうものだと悟ったフリして何も考えなくなること。

   「」

「私? 私は月を見てるんだ。川面の映る月だよ。本物よりもずっと曖昧で、ゆらゆらと揺れて、眩しくない。ちょうどいいんだ。

   「」

「勝手にカメラを向けてごめんなさいって? それって盗撮って言うんだよ。捕まるんだから気をつけなよ。うーん、そうだなぁ。それでは、どうぞ一枚撮ってくださるかしら。私の方からのお願いだよ。フィルム式のカメラなんて骨董品でも目にしないよ。それがあんたのベル・エポック(古き良き時代)?

   「」

「こんな目つきの悪い、愛想のないソバカスだらけのチビ女。どう頑張っても美人に撮れるわけないよ。そこそこでいいんだよ。額に入れて飾るつもりなんてないんだから。

   「」

「もし、カッパが地の底から現れたら学園中大騒ぎになるでしょうね。そうなれば、そのときは私だって眺めているばかりじゃない。本物の月にだってなってみようと思うんだ。

   「」

「どんなに華のない女優でもね、それ相応しい舞台があれば輝けるってお話よ。それとも願望かな。ねぇ、あの月。河童のお皿に見えない? 

   「」


 こうして少年は、少女と別れた。やがて、彼のもとに本文のないメールと真っ黒で何も映っていない写真データが送られてきたのだった。

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